44 / 50
第10章 陽だまりは勇ましく
43話
しおりを挟む
<お前の裏で、糸を引いているやつがいるな>
頭の奥底で、反響する穿った声。金縛りにあったかのような自分の意識。
岬は閉ざされた視界の中で、ある違和感を覚えた。誰かがこの身体を操っていることを、自ら理解できている。今までにはない感覚だった。同時に蘇る、胡嘉子の言葉。
———『大切なものを守りたいのであれば、拒むことを覚えなさい』
拒むこと———意味しているのは、霊魂を尊重して身体を明け渡すのを“拒むこと”であると、岬は悟っていた。
……絶対、厘を死なせない。そう誓ったはずなのに、どうして。どうして私はまた、完全憑依を許しているの。
「致死量を知っているか」
「……はぁ?」
早く。早く目覚めて。でなければ厘は、また私を救うために無理をする。お願いだから……早く、目を覚ましてよ。
深海に沈んだような闇の中、岬はもがいた。まだ自分は迷っているのか、と嘆いた。———ずっと霊魂の居場所であってきた、この良心を捨てる。己を穢して選ばなければいけない。それが今だと、解っているのに。
視界を明らめると、音もなしに舞う花びらがハラハラと降り注いでいた。
「……」
視線を落とすと、胸元に沈んだ低い体温。薄紫に唇を染めた厘の姿が、そこにはあった。
「厘———!」
岬は血相を変えて起き上がり、その上半身を抱き上げる。彼は薄い瞼をゆっくり開くと、こちらを見上げて力なく微笑んだ。
「無事……だったようだな」
安堵と共に漏れる息。見るからに力尽きていて、しかし瀕死ではない。それでも岬は、悔まずにはいられなかった。また、命を賭して自分を護ってくれたのだ、と語られずとも解っていた。
「なんだよ、らしくねぇ……」
傍にいた庵は軽く舌打ちをした直後、厘の腰を折るように担ぎ上げる。文句を垂れながらも、庵は歯を食いしばっていた。まるで、鏡を見ているようだった。
「ねぇ庵……私は、何に憑かれていたの……」
岬は訊ねる。シートに散乱した酒と桜の痕跡を見据え、響いた厘の声を懸命に起こしながら、庵を見上げた。
「鬼、と言っていた」
「……おに?」
「恨みつらみの類。そういう “気” をビシビシ感じた。憑いてた野郎は憎んでいたんだろうよ。……何かを強く」
ほら。片して早く帰るぞ。
言いながら、庵は春風に金色の髪を靡かせる。彼の肩に担がれた厘は、不服そうにその横顔を睨み見る。しかし、いつもなら「放せ」と退けるはずの厘は、大人しくしたがっていた。それほどに堪えているのかもしれない。
岬は怠さの残った体で敷物を仕舞い、リュックを背負う。行きよりもはるかに重たく感じられた。
「庵は、見てたんだよね」
「ああ、見てたぞ。全部な」
大通りを避け、出来る限り近道を行く家路のなか、岬は俯きながら影を踏んだ。
「厘は私を、また救けてくれたんだよね」
悪霊である “夢魔” が憑いていたときと、きっと同じ様に———心の内で加えながら、思い返す。厘の体力がこうまで削られていた様子は、夢魔のときと酷似していた。
「護りたかったんだろうな、心底お前を。ただ、こいつは荒療治が過ぎンだよ。……萎れるまで注がなきゃ、救けられなかったんだろうな」
答えた直後、平行線に口を縛る庵。傾いた西日に照らされた横顔は、再び悔恨の色を覗かせた。
「庵は、知ってたの……?厘が私に、その……」
「ああ……精気を送り込む、ってやつをか?」
岬は項垂れた厘の唇を一瞥し、頷いた。
「とっくに知っていた。目の前でやられるとは思ってなかったけどな」
庵は意地悪く口角を持ち上げたあと、岬の頭を優しく撫でる。逞しい手の感触が、新鮮だった。
「胸糞悪ぃが……まぁ、お前が無事なら俺は良い。こいつも役に立つってことだ」
庵も、心配してくれていたのだろうか。
あやふやな記憶を呼び起こしても、彼の様子を思い出すことはできなかった。残っているのはやはり、籠ったように響く厘の声だけ。
「厘……厘、」
岬は彼の手を握り、絞り出した声を落とす。触れた体温はまだ生温かく、ここに在ることを教えてくれた。
「ありがとう。ありがとう……。でも、もう無理しないで。私を救うために、削らないで」
一度に大量の精気が削がれなければ———。胡嘉子からの忠告を脳裏に浮かべながら、思わず唇を噛みしめる。厘はその手を軽く握り返した。
「残念だが、お前くらいしかないんだよ。俺の無理の為所は」
厘が放った瞬間、生温かい風に水と草木の匂いが混じる。直後、何かに引き寄せられるように振り返り、岬は目を瞠った。
———この景色、この場所……お母さんと来たことがある。ずっと前にも。最近も。
「ここって……」
記憶に新しいのは、胡嘉子に触れられた時のこと。長い夢の中で見た、母が懸命に厘を救い出していた風景。足元に続く河川敷では現在も、自由に伸びた草が揺れていた。
大通りから少し外れた、通学路でも駅沿いでもない道。家から遠くはないはずなのに、どうして今まで気づかなかったのだろう。厘が往きにこの道を通らなかったのは、もしかして———
「どうした?」
「ここ……たぶん、厘の元の居場所なんだ」
首を傾げ、立ち止まる庵。傍ら、岬は河川敷に誘われ、足を向かわせながら背後に答える。体に電流のような刺激が走ったのは、その直後だった。
「い、た……っ」
ピリピリ、と、爪先から脳天までを貫くような細い痛み。青い草木に囲まれながら、岬は思わずしゃがみこんだ。
痛い。痛い。痛い。
「岬……?」
「あっ、おい!お前まだ……チッ、ったく、」
近くでゆっくりと草木を踏む、誰かの足音。見上げると、そこには庵の手を逃れた厘が覗いていた。
いつもよりも青白い肌。覇気のない瞳。岬は彼の、血色の薄い頬に手を添えて、懸命に微笑んだ。唇が震えてしまわないよう、力を込めた。
「大丈夫……少し、頭痛がしただけだよ」
反対側で額を押さえながら、岬は堪えた。そして直感した。この場所から早く退くべきであることを、底に眠る何かが訴えていた。
「厘。歩ける?」
「……ああ。お前は本当に平気か」
「うん。早く……早く帰ろう」
岬は立ち上がり、冷えた厘の手を強引に引く。河川敷を出ようと、強く草を踏みしめる。———しかし、それは叶わなかった。
「ッ———!?」
草木が足元に絡みつくように、離れない。足首を噛まれているように感じるほどの、鋭い痛み。それに、
『……前の……だ』
籠った音で、頭の奥に響く声。次第にその音は大きく、明確になっていき、岬は言葉の意味を悟った。
———『お前のせいだよ』
鈍器で脳を殴られた感覚。何度も、何度も。同じ言葉をなぞる声に、岬は顔を覆った。
「う、ぅ……」
「岬……?」
ダメなのに。ここから出なきゃ、ダメなのに。意志とは反対に、岬は再び河川敷に沈んだ。
土の、湿った匂いが鼻を突く。俯いて露わになった後ろ首に、ぽつり滴が零れ落ちる。雨だった。
「厘。出て……お願い。ここを出て、」
「何を言う。俺が、お前を置いて行けると思うのか」
違うの。厘、ダメなの。もう削れているんでしょう。“これ以上” はきっと、ダメなんでしょう。きっと、きっと———。
岬は、余力で首を振りながら「来ないで」と呻く。しかし、その声は糸よりも細く、厘の耳には届かなかった。代わりに、頭の奥で響く声は音量を増し、一層思考を支配した。
『母親と違ってお前は弱い。だから厘を、護れないんだよ』
それは、ひしゃげた女の声。続いて響く嘲笑に、岬は脈を荒立てた。響いた声の、言う通りだった。
私は厘を護れない。いつも護られるばかりで、何一つ与えられたことがない。こんなにも大切なのに、何一つ。
ドクンドクン、ドクンドクン———体中の血液が、鼓膜を叩く。厘に護られた命が確かに在ると、今更愛おしく思う。しかし、握っていた拳は心音が荒立つと同時、脱力して開花した。
また。また。自分の中に侵入される瞬間を、存在を分かっている。それなのに、止められない。
目は覚めているはずなのに、視界は闇に閉ざされた。
頭の奥底で、反響する穿った声。金縛りにあったかのような自分の意識。
岬は閉ざされた視界の中で、ある違和感を覚えた。誰かがこの身体を操っていることを、自ら理解できている。今までにはない感覚だった。同時に蘇る、胡嘉子の言葉。
———『大切なものを守りたいのであれば、拒むことを覚えなさい』
拒むこと———意味しているのは、霊魂を尊重して身体を明け渡すのを“拒むこと”であると、岬は悟っていた。
……絶対、厘を死なせない。そう誓ったはずなのに、どうして。どうして私はまた、完全憑依を許しているの。
「致死量を知っているか」
「……はぁ?」
早く。早く目覚めて。でなければ厘は、また私を救うために無理をする。お願いだから……早く、目を覚ましてよ。
深海に沈んだような闇の中、岬はもがいた。まだ自分は迷っているのか、と嘆いた。———ずっと霊魂の居場所であってきた、この良心を捨てる。己を穢して選ばなければいけない。それが今だと、解っているのに。
視界を明らめると、音もなしに舞う花びらがハラハラと降り注いでいた。
「……」
視線を落とすと、胸元に沈んだ低い体温。薄紫に唇を染めた厘の姿が、そこにはあった。
「厘———!」
岬は血相を変えて起き上がり、その上半身を抱き上げる。彼は薄い瞼をゆっくり開くと、こちらを見上げて力なく微笑んだ。
「無事……だったようだな」
安堵と共に漏れる息。見るからに力尽きていて、しかし瀕死ではない。それでも岬は、悔まずにはいられなかった。また、命を賭して自分を護ってくれたのだ、と語られずとも解っていた。
「なんだよ、らしくねぇ……」
傍にいた庵は軽く舌打ちをした直後、厘の腰を折るように担ぎ上げる。文句を垂れながらも、庵は歯を食いしばっていた。まるで、鏡を見ているようだった。
「ねぇ庵……私は、何に憑かれていたの……」
岬は訊ねる。シートに散乱した酒と桜の痕跡を見据え、響いた厘の声を懸命に起こしながら、庵を見上げた。
「鬼、と言っていた」
「……おに?」
「恨みつらみの類。そういう “気” をビシビシ感じた。憑いてた野郎は憎んでいたんだろうよ。……何かを強く」
ほら。片して早く帰るぞ。
言いながら、庵は春風に金色の髪を靡かせる。彼の肩に担がれた厘は、不服そうにその横顔を睨み見る。しかし、いつもなら「放せ」と退けるはずの厘は、大人しくしたがっていた。それほどに堪えているのかもしれない。
岬は怠さの残った体で敷物を仕舞い、リュックを背負う。行きよりもはるかに重たく感じられた。
「庵は、見てたんだよね」
「ああ、見てたぞ。全部な」
大通りを避け、出来る限り近道を行く家路のなか、岬は俯きながら影を踏んだ。
「厘は私を、また救けてくれたんだよね」
悪霊である “夢魔” が憑いていたときと、きっと同じ様に———心の内で加えながら、思い返す。厘の体力がこうまで削られていた様子は、夢魔のときと酷似していた。
「護りたかったんだろうな、心底お前を。ただ、こいつは荒療治が過ぎンだよ。……萎れるまで注がなきゃ、救けられなかったんだろうな」
答えた直後、平行線に口を縛る庵。傾いた西日に照らされた横顔は、再び悔恨の色を覗かせた。
「庵は、知ってたの……?厘が私に、その……」
「ああ……精気を送り込む、ってやつをか?」
岬は項垂れた厘の唇を一瞥し、頷いた。
「とっくに知っていた。目の前でやられるとは思ってなかったけどな」
庵は意地悪く口角を持ち上げたあと、岬の頭を優しく撫でる。逞しい手の感触が、新鮮だった。
「胸糞悪ぃが……まぁ、お前が無事なら俺は良い。こいつも役に立つってことだ」
庵も、心配してくれていたのだろうか。
あやふやな記憶を呼び起こしても、彼の様子を思い出すことはできなかった。残っているのはやはり、籠ったように響く厘の声だけ。
「厘……厘、」
岬は彼の手を握り、絞り出した声を落とす。触れた体温はまだ生温かく、ここに在ることを教えてくれた。
「ありがとう。ありがとう……。でも、もう無理しないで。私を救うために、削らないで」
一度に大量の精気が削がれなければ———。胡嘉子からの忠告を脳裏に浮かべながら、思わず唇を噛みしめる。厘はその手を軽く握り返した。
「残念だが、お前くらいしかないんだよ。俺の無理の為所は」
厘が放った瞬間、生温かい風に水と草木の匂いが混じる。直後、何かに引き寄せられるように振り返り、岬は目を瞠った。
———この景色、この場所……お母さんと来たことがある。ずっと前にも。最近も。
「ここって……」
記憶に新しいのは、胡嘉子に触れられた時のこと。長い夢の中で見た、母が懸命に厘を救い出していた風景。足元に続く河川敷では現在も、自由に伸びた草が揺れていた。
大通りから少し外れた、通学路でも駅沿いでもない道。家から遠くはないはずなのに、どうして今まで気づかなかったのだろう。厘が往きにこの道を通らなかったのは、もしかして———
「どうした?」
「ここ……たぶん、厘の元の居場所なんだ」
首を傾げ、立ち止まる庵。傍ら、岬は河川敷に誘われ、足を向かわせながら背後に答える。体に電流のような刺激が走ったのは、その直後だった。
「い、た……っ」
ピリピリ、と、爪先から脳天までを貫くような細い痛み。青い草木に囲まれながら、岬は思わずしゃがみこんだ。
痛い。痛い。痛い。
「岬……?」
「あっ、おい!お前まだ……チッ、ったく、」
近くでゆっくりと草木を踏む、誰かの足音。見上げると、そこには庵の手を逃れた厘が覗いていた。
いつもよりも青白い肌。覇気のない瞳。岬は彼の、血色の薄い頬に手を添えて、懸命に微笑んだ。唇が震えてしまわないよう、力を込めた。
「大丈夫……少し、頭痛がしただけだよ」
反対側で額を押さえながら、岬は堪えた。そして直感した。この場所から早く退くべきであることを、底に眠る何かが訴えていた。
「厘。歩ける?」
「……ああ。お前は本当に平気か」
「うん。早く……早く帰ろう」
岬は立ち上がり、冷えた厘の手を強引に引く。河川敷を出ようと、強く草を踏みしめる。———しかし、それは叶わなかった。
「ッ———!?」
草木が足元に絡みつくように、離れない。足首を噛まれているように感じるほどの、鋭い痛み。それに、
『……前の……だ』
籠った音で、頭の奥に響く声。次第にその音は大きく、明確になっていき、岬は言葉の意味を悟った。
———『お前のせいだよ』
鈍器で脳を殴られた感覚。何度も、何度も。同じ言葉をなぞる声に、岬は顔を覆った。
「う、ぅ……」
「岬……?」
ダメなのに。ここから出なきゃ、ダメなのに。意志とは反対に、岬は再び河川敷に沈んだ。
土の、湿った匂いが鼻を突く。俯いて露わになった後ろ首に、ぽつり滴が零れ落ちる。雨だった。
「厘。出て……お願い。ここを出て、」
「何を言う。俺が、お前を置いて行けると思うのか」
違うの。厘、ダメなの。もう削れているんでしょう。“これ以上” はきっと、ダメなんでしょう。きっと、きっと———。
岬は、余力で首を振りながら「来ないで」と呻く。しかし、その声は糸よりも細く、厘の耳には届かなかった。代わりに、頭の奥で響く声は音量を増し、一層思考を支配した。
『母親と違ってお前は弱い。だから厘を、護れないんだよ』
それは、ひしゃげた女の声。続いて響く嘲笑に、岬は脈を荒立てた。響いた声の、言う通りだった。
私は厘を護れない。いつも護られるばかりで、何一つ与えられたことがない。こんなにも大切なのに、何一つ。
ドクンドクン、ドクンドクン———体中の血液が、鼓膜を叩く。厘に護られた命が確かに在ると、今更愛おしく思う。しかし、握っていた拳は心音が荒立つと同時、脱力して開花した。
また。また。自分の中に侵入される瞬間を、存在を分かっている。それなのに、止められない。
目は覚めているはずなのに、視界は闇に閉ざされた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【完結】『左遷女官は風花の離宮で自分らしく咲く』 〜田舎育ちのおっとり女官は、氷の貴公子の心を溶かす〜
天音蝶子(あまねちょうこ)
キャラ文芸
宮中の桜が散るころ、梓乃は“帝に媚びた”という濡れ衣を着せられ、都を追われた。
行き先は、誰も訪れぬ〈風花の離宮〉。
けれど梓乃は、静かな時間の中で花を愛で、香を焚き、己の心を見つめなおしていく。
そんなある日、離宮の監察(監視)を命じられた、冷徹な青年・宗雅が現れる。
氷のように無表情な彼に、梓乃はいつも通りの微笑みを向けた。
「茶をお持ちいたしましょう」
それは、春の陽だまりのように柔らかい誘いだった——。
冷たい孤独を抱く男と、誰よりも穏やかに生きる女。
遠ざけられた地で、ふたりの心は少しずつ寄り添いはじめる。
そして、帝をめぐる陰謀の影がふたたび都から伸びてきたとき、
梓乃は自分の選んだ“幸せの形”を見つけることになる——。
香と花が彩る、しっとりとした雅な恋愛譚。
濡れ衣で左遷された女官の、静かで強い再生の物語。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる