勇者召喚された魔王様は王太子に攻略されそうです〜喚ばれた先は多夫多妻のトンデモない異世界でした〜

のりのりの

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第35章

異世界の神託はハチャメチャです(2)

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 あ、今、一瞬、聖女様の視線が泳いだ。

「本当に?」
「は……い」

 オレの再度の問いかけに、聖女様はぎこちなく頷く。

 やっぱり、なにか隠しているのだろう。

 人生経験はオレの方が勝っているからな!
 そういう嘘はすぐにわかるんだぞ!

「聖女は勇者には嘘はつかないんだよな?」
「……うっ」

 聖女様の顔がぎこちなくひきつる。

 ほらみろ、やっぱり他になにか言われたんだ。

「今のゆうしゃサマには言いたくありませ――ん!」

 ツ――ン、とそっぽを向かれちゃった。

(黙秘権行使か! 逆ギレか! 開き直りか!)

 そのツンと拗ねた姿がとても可愛かったりするから、さらに始末が悪いんだよね。

 それに、あまり厳しく追求しすぎて、泣かれだしたら……正直、ちょっとお手上げだよ。

 肉食女神のアナスティミアが、聖女様になにを告げたのかものすごく気になる。
 気になって仕方がない。

 だが、アノ女神様だ。その女神様の神託が果たして、オレの役に立つものなのかどうかは怪しいからね。

 いや、絶対、ろくなものじゃないよ。

「ねえ、ゆうしゃサマ、ここでこういうシチュエーションも排他的でゾクゾクしちゃいますが、やっぱり、ハジメテは、ベッドの上の方がいいと思います?」

 この聖女様、なにがなんでもオレに選ばせたいみたいだ。

「いや、やめよう。こんなのは、よくない」
「なぜですか?」

 心底信じられないといった顔をしながら、でも、聖女様はものすごく落ち着いた顔でオレを見つめてくるよ。

 見つめながらも、オレのアソコを刺激することはしっかり忘れていない。

 さわさわと滑らかに手が動き、あちこちを撫で回し、腰を巧みに動かして誘惑を止める気配がないよ。

「だって、まだ、会って間もないし、ろくに言葉も交わしていないのに……」
「ゆうしゃサマ、わたしは、一週間、ずっと、ゆうしゃサマのお側に控えて、ずっとゆうしゃサマの魅惑的な寝顔にドキドキしていましたよ?」
「いや、その間、オレは寝てたというか、魂は別の場所にいたから」

 なんか、言い訳っぽいかんじだな――って思う。

 しかも、聖女様のちょっかいで、オレの下半身は再び元気を取り戻しており、説得力が全くない。

「ゆうしゃサマ、わたしだって『運命の番』なんですよ! ちゃんと、資格があるんです! 王太子殿下だけが独り占めって、ズルいです! 王太子殿下とだって、会って初日でベッドインじゃないですか! その後も、毎日けっこう、すごいことをやってて」
「いや、アレは……ほぼ事故で……って、そんなコトまで知ってるのか?」
「アナスティミア様に教えていただきました!」

(あの女神……なにを言いふらしてくれているんだ!)

 それも『神託』で得た知識……情報なのだろうか?

 聖女様はぷんぷん怒っているようで、実は、オレに思いっきり甘えてきている。

 敵意を向けられたり、オレ自身に身の危機が迫ったら反撃できるが、いまのこの駆け引きっぽい状態では……温厚な魔王として知れ渡っているオレにはどうしようもできないよ。

 できれば、平和的な解決を望みたいのだけど、無理だろうね。

「勇者様は奥手だけど、争いごとは好まれない。流されやすいタイプだから、押し切ればうまくできるってアナスティミア様からアドバイスをいただきました」

 あ、それが神託なんだね。

 今、ペロッといっちゃったよね。

 オレに教えたくないんじゃなかったのかな?

 めちゃくちゃな神託だな。
 っていうか、これが神託としてまかりおおるなんて、異世界って怖い場所だよね。
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