205 / 340
第35章
異世界の神託はハチャメチャです(2)
しおりを挟む
あ、今、一瞬、聖女様の視線が泳いだ。
「本当に?」
「は……い」
オレの再度の問いかけに、聖女様はぎこちなく頷く。
やっぱり、なにか隠しているのだろう。
人生経験はオレの方が勝っているからな!
そういう嘘はすぐにわかるんだぞ!
「聖女は勇者には嘘はつかないんだよな?」
「……うっ」
聖女様の顔がぎこちなくひきつる。
ほらみろ、やっぱり他になにか言われたんだ。
「今のゆうしゃサマには言いたくありませ――ん!」
ツ――ン、とそっぽを向かれちゃった。
(黙秘権行使か! 逆ギレか! 開き直りか!)
そのツンと拗ねた姿がとても可愛かったりするから、さらに始末が悪いんだよね。
それに、あまり厳しく追求しすぎて、泣かれだしたら……正直、ちょっとお手上げだよ。
肉食女神のアナスティミアが、聖女様になにを告げたのかものすごく気になる。
気になって仕方がない。
だが、アノ女神様だ。その女神様の神託が果たして、オレの役に立つものなのかどうかは怪しいからね。
いや、絶対、ろくなものじゃないよ。
「ねえ、ゆうしゃサマ、ここでこういうシチュエーションも排他的でゾクゾクしちゃいますが、やっぱり、ハジメテは、ベッドの上の方がいいと思います?」
この聖女様、なにがなんでもオレに選ばせたいみたいだ。
「いや、やめよう。こんなのは、よくない」
「なぜですか?」
心底信じられないといった顔をしながら、でも、聖女様はものすごく落ち着いた顔でオレを見つめてくるよ。
見つめながらも、オレのアソコを刺激することはしっかり忘れていない。
さわさわと滑らかに手が動き、あちこちを撫で回し、腰を巧みに動かして誘惑を止める気配がないよ。
「だって、まだ、会って間もないし、ろくに言葉も交わしていないのに……」
「ゆうしゃサマ、わたしは、一週間、ずっと、ゆうしゃサマのお側に控えて、ずっとゆうしゃサマの魅惑的な寝顔にドキドキしていましたよ?」
「いや、その間、オレは寝てたというか、魂は別の場所にいたから」
なんか、言い訳っぽいかんじだな――って思う。
しかも、聖女様のちょっかいで、オレの下半身は再び元気を取り戻しており、説得力が全くない。
「ゆうしゃサマ、わたしだって『運命の番』なんですよ! ちゃんと、資格があるんです! 王太子殿下だけが独り占めって、ズルいです! 王太子殿下とだって、会って初日でベッドインじゃないですか! その後も、毎日けっこう、すごいことをやってて」
「いや、アレは……ほぼ事故で……って、そんなコトまで知ってるのか?」
「アナスティミア様に教えていただきました!」
(あの女神……なにを言いふらしてくれているんだ!)
それも『神託』で得た知識……情報なのだろうか?
聖女様はぷんぷん怒っているようで、実は、オレに思いっきり甘えてきている。
敵意を向けられたり、オレ自身に身の危機が迫ったら反撃できるが、いまのこの駆け引きっぽい状態では……温厚な魔王として知れ渡っているオレにはどうしようもできないよ。
できれば、平和的な解決を望みたいのだけど、無理だろうね。
「勇者様は奥手だけど、争いごとは好まれない。流されやすいタイプだから、押し切ればうまくできるってアナスティミア様からアドバイスをいただきました」
あ、それが神託なんだね。
今、ペロッといっちゃったよね。
オレに教えたくないんじゃなかったのかな?
めちゃくちゃな神託だな。
っていうか、これが神託としてまかりおおるなんて、異世界って怖い場所だよね。
「本当に?」
「は……い」
オレの再度の問いかけに、聖女様はぎこちなく頷く。
やっぱり、なにか隠しているのだろう。
人生経験はオレの方が勝っているからな!
そういう嘘はすぐにわかるんだぞ!
「聖女は勇者には嘘はつかないんだよな?」
「……うっ」
聖女様の顔がぎこちなくひきつる。
ほらみろ、やっぱり他になにか言われたんだ。
「今のゆうしゃサマには言いたくありませ――ん!」
ツ――ン、とそっぽを向かれちゃった。
(黙秘権行使か! 逆ギレか! 開き直りか!)
そのツンと拗ねた姿がとても可愛かったりするから、さらに始末が悪いんだよね。
それに、あまり厳しく追求しすぎて、泣かれだしたら……正直、ちょっとお手上げだよ。
肉食女神のアナスティミアが、聖女様になにを告げたのかものすごく気になる。
気になって仕方がない。
だが、アノ女神様だ。その女神様の神託が果たして、オレの役に立つものなのかどうかは怪しいからね。
いや、絶対、ろくなものじゃないよ。
「ねえ、ゆうしゃサマ、ここでこういうシチュエーションも排他的でゾクゾクしちゃいますが、やっぱり、ハジメテは、ベッドの上の方がいいと思います?」
この聖女様、なにがなんでもオレに選ばせたいみたいだ。
「いや、やめよう。こんなのは、よくない」
「なぜですか?」
心底信じられないといった顔をしながら、でも、聖女様はものすごく落ち着いた顔でオレを見つめてくるよ。
見つめながらも、オレのアソコを刺激することはしっかり忘れていない。
さわさわと滑らかに手が動き、あちこちを撫で回し、腰を巧みに動かして誘惑を止める気配がないよ。
「だって、まだ、会って間もないし、ろくに言葉も交わしていないのに……」
「ゆうしゃサマ、わたしは、一週間、ずっと、ゆうしゃサマのお側に控えて、ずっとゆうしゃサマの魅惑的な寝顔にドキドキしていましたよ?」
「いや、その間、オレは寝てたというか、魂は別の場所にいたから」
なんか、言い訳っぽいかんじだな――って思う。
しかも、聖女様のちょっかいで、オレの下半身は再び元気を取り戻しており、説得力が全くない。
「ゆうしゃサマ、わたしだって『運命の番』なんですよ! ちゃんと、資格があるんです! 王太子殿下だけが独り占めって、ズルいです! 王太子殿下とだって、会って初日でベッドインじゃないですか! その後も、毎日けっこう、すごいことをやってて」
「いや、アレは……ほぼ事故で……って、そんなコトまで知ってるのか?」
「アナスティミア様に教えていただきました!」
(あの女神……なにを言いふらしてくれているんだ!)
それも『神託』で得た知識……情報なのだろうか?
聖女様はぷんぷん怒っているようで、実は、オレに思いっきり甘えてきている。
敵意を向けられたり、オレ自身に身の危機が迫ったら反撃できるが、いまのこの駆け引きっぽい状態では……温厚な魔王として知れ渡っているオレにはどうしようもできないよ。
できれば、平和的な解決を望みたいのだけど、無理だろうね。
「勇者様は奥手だけど、争いごとは好まれない。流されやすいタイプだから、押し切ればうまくできるってアナスティミア様からアドバイスをいただきました」
あ、それが神託なんだね。
今、ペロッといっちゃったよね。
オレに教えたくないんじゃなかったのかな?
めちゃくちゃな神託だな。
っていうか、これが神託としてまかりおおるなんて、異世界って怖い場所だよね。
2
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる