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傲慢王子
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「一歩歩けばザクザクと~♪金塊が溢れて成金さ~♪で~も僕は王子だから~♪金塊なんて♪いらないのさ~♪
二歩歩けば妖精が~♪加護を寄越しにやってくるよ~♪で~も僕は魔力無しさ~♪あ~らあらあら必要なしさ~♪」
音程が外れながらも王子は歌った。
それは決して授業で仕方なくだとか、王命だとかではなく、王子の趣味だった。
リバーナ王国第一王子スノーヴァ・ルーリ・リバーナ。
魔力無しの傲慢王子と噂される少年だ。
「お、王子魔力の話は内密に…!」
「?え、でも隠してても仕方なくない?」
家庭教師のステラは歌を歌いながら廊下をスキップする王子を諫めるが、流石我が道が正しいと思っている王子だ、聞き入れない。
「おにいさま!」
テコテコとスノーヴァに近寄るのは第二王子のミィファルトだ。
スノーヴァの白金に濃い金目と違い第一側妃似の赤髪に血の様な瞳をしている。
スノーヴァは九歳。ミィファルトは七歳だ。
「やあ、リンゴ!今日も取れたての様だね!僕に会えて良かったね!」
「王子!?り、リンゴ等と言ってはいけません!」
「おにいさま!今日もえほん読んで!」
王妃の子供が第一側妃の子供を貶してると言われても仕方ない出来事で普通は騒ぐが、日常茶飯事なので通行人は無視を決めている。
「いいや!今日はアルファスに会いに行くのさ!」
「え、アルファスですか?嫌です」
ミィファルトは可愛らしい声も忘れ嫌がった。
発音も流暢だ。
ステラもアルファスの名を聞き嫌がる。
第五王子アルファス。第四側妃の子供で暴虐王子と言われている。
使用人や他の王子でさえも暴力を振るう危険な王子だ。
「ははは!あの子は六歳だぞ?寂しがりやなんだろう?会った事ないが!」
「会った事ないのに!?」
「僕の行き先に悪い奴はいないさ!」
ミィファルトとステラは眉間を抑え溜め息をつく。
第一王子と縁を深めとけば後々甘い汁が吸えると思っていたステラ。
そして、第一王子を蹴落とすつもりで近づいたミィファルト。
両者は自分が悪い奴だと自覚していた。
(この自信はどこかなくるんだ?馬鹿なのか)
(兄が馬鹿は楽だが、明るい馬鹿は厄介だ)
「おや、また精霊が飛び回っている!」
精霊を目視できる人間がいないこの世界でスノーヴァの言う事は嘘とされる。
スノーヴァは見えているのに、だ。
「《こんにちは、愛し子》」
「《今日はいい天気ね!》」
明るい光を纏う妖精がクルクル飛び回る。
「いい天気だな…」
前世で暗い湿った世界で生きてきたスノーヴァは光に目を細めた。
その姿は天上人の様に美しかった。
二歩歩けば妖精が~♪加護を寄越しにやってくるよ~♪で~も僕は魔力無しさ~♪あ~らあらあら必要なしさ~♪」
音程が外れながらも王子は歌った。
それは決して授業で仕方なくだとか、王命だとかではなく、王子の趣味だった。
リバーナ王国第一王子スノーヴァ・ルーリ・リバーナ。
魔力無しの傲慢王子と噂される少年だ。
「お、王子魔力の話は内密に…!」
「?え、でも隠してても仕方なくない?」
家庭教師のステラは歌を歌いながら廊下をスキップする王子を諫めるが、流石我が道が正しいと思っている王子だ、聞き入れない。
「おにいさま!」
テコテコとスノーヴァに近寄るのは第二王子のミィファルトだ。
スノーヴァの白金に濃い金目と違い第一側妃似の赤髪に血の様な瞳をしている。
スノーヴァは九歳。ミィファルトは七歳だ。
「やあ、リンゴ!今日も取れたての様だね!僕に会えて良かったね!」
「王子!?り、リンゴ等と言ってはいけません!」
「おにいさま!今日もえほん読んで!」
王妃の子供が第一側妃の子供を貶してると言われても仕方ない出来事で普通は騒ぐが、日常茶飯事なので通行人は無視を決めている。
「いいや!今日はアルファスに会いに行くのさ!」
「え、アルファスですか?嫌です」
ミィファルトは可愛らしい声も忘れ嫌がった。
発音も流暢だ。
ステラもアルファスの名を聞き嫌がる。
第五王子アルファス。第四側妃の子供で暴虐王子と言われている。
使用人や他の王子でさえも暴力を振るう危険な王子だ。
「ははは!あの子は六歳だぞ?寂しがりやなんだろう?会った事ないが!」
「会った事ないのに!?」
「僕の行き先に悪い奴はいないさ!」
ミィファルトとステラは眉間を抑え溜め息をつく。
第一王子と縁を深めとけば後々甘い汁が吸えると思っていたステラ。
そして、第一王子を蹴落とすつもりで近づいたミィファルト。
両者は自分が悪い奴だと自覚していた。
(この自信はどこかなくるんだ?馬鹿なのか)
(兄が馬鹿は楽だが、明るい馬鹿は厄介だ)
「おや、また精霊が飛び回っている!」
精霊を目視できる人間がいないこの世界でスノーヴァの言う事は嘘とされる。
スノーヴァは見えているのに、だ。
「《こんにちは、愛し子》」
「《今日はいい天気ね!》」
明るい光を纏う妖精がクルクル飛び回る。
「いい天気だな…」
前世で暗い湿った世界で生きてきたスノーヴァは光に目を細めた。
その姿は天上人の様に美しかった。
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