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呪殺士
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「【魔法国】リバーナ王国は優秀な魔法使いと魔石を生み出す豊かな国と言われております。
そして、近隣国とは友好関係を築けております。
右にある【軍事国】サムラクト王国
左にある【商業国】ベネチアーノ王国
下にある【宗教国】テオトコス聖国
上にある【産業国】オルィーニャルゥトゥトゥア王国。
これらは六十年前の十年間続いた帝王戦争で協力関係を築けた事で出来た友好関係です。
そして一番危険なのはメーダヤ帝国です。
あの国の皇帝は狂人でクズでゴミですね。
何かある度に近隣国や我が国を狙ってきます。
一体いくつの国を飲み込めば満足するのでしょうね?
帝王戦争で一度は引いたのですが未だに油断できません。」
ステラが指し棒を片手で折る。
「やけに憎んでるな?」
スノーヴァがノートに落書きをしながら首を傾げる。
「私の父兄と祖父母はこの戦争で死にましたからね。母も精神が狂って自殺しました。
この戦争で我が国は多くの魔法使いを失いました。
しかも、友好関係と先程言いましたがこの時代はどの国も【殺戮兵器】として魔法使いを扱いました。
私は帝国も近隣国も我が国も憎いです。」
「あぁ…なるほど」
スノーヴァは納得した。
十代後半程の見目のステラだが、恐らく寿命が長い種族の血が入っているのだろう。
「【あぁ…あの皇帝かぁ】」
「【可哀想だったねー】」
「【まぁ狂人になるよね】」
妖精達も当時を思い出して苦笑している。
皇帝にも事情があったらしい。
†††
「おにいさま!」
「おや、リンゴじゃないか!」
ミィファルトがスノーヴァに飛び掛かる。
「この間はどこに行かれたのですか?さがしましたよ!」
「バリチェロの所だ!まぁすぐ追い出されたがな!」
ミィファルトは機嫌が良いのかとても良く笑っている。
「では、今日は僕と出掛けましょう!とても良い所を見つけたのです!」
「!!そうか。では出掛けるか!」
「えへへ。では、門の前で馬車を止めて待っていますね!」
そう言い残しミィファルトは去った。
「今日は元気そうだ。
そうだ。念の為指輪を出しておいてくれ」
「【何色がいいの?】」
「ふふ…赤かな」
†††
「おにいさま遅いですよ!さぁ行きましょう!」
ミィファルトがスノーヴァの手を取り馬車に入る。
そして侍女一人がミィファルトの隣に座った。
「……」
スノーヴァは咄嗟に馬車の後ろをチラ見した。
だが護衛の人間を乗せる馬車は無かった。
「随分少ないな!」
「はい、目的の場所に先に行って貰ってるんです!大丈夫ですよ、この侍女は魔法使いでもありますから」
ミィファルトは笑う。
そしてスノーヴァも笑った。
「ミィファルト様。お茶菓子をどうぞ」
「ありがとう。おにいさまも食べましょう!」
「僕は馬車に酔いやすいから遠慮する!」
侍女は忙しなくミィファルトにお茶菓子やお茶を出している。
ミィファルトも喜んでいる事から仲が良いのだろう。
「………」
スノーヴァは何故か侍女を驚いた顔で見ていた。
†††
「ここが目的の場所、か?」
王城から近いロリマヤ山脈。
ここはロロリア公爵が所有する山脈だ。
「はい!この先に絶景があるんですよ!」
「崖と花と虹が存在する場所だろう?」
「えっ…」
スノーヴァは薄ら笑いした。
ミィファルトは動揺する。
「ミィファルトは優秀だな!
だが第一側妃の方が何枚も上手だったぞ?」
スノーヴァが朝食に初めて参加した次の日、ミフィールは昼食にスノーヴァを誘った。
だが待っていたのはある種の歓迎だった。
それを思い出してスノーヴァは『流石親子』とほのぼのしていた。
その時使われたのもこの場所だったのだ。
「おにいさま…僕は…」
「ミィファルト。僕はーーーーーー」
「今なんて言ったのですか?」
スノーヴァは笑った。何時ものように。
天使の様に美しい第一王子。神に愛された聖女の息子。
「さて、僕はお前を殺さなくてはならないな」
「え、なんで…」
「鬱陶しい虫は皆、殺すだろ?それと一緒な!」
スノーヴァの真っ赤な指輪が光る。
だが…
「第一王子、ミィファルト様を御許しください」
ミィファルトの前に侍女が立ち塞がる。
「やはり、お前はシャーマだな?」
シャーマと言われた侍女はカツラと作られた顔を取り、スノーヴァに土下座した。
「お久しぶりでございます。第一王子」
「久しぶりだな!何時から魔法使いになったのだ?お前は呪殺使いだろ
どうせ第一側妃がミィファルトの事を聞いてお前を寄越したのだろうがな」
シャーマは震えていた。
スノーヴァが恐ろしいのだろう。
「???一体何の話をされてるんです?」
「ミィファルト様。私はミフィール側妃に第一王子殺害を依頼されました。
あのお方は冷酷な方。どうか目を覚まされて下さい」
シャーマは土下座したまま答えた。
(馬車での様子を見る限りシャーマはミィファルトが大切なのだろう。)
確信したスノーヴァは悪い笑顔になった。
「???どういう事?お前は誰??」
「ミィファルトが僕を殺す、と言う情報を第一側妃が聞いたのだろう。
それで呪殺士であるシャーマに依頼したのだ。
絶対に僕を殺せるようにな!」
「お母様は、僕の手伝いをしてくれだのですか?」
ミィファルトは母親が自分の味方である、と信じて疑わなかった。
「ミィファルト様。ミィファルト様が今ここで第一王子を殺害してしまったら、少なくとも王位継承権は剥奪されます」
「人目がある廊下で僕を誘い門番や市民もいる場所で馬車に僕を乗せたのだ。
僕が死ねば間違いなくミィファルトが疑われるだろう。証言・証拠も沢山あるしな。
国王はシャーマは処刑、ミィファルトは良くて剥奪の上幽閉の刑を告げるだろう。
第一側妃は何を考えているのだ?自分の息子が第一王子殺害の罪で捕まったら立場がないだろう?」
「ミフィール様はそこまでする程王妃様を嫌っております故」
「違う。お母様は僕を愛しているんだ!きっと、何か作戦があるんだ!」
スノーヴァは溜め息をついた。
「ミィファルト…いや、リンゴ。
いつ、愛されていると思ったんだ?
僕には自分の人形に接する人間に見えていたぞ?」
「だって…いや…僕は…」
「第一王子私の命はどうなっても構いません。どうか、ミィファルト様をお助けください」
「…まぁ僕としてもリンゴは殺したくない。今回はお前の命で納得しよう」
スノーヴァとシャーマの会話にミィファルトは更に混乱する。
「ま、待ってください!」
「リンゴ、どうしたんだい?」
「この者は僕を助けようとしてくれた者ですよね??どうか、命を取るのはやめてください!!」
スノーヴァは首を傾げる。
「なら、僕はどうしたら良い?流石に命を取られそうになって『ごめんなさい』『いいよ』は不可能だぞ?」
「僕が持ってる物全て上げます!ですから」
「ミィファルト様…」
スノーヴァは笑った。
「ならリンゴは今日から僕の部下だ」
「ぶ、部下ですか?ですが僕は王に…」
「??僕は生きているぞ?」
†††
ミィファルトは??を浮かべたまま馬車に乗った。
「シャーマ」
ミィファルトが心配でスノーヴァより先に乗ろうとしていたシャーマだったが、スノーヴァに呼ばれ足を止める。
「はい、何でしょう。第一王子」
「ご苦労だった。だが、ミィファルトに情があったのは知らなかったぞ?」
シャーマは笑った。
「貴方より可愛らしいですから。スノーヴァ殿下」
そして、近隣国とは友好関係を築けております。
右にある【軍事国】サムラクト王国
左にある【商業国】ベネチアーノ王国
下にある【宗教国】テオトコス聖国
上にある【産業国】オルィーニャルゥトゥトゥア王国。
これらは六十年前の十年間続いた帝王戦争で協力関係を築けた事で出来た友好関係です。
そして一番危険なのはメーダヤ帝国です。
あの国の皇帝は狂人でクズでゴミですね。
何かある度に近隣国や我が国を狙ってきます。
一体いくつの国を飲み込めば満足するのでしょうね?
帝王戦争で一度は引いたのですが未だに油断できません。」
ステラが指し棒を片手で折る。
「やけに憎んでるな?」
スノーヴァがノートに落書きをしながら首を傾げる。
「私の父兄と祖父母はこの戦争で死にましたからね。母も精神が狂って自殺しました。
この戦争で我が国は多くの魔法使いを失いました。
しかも、友好関係と先程言いましたがこの時代はどの国も【殺戮兵器】として魔法使いを扱いました。
私は帝国も近隣国も我が国も憎いです。」
「あぁ…なるほど」
スノーヴァは納得した。
十代後半程の見目のステラだが、恐らく寿命が長い種族の血が入っているのだろう。
「【あぁ…あの皇帝かぁ】」
「【可哀想だったねー】」
「【まぁ狂人になるよね】」
妖精達も当時を思い出して苦笑している。
皇帝にも事情があったらしい。
†††
「おにいさま!」
「おや、リンゴじゃないか!」
ミィファルトがスノーヴァに飛び掛かる。
「この間はどこに行かれたのですか?さがしましたよ!」
「バリチェロの所だ!まぁすぐ追い出されたがな!」
ミィファルトは機嫌が良いのかとても良く笑っている。
「では、今日は僕と出掛けましょう!とても良い所を見つけたのです!」
「!!そうか。では出掛けるか!」
「えへへ。では、門の前で馬車を止めて待っていますね!」
そう言い残しミィファルトは去った。
「今日は元気そうだ。
そうだ。念の為指輪を出しておいてくれ」
「【何色がいいの?】」
「ふふ…赤かな」
†††
「おにいさま遅いですよ!さぁ行きましょう!」
ミィファルトがスノーヴァの手を取り馬車に入る。
そして侍女一人がミィファルトの隣に座った。
「……」
スノーヴァは咄嗟に馬車の後ろをチラ見した。
だが護衛の人間を乗せる馬車は無かった。
「随分少ないな!」
「はい、目的の場所に先に行って貰ってるんです!大丈夫ですよ、この侍女は魔法使いでもありますから」
ミィファルトは笑う。
そしてスノーヴァも笑った。
「ミィファルト様。お茶菓子をどうぞ」
「ありがとう。おにいさまも食べましょう!」
「僕は馬車に酔いやすいから遠慮する!」
侍女は忙しなくミィファルトにお茶菓子やお茶を出している。
ミィファルトも喜んでいる事から仲が良いのだろう。
「………」
スノーヴァは何故か侍女を驚いた顔で見ていた。
†††
「ここが目的の場所、か?」
王城から近いロリマヤ山脈。
ここはロロリア公爵が所有する山脈だ。
「はい!この先に絶景があるんですよ!」
「崖と花と虹が存在する場所だろう?」
「えっ…」
スノーヴァは薄ら笑いした。
ミィファルトは動揺する。
「ミィファルトは優秀だな!
だが第一側妃の方が何枚も上手だったぞ?」
スノーヴァが朝食に初めて参加した次の日、ミフィールは昼食にスノーヴァを誘った。
だが待っていたのはある種の歓迎だった。
それを思い出してスノーヴァは『流石親子』とほのぼのしていた。
その時使われたのもこの場所だったのだ。
「おにいさま…僕は…」
「ミィファルト。僕はーーーーーー」
「今なんて言ったのですか?」
スノーヴァは笑った。何時ものように。
天使の様に美しい第一王子。神に愛された聖女の息子。
「さて、僕はお前を殺さなくてはならないな」
「え、なんで…」
「鬱陶しい虫は皆、殺すだろ?それと一緒な!」
スノーヴァの真っ赤な指輪が光る。
だが…
「第一王子、ミィファルト様を御許しください」
ミィファルトの前に侍女が立ち塞がる。
「やはり、お前はシャーマだな?」
シャーマと言われた侍女はカツラと作られた顔を取り、スノーヴァに土下座した。
「お久しぶりでございます。第一王子」
「久しぶりだな!何時から魔法使いになったのだ?お前は呪殺使いだろ
どうせ第一側妃がミィファルトの事を聞いてお前を寄越したのだろうがな」
シャーマは震えていた。
スノーヴァが恐ろしいのだろう。
「???一体何の話をされてるんです?」
「ミィファルト様。私はミフィール側妃に第一王子殺害を依頼されました。
あのお方は冷酷な方。どうか目を覚まされて下さい」
シャーマは土下座したまま答えた。
(馬車での様子を見る限りシャーマはミィファルトが大切なのだろう。)
確信したスノーヴァは悪い笑顔になった。
「???どういう事?お前は誰??」
「ミィファルトが僕を殺す、と言う情報を第一側妃が聞いたのだろう。
それで呪殺士であるシャーマに依頼したのだ。
絶対に僕を殺せるようにな!」
「お母様は、僕の手伝いをしてくれだのですか?」
ミィファルトは母親が自分の味方である、と信じて疑わなかった。
「ミィファルト様。ミィファルト様が今ここで第一王子を殺害してしまったら、少なくとも王位継承権は剥奪されます」
「人目がある廊下で僕を誘い門番や市民もいる場所で馬車に僕を乗せたのだ。
僕が死ねば間違いなくミィファルトが疑われるだろう。証言・証拠も沢山あるしな。
国王はシャーマは処刑、ミィファルトは良くて剥奪の上幽閉の刑を告げるだろう。
第一側妃は何を考えているのだ?自分の息子が第一王子殺害の罪で捕まったら立場がないだろう?」
「ミフィール様はそこまでする程王妃様を嫌っております故」
「違う。お母様は僕を愛しているんだ!きっと、何か作戦があるんだ!」
スノーヴァは溜め息をついた。
「ミィファルト…いや、リンゴ。
いつ、愛されていると思ったんだ?
僕には自分の人形に接する人間に見えていたぞ?」
「だって…いや…僕は…」
「第一王子私の命はどうなっても構いません。どうか、ミィファルト様をお助けください」
「…まぁ僕としてもリンゴは殺したくない。今回はお前の命で納得しよう」
スノーヴァとシャーマの会話にミィファルトは更に混乱する。
「ま、待ってください!」
「リンゴ、どうしたんだい?」
「この者は僕を助けようとしてくれた者ですよね??どうか、命を取るのはやめてください!!」
スノーヴァは首を傾げる。
「なら、僕はどうしたら良い?流石に命を取られそうになって『ごめんなさい』『いいよ』は不可能だぞ?」
「僕が持ってる物全て上げます!ですから」
「ミィファルト様…」
スノーヴァは笑った。
「ならリンゴは今日から僕の部下だ」
「ぶ、部下ですか?ですが僕は王に…」
「??僕は生きているぞ?」
†††
ミィファルトは??を浮かべたまま馬車に乗った。
「シャーマ」
ミィファルトが心配でスノーヴァより先に乗ろうとしていたシャーマだったが、スノーヴァに呼ばれ足を止める。
「はい、何でしょう。第一王子」
「ご苦労だった。だが、ミィファルトに情があったのは知らなかったぞ?」
シャーマは笑った。
「貴方より可愛らしいですから。スノーヴァ殿下」
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