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6.襲撃
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頭の中が真っ白になって、思わずしゃがみ込んだ。
「ラムリース、どうした!?」
ミリーが慌てて戻って来る。
「・・・いやな奴がいた」
すると、ミリーは同じようにしゃがむと私の両手を握った。
「大丈夫、私がいる。誰だって近寄らせない。それにラムリースも短棒を使うのが上手いじゃないか、そいつが何かして来たら思い切りやり返せばいい。副修道長もそうしなさいと言っていた」
そう言って私の目を覗き込んでくる。銀色の長いまつ毛に縁取られた緑がかった青い瞳は優しげに細められる。マジ天使。ああ、そうだった。ちょっと涙目になっていたけど、涙が引っ込んだ気がする。ミリーはとても強いのだ。さっきのがもしリノだったとしてもミリーがいてくれるのだ。そう考えると、落ち着いて来た。
「ごめんなさい、もう大丈夫」
修道服の腰に付けている短棒を触って確かめた。コレがある。抵抗位はできる筈。
それからミリーと手を繋いでテントに戻ると、片付けが始まっていた。急いで一緒に片付ける。
「何か美味しい物はあった?」
アマンダ先輩に聞かれた。
「フルーツ味の飴細工を食べました。可愛くて、美味しかったです」
「そう、良かったわね」
皆で手際良く荷物を片付け荷車に積み込んだ。
ヤギと羊も品評会で金賞、銀賞を貰ったそうだ。
「毎年メルンさんのヤギと競り合うんだけど。今年もだったね。去年は負けたけど今年はうちの勝ちだったわ」
エミーネ先輩が鼻息荒く、拳を突き上げた。それを見た他の先輩たちが笑う。
荷台に乗って揺られながら山道に差し掛かる頃、ただでさえ遅い速度が急に落ちて止まった。
「何者です!」
御者をしているルナ先輩の声が聞こえた。
その一瞬で、ザッという音と共に私以外の皆が立ち上がり腰の短棒を手にしたのだ。
「えっ?」
「ラムリース、貴女は中に居なさい。ミリー、頼んだわよ」
「はい」
ミリーが頷いた。彼女の気配が変化するのを感じる。
そういえば、と思った。今回の祭りの手伝いのメンバーが猛者と呼ばれるカレナの精鋭揃いだということに今更ながら気付いたのだ。
外で明らかに戦っている気配がする。『ドッ、ドンッ』という鈍い短棒の突きの音があちこちで聞こえ、男達の呻き声が上がるのが聞こえた。
「これは、何が起こってるの?」
私はミリーに問いかけた。
「来る!、ラムリースは下がって」
突然誰かが幌の入り口から侵入して来ようとして来た。すかさず前に立っていたミリーの短棒が伸びて突き落とした。
一瞬見ただけだけど、短棒の突きを交差した手首でいなして外に出された男は金髪だった。
男を追って飛び降りたミリーを私は追って、外を見ると、死屍累々といった惨状となっていた。
黒ずくめの男達が十数人倒れて散っている。先輩方は皆無事の様だ。
ミリーの姿は見えなかったが。金属音が響き、相手の男と戦って飛び回っているのが分かった。金属音という事は相手は剣を使っているのかもしれない。
「ラムリース、ミリーは大丈夫よ」
アマンダ先輩の声がする。そうしているうちに、戦っていた音が止んで茂みの陰からミリーが出てきた。
「逃げられました。馬鹿力の持ち主です」
カシャリと音をさせて短棒を腰に装着させて、手をブンブン振った。
「そう、向こうも抵抗されて驚いたでしょうね。手合わせはどうだった?」
「こいつだな、と、思いました」
何故かミリーはニヤリと笑ったのだ。
「なるほどね。ま、想定内の出来事だった。皆、怪我は無いかしら?」
アマンダ先輩の声に他の先輩方が一斉に頷いたのが分かる。
「ラムリース、驚いたでしょう?この事は後で修道長様から説明がありますから、とりあえず帰りましょう」
邪魔な男達を道の脇に寄せて、何事も無かったかのように帰路についた。
帰り道は不自然な程祭りの話しばかりだったけど、私は疲れたのかボーっとしていた。
「ラムリース、どうした!?」
ミリーが慌てて戻って来る。
「・・・いやな奴がいた」
すると、ミリーは同じようにしゃがむと私の両手を握った。
「大丈夫、私がいる。誰だって近寄らせない。それにラムリースも短棒を使うのが上手いじゃないか、そいつが何かして来たら思い切りやり返せばいい。副修道長もそうしなさいと言っていた」
そう言って私の目を覗き込んでくる。銀色の長いまつ毛に縁取られた緑がかった青い瞳は優しげに細められる。マジ天使。ああ、そうだった。ちょっと涙目になっていたけど、涙が引っ込んだ気がする。ミリーはとても強いのだ。さっきのがもしリノだったとしてもミリーがいてくれるのだ。そう考えると、落ち着いて来た。
「ごめんなさい、もう大丈夫」
修道服の腰に付けている短棒を触って確かめた。コレがある。抵抗位はできる筈。
それからミリーと手を繋いでテントに戻ると、片付けが始まっていた。急いで一緒に片付ける。
「何か美味しい物はあった?」
アマンダ先輩に聞かれた。
「フルーツ味の飴細工を食べました。可愛くて、美味しかったです」
「そう、良かったわね」
皆で手際良く荷物を片付け荷車に積み込んだ。
ヤギと羊も品評会で金賞、銀賞を貰ったそうだ。
「毎年メルンさんのヤギと競り合うんだけど。今年もだったね。去年は負けたけど今年はうちの勝ちだったわ」
エミーネ先輩が鼻息荒く、拳を突き上げた。それを見た他の先輩たちが笑う。
荷台に乗って揺られながら山道に差し掛かる頃、ただでさえ遅い速度が急に落ちて止まった。
「何者です!」
御者をしているルナ先輩の声が聞こえた。
その一瞬で、ザッという音と共に私以外の皆が立ち上がり腰の短棒を手にしたのだ。
「えっ?」
「ラムリース、貴女は中に居なさい。ミリー、頼んだわよ」
「はい」
ミリーが頷いた。彼女の気配が変化するのを感じる。
そういえば、と思った。今回の祭りの手伝いのメンバーが猛者と呼ばれるカレナの精鋭揃いだということに今更ながら気付いたのだ。
外で明らかに戦っている気配がする。『ドッ、ドンッ』という鈍い短棒の突きの音があちこちで聞こえ、男達の呻き声が上がるのが聞こえた。
「これは、何が起こってるの?」
私はミリーに問いかけた。
「来る!、ラムリースは下がって」
突然誰かが幌の入り口から侵入して来ようとして来た。すかさず前に立っていたミリーの短棒が伸びて突き落とした。
一瞬見ただけだけど、短棒の突きを交差した手首でいなして外に出された男は金髪だった。
男を追って飛び降りたミリーを私は追って、外を見ると、死屍累々といった惨状となっていた。
黒ずくめの男達が十数人倒れて散っている。先輩方は皆無事の様だ。
ミリーの姿は見えなかったが。金属音が響き、相手の男と戦って飛び回っているのが分かった。金属音という事は相手は剣を使っているのかもしれない。
「ラムリース、ミリーは大丈夫よ」
アマンダ先輩の声がする。そうしているうちに、戦っていた音が止んで茂みの陰からミリーが出てきた。
「逃げられました。馬鹿力の持ち主です」
カシャリと音をさせて短棒を腰に装着させて、手をブンブン振った。
「そう、向こうも抵抗されて驚いたでしょうね。手合わせはどうだった?」
「こいつだな、と、思いました」
何故かミリーはニヤリと笑ったのだ。
「なるほどね。ま、想定内の出来事だった。皆、怪我は無いかしら?」
アマンダ先輩の声に他の先輩方が一斉に頷いたのが分かる。
「ラムリース、驚いたでしょう?この事は後で修道長様から説明がありますから、とりあえず帰りましょう」
邪魔な男達を道の脇に寄せて、何事も無かったかのように帰路についた。
帰り道は不自然な程祭りの話しばかりだったけど、私は疲れたのかボーっとしていた。
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