断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい

花音月雫

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最終章

お母様が行方不明ですわ

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今にも倒れそうなご婦人をお部屋に移動させてソファーに座らせました。
そして少し落ち着いてきた頃にポツリ、ポツリと話してくれましたわ。

「1時間前までは何事もなく......。あの子に私や家族が分かる?と訊いたら小さく頷くようになりましたが殆ど喋る事はありませんでしたわ。何かに怯えて話せないようでした。私達家族も無理には訊きませんでしたの。ですが昨日、突然に貴方様に伝えたい事があると叫び出したのです。来てくれると聞いて静かになりました」

「そうでしたのですね」

「そして今日は朝から機嫌が良く話も少しする様になり一瞬、行方不明になる前のベルナデッドに戻ってくれたのかと思うほどでした。でもやはり意識が時々途切れたりしていました。ですが貴方様がもう少しでいらっしゃるから着替えたいと言って部屋に入ったのですわ」

ご婦人は両手で顔を覆い泣き始めてしまいました。

「辛い事訊いてしまって申し訳ない。最後まで話せますか?」

お父様がご婦人に優しく問いかけました。

「はい......。ベルナデッドが部屋に入って1時間しても出て来ないので用意は出来た?と、ノックしても返事が無く......。
扉を開けるとあの状態でしたわ......」

ご婦人は気分が悪いと言ってソファーに横になりました。
お屋敷のメイドさんに側に付いてもらい私達はあの部屋へと戻ります。

遺体は本当に酷い状態です。
私はお部屋に残る聖力を感知しましたわ。微かにですが聖力です。この聖力がベルナデッド様の頭を潰したのですわ。聖力なのに暗い闇の様なものを感じます。

この聖力は馴染みのある聖力ですわ。
ルカさんもお父様も感じ取った様でした。

「これは......。この聖力は......」

ルカさんが言いかけた時、聖騎士が1人走って来ました。

「本部には伝えたか?」

お父様がその聖騎士に問いかけます。

「そちらの方は大丈夫です!しかし団長!リリー様が行方不明に!」

「何だと⁉︎リリーが?」

え?お母様が?行方不明に⁉︎

「どういう事か説明しろ!」

お父様が凄い剣幕で聖騎士に問いかけます。

「はい!神官様が午後のお茶をと声をかけに行くと何処にも姿が見当たらなく......。そしてユーリン様の行方も分からなくなっています!」

「お母様を誘拐した犯人はユーリン様ですわ!早く捜索を!」

私は2人の会話に割って入りましたわ。

そうなのです。このお部屋に残っていた聖力はユーリン様のものです。
その聖力は狂気を含んでいますの。
お母様が危ないですわ!

「この部屋に残っていた聖力はやはりユーリン様のもので間違いないよね?今まで行方不明になっている元聖女様達もユーリン様が......」

ルカさんが信じられないといった感じで頭を抱えていますわ。

「一先ず教会へ戻ろう!」

お父様が叫んだ時でしたわ。
お屋敷の外が騒がしくなりました。
窓から見てみると魔獣が沢山居ますわ!
次々に人々を襲っています。

「何故、突然に魔獣が⁉︎」

お父様が呟きました。
そこにまた違う聖騎士がやって来て言いました。

「魔王が!魔王が王都を攻撃しています!魔獣や悪魔達も一緒に現れて街を攻撃しています!騎士団長!早く本部へお戻り下さい!」

魔王ですって⁉︎前の人生では私が18歳になって処刑された後に現れたのではなかったでしょうか?まだ私は16歳なのに!

「お父様!ルカさんと一緒に早く聖騎士団本部へお戻り下さい!私はここの魔獣の相手をしてから教会へ戻りますわ!」

「アイラ1人を残しては行けない!」

ルカさんが叫びます。

「駄目です!私は大丈夫ですので!ルカさんは神子様なのですよ?聖騎士団の本部で守ってもらって下さい!ルカさんに何かあった方が大変なのです!」

お父様と私は目と目で会話します。

『私の力はお父様も分かっているでしょう?だから大丈夫ですわ。それよりルカさんはこの世界において居なくてはならないお人です。安全な場所へ!』

『分かった。でも自分の命を大事にしてくれ。また後で会おう』

流石お父様ですわ!分かってくれました。お父様は嫌がるルカさんの手を引っ張り移転魔法で消えました。
これで私も思う存分に戦えますわ。
ここの魔獣を倒してからお母様を探し出しますわ!

あ、魔王が王都の何処に居るのかも探さなくては!やる事が沢山。
でも私の中の戦狂いの大聖女様がムクムクと出てきて今の状況を楽しんでいます。本当に大聖女様の『血』というのは恐ろしいですわ......。

私はお屋敷から出て魔獣が暴れている場所へと残っていた護衛の聖騎士達と共に走ります。もう既に民兵隊が戦っていましたわ。あら?見覚えのあるお顔がいます。

「よう!アイラ?久しぶりだな!」

「ルース様⁉︎何故ここに?」

「うーん。たまたま?ほらここ何ヶ月も魔獣が出てなかったから数日前に実家に帰って来てたんだよ。そしたら突然に魔獣が次々に現れただろう?加勢しに来たってわけ」

私達は魔獣と戦いながら話していますわ。流石です。場数を踏んできているルース様は私と話しながらでも確実に魔獣を倒していきます。







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