12 / 42
第一章 公爵令嬢の姉
12 姉として王宮に行き
しおりを挟む
魔力測定が終わって帰宅したら、気を失うまで父親に折檻された。
「我がエイヴァリーズ公爵の名を汚しおって。この出来損ない。恥を知れ」
殴られ蹴られ罵倒され、気が付くと自分のベッドにいた。
この時は側に瓶があったから、侍女がポーションを掛けてくれたのだろう。
そして私の待遇はまた悪くなった。
まず私付きの侍女がいなくなった。
顔も合わせなくないと、両親と妹と食事は別となり遅いと勝手に下げられた。
確実に食べられるのは朝食のみとなり、それも量はなかった。
両親は何を考えているのだろう、私に勉強を強要し続けた。
魔力はないと罵倒するのに、魔術の勉強は妹より厳しかった。
公爵家の恥と言いながら、次期公爵の勉強は続けさせられた。
妹に全てが劣る、と侮蔑されながらも王太子妃教育を辞める事は許されなかった。
魔術と次期公爵教育の教師には、溢れた貴族の三男や四男がついた。
職がないからと、公爵家を頼って一時的に家庭教師をしているだけの人達。
やる気も知識もなく、難しい本を与えられ課題を何十枚も提出させられた。
その課題を持って、宮廷の官職を得たと聞いた時には思わず笑ってしまった。
いつも無表情の私が不気味に笑う姿に、近くを通りかかった侍女が引きつった顔をしていた。
十歳の頃には学園卒業までの勉強は修了していたと思う。
ただ教師がコロコロと変わるので、抜けている事が沢山あったようだ。
それは学園に入ってから実感した。
十一歳の誕生日が過ぎたある時、私はなぜが妹と一緒に王宮に来た。
私には理由が分からなかったが、妹から地味な服を与えられた。
妹は驚く程華美に着飾っていた。
「マリアーヌは本当に綺麗ね」
「王太子はマリアーヌに骨抜きにされるだろうな。溺愛されるとよい。我が家の事も頼んだぞ」
笑いながら妹に媚びる両親は、まるで私をいない者として扱った。
王宮に着き、妹が私と自分に何か魔術を掛けた。
それからは会う人達が私を無視する。
「ふふっ、貴方は存在感が元々ないんだもの。私の魅力の足しには足りないけど、使って上げるんだから感謝しなさい」
どうやら、人の存在感を奪って自分の物を膨らます魔術を使ったらしい。
「ここらでいいかな……ああ疲れたー」
「はは、マリアーヌには要らない魔術だが王太子妃になるには必須だからな。将来存在感の薄い子供が出来たら使ってやりなさい」
「そうよ、将来の為ですもの」
王宮のある部屋に入って妹は魔術を解いた。
解かれた瞬間、重石を乗せられた様な疲労感が全身を覆う。
私の状態など気にもせず、楽しそうに話をする人達。
その後当然の様に書類を渡された。
私は、ただただ疲れた体を奮い立たせて取り組んだ。
私が書類と格闘している時間、三人は優雅にお茶を飲み妹の自慢話に夢中になっていた。
「我がエイヴァリーズ公爵の名を汚しおって。この出来損ない。恥を知れ」
殴られ蹴られ罵倒され、気が付くと自分のベッドにいた。
この時は側に瓶があったから、侍女がポーションを掛けてくれたのだろう。
そして私の待遇はまた悪くなった。
まず私付きの侍女がいなくなった。
顔も合わせなくないと、両親と妹と食事は別となり遅いと勝手に下げられた。
確実に食べられるのは朝食のみとなり、それも量はなかった。
両親は何を考えているのだろう、私に勉強を強要し続けた。
魔力はないと罵倒するのに、魔術の勉強は妹より厳しかった。
公爵家の恥と言いながら、次期公爵の勉強は続けさせられた。
妹に全てが劣る、と侮蔑されながらも王太子妃教育を辞める事は許されなかった。
魔術と次期公爵教育の教師には、溢れた貴族の三男や四男がついた。
職がないからと、公爵家を頼って一時的に家庭教師をしているだけの人達。
やる気も知識もなく、難しい本を与えられ課題を何十枚も提出させられた。
その課題を持って、宮廷の官職を得たと聞いた時には思わず笑ってしまった。
いつも無表情の私が不気味に笑う姿に、近くを通りかかった侍女が引きつった顔をしていた。
十歳の頃には学園卒業までの勉強は修了していたと思う。
ただ教師がコロコロと変わるので、抜けている事が沢山あったようだ。
それは学園に入ってから実感した。
十一歳の誕生日が過ぎたある時、私はなぜが妹と一緒に王宮に来た。
私には理由が分からなかったが、妹から地味な服を与えられた。
妹は驚く程華美に着飾っていた。
「マリアーヌは本当に綺麗ね」
「王太子はマリアーヌに骨抜きにされるだろうな。溺愛されるとよい。我が家の事も頼んだぞ」
笑いながら妹に媚びる両親は、まるで私をいない者として扱った。
王宮に着き、妹が私と自分に何か魔術を掛けた。
それからは会う人達が私を無視する。
「ふふっ、貴方は存在感が元々ないんだもの。私の魅力の足しには足りないけど、使って上げるんだから感謝しなさい」
どうやら、人の存在感を奪って自分の物を膨らます魔術を使ったらしい。
「ここらでいいかな……ああ疲れたー」
「はは、マリアーヌには要らない魔術だが王太子妃になるには必須だからな。将来存在感の薄い子供が出来たら使ってやりなさい」
「そうよ、将来の為ですもの」
王宮のある部屋に入って妹は魔術を解いた。
解かれた瞬間、重石を乗せられた様な疲労感が全身を覆う。
私の状態など気にもせず、楽しそうに話をする人達。
その後当然の様に書類を渡された。
私は、ただただ疲れた体を奮い立たせて取り組んだ。
私が書類と格闘している時間、三人は優雅にお茶を飲み妹の自慢話に夢中になっていた。
75
あなたにおすすめの小説
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる