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第一章 公爵令嬢の姉
13 姉として王宮で励み
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この頃からだろうか、逃げられないだろうか?と考え始めたのは。
遅いと思うかもしれない。
だが今までの私の生活は、屋敷の中で終結していた。
教師は来るが親身になってくれた先生は、キャサリン先生ただ一人。
ただ厳しい先生だったから、勉強中の雑談は数える程しかしていない。
外が屋敷の中と違うなんて、本の中の架空の出来事と同じくらい私にとっては現実味がなかった。
誕生会は妹を祝うだけで、私は部屋に閉じ込められていたから、人との接触も教師以外なかった。
両親からは折檻され、教師からは寝る間も惜しんで勉強させられ、そこまでの思考にたどり着けなかったのだ。
そういう意味では、王宮へ行った事は良い機会だったのだろう。
だが、妹にとっても別の意味で良い機会だったのだ。
この頃から王太子との接触を増やしていった妹は、相変わらず面倒な事は私に押し付けた。
時には無断で私を連れ出し、私は教師に勉強を嫌がって逃げたと言われ、両親に折檻される。
私が妹に連れられ、王宮に行っていたと言っても信じてもらえず、妹は我関せずで知らん顔だった。
妹は私を王宮へ連れる際、必ず妹が与えた地味な服を着せた。
これはどうやら魔道具で、魔術を乗せやすいようだ。
姿隠しや変化など色々と妹は試していった。
ある時王宮で、ばったりと王太子と会った。
「やあ、マリアーヌ。来るのが早いな。お茶会の時間までまだあるよ」
「オーレイヤン殿下。少し所用がありましたので早めに来ましたの」
「そうか、ところで見かけない女がいるな。今まで見た事がない位、不細工なのを連れてどうした?新しい侍女という訳でもあるまいし……」
王太子は私をジロジロと見て言った。
この時は変化の術を掛けられていた。
「ふふ、凄い不細工に仕上がったわ。ほら見て。そう思うでしょう?」
鏡を持って見せられたが、私の魔力が足りないのかどの様に魔術が掛かっているのか分からない。
私が曖昧に頷くと、妹は満足したようだった。
「そうでしょう、あまりの不細工ぶりを自覚させようと王宮へ連れてきたの」
楽しそうに妹は笑った。
「晒し者か?あまりいい趣味ではないぞ。それはそうと、この前の書類の出来は良かった。色んなところで褒められてな。マリアーヌまた頼めるか?」
「もちろんですわ。オーレイヤン殿下のお役に立ててなによりです」
楽しく談笑する二人の話を下を向いて聞いていた。
私は次期王太子妃の仕事だけでなく、王太子の仕事もさせられていたのか。
どおりで量が多いわけだ。
「しかし……酷いな。この様な者を連れていると、マリアーヌの品位に関わるぞ」
「ふふ、今日だけですわ。ですがこれでも便利なところがあるのですよ」
王太子と別れ、妹に与えられた部屋に入ると妹が本来の顔を見せた。
「これで分かったでしょう?貴方は本当に醜いの。だから、ちょっと殿下に誉められたからっていい気にならないで。所詮私の便利な代理でしかないんだから」
バシッと派手な音がして頬が熱くなる。
「私の美しい手を傷付けておいて、何ぼさっと立っているの。早く取り掛かりなさいよ」
侍女から手にポーションを振りかけられながら妹は言った。
この事は、家から妹からこの国から逃げなければと強く思わせた。
遅いと思うかもしれない。
だが今までの私の生活は、屋敷の中で終結していた。
教師は来るが親身になってくれた先生は、キャサリン先生ただ一人。
ただ厳しい先生だったから、勉強中の雑談は数える程しかしていない。
外が屋敷の中と違うなんて、本の中の架空の出来事と同じくらい私にとっては現実味がなかった。
誕生会は妹を祝うだけで、私は部屋に閉じ込められていたから、人との接触も教師以外なかった。
両親からは折檻され、教師からは寝る間も惜しんで勉強させられ、そこまでの思考にたどり着けなかったのだ。
そういう意味では、王宮へ行った事は良い機会だったのだろう。
だが、妹にとっても別の意味で良い機会だったのだ。
この頃から王太子との接触を増やしていった妹は、相変わらず面倒な事は私に押し付けた。
時には無断で私を連れ出し、私は教師に勉強を嫌がって逃げたと言われ、両親に折檻される。
私が妹に連れられ、王宮に行っていたと言っても信じてもらえず、妹は我関せずで知らん顔だった。
妹は私を王宮へ連れる際、必ず妹が与えた地味な服を着せた。
これはどうやら魔道具で、魔術を乗せやすいようだ。
姿隠しや変化など色々と妹は試していった。
ある時王宮で、ばったりと王太子と会った。
「やあ、マリアーヌ。来るのが早いな。お茶会の時間までまだあるよ」
「オーレイヤン殿下。少し所用がありましたので早めに来ましたの」
「そうか、ところで見かけない女がいるな。今まで見た事がない位、不細工なのを連れてどうした?新しい侍女という訳でもあるまいし……」
王太子は私をジロジロと見て言った。
この時は変化の術を掛けられていた。
「ふふ、凄い不細工に仕上がったわ。ほら見て。そう思うでしょう?」
鏡を持って見せられたが、私の魔力が足りないのかどの様に魔術が掛かっているのか分からない。
私が曖昧に頷くと、妹は満足したようだった。
「そうでしょう、あまりの不細工ぶりを自覚させようと王宮へ連れてきたの」
楽しそうに妹は笑った。
「晒し者か?あまりいい趣味ではないぞ。それはそうと、この前の書類の出来は良かった。色んなところで褒められてな。マリアーヌまた頼めるか?」
「もちろんですわ。オーレイヤン殿下のお役に立ててなによりです」
楽しく談笑する二人の話を下を向いて聞いていた。
私は次期王太子妃の仕事だけでなく、王太子の仕事もさせられていたのか。
どおりで量が多いわけだ。
「しかし……酷いな。この様な者を連れていると、マリアーヌの品位に関わるぞ」
「ふふ、今日だけですわ。ですがこれでも便利なところがあるのですよ」
王太子と別れ、妹に与えられた部屋に入ると妹が本来の顔を見せた。
「これで分かったでしょう?貴方は本当に醜いの。だから、ちょっと殿下に誉められたからっていい気にならないで。所詮私の便利な代理でしかないんだから」
バシッと派手な音がして頬が熱くなる。
「私の美しい手を傷付けておいて、何ぼさっと立っているの。早く取り掛かりなさいよ」
侍女から手にポーションを振りかけられながら妹は言った。
この事は、家から妹からこの国から逃げなければと強く思わせた。
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