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幕間―別視点【四人ピックアップ】
便利な道具を勝手に捨てられた(後編)
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姉と言われる存在に、初めて会ったのは三歳の時だった。
楽しみな誕生日会直前に紹介されたのだが、私が思ったのは『気味が悪い』だった。
だって考えても見て欲しい。
目の前に鏡に映った自分がいたのよ。
よくよく見ると少し小さかったけど、そんなの関係ない。
私の偽物がいると思った。
だから私はいらないと思った。
お父様にそう言ったらいなくなった。
その子がもらっていた可愛いい物は私がもらった。
当然でしょう、私の偽物なんだからもらった物は私のものよ。
その代わり、優しい私は要らない物をあげたわ。
だってこんな重い本や古い道具を、お父様は貴重なものだと言うんだもの。
私にはゴミでしかないけど、せっかくの誕生日プレゼントを捨ててはいけないのなら、どこかにやればいいと思ったのよ。
これが欲しい。あれは要らない。全ての希望が叶ったわ。
私は大事で大切で可愛くて綺麗で素敵な公爵家令嬢で……全てが思いのままだった。
たまに違うことが起きたけど、そのうち希望が叶っていった。
嫌なものは全部あの子に渡す。
そのうち偽物が私の代わりに、都合のいい物を作った。
まるで便利な道具の様に、使い方次第で私はたくさん褒められた。
私に使ってもらえるんだから感謝しなさい。
そんな日々が続き、学園最終学年になった。
そして、それは起きた。
何故か上手くいかなかったのよね。
あれが試験になんか出るから悪いのよ。
休んで、私の筆記試験を片付けるべきだった。
優先は私なのに、融通がきかない。
私の魔術に理論なんて必要ないの。
魔力さえあれば出来るのよ、理論を振りかざすのは足りないから補う為でしょう?
それでもいつもの様に何とかなると思ったのに、王宮の魔術師はなんて堅物なんだろう。
あぁ成績が落ちてしまった、失敗には罰を与えなければ。
私の思い通りに動かないのが悪いのだから。
停学?いいえ退学がいい。
学園長には、将来の地位を約束し公爵家からとお金も渡している。
こちらは思い通りに動いてくれるわ。
一旦退学させて卒業間近に私が許して復帰させるの。
なんて優しいのでしょう。
きっと慈悲深い王太子妃と言われるわ。
それまでは筆記試験だけ私の姿に変え、代わりを務めさせる。
王宮で試しても気づかれなかったのよ、私の魔術は完璧なの。
それにこれから王宮行事が増えるもの。
今まで学園にいた時間を有効に使わせなければ。
そう思って屋敷に帰って来たのに、これは何?
は?
追い出した?ありえないでしょう。
両親は試験の入れ替えは入学時だけだと思っている。
入学して私がすぐ学園長と交渉した事は言っていない。
「あのような出来損ないの世間知らずは、どこかで野垂れ死んでいるだろう」
「そんな、残酷ですわ。私は身内がその様な事になるなんて耐えられません」
「なんて優しいの、マリアーヌは。でももう身内でもなんでもないのよ」
私は泣きながら必死に両親に訴えた。
こんな人達を説得しないといけないなんて泣けるわ。
いつもの様にすぐに叶えなさいよ。
「はぁ、仕方ないな。そこまで言うなら一応探してやろう」
あれにお金は一切渡していない、それなのに不安が残る。
部屋を見るが荷物はほとんどない。
でも、荷物は元々少なかった。
お父様が大袈裟に貴重だと言っていた物も時代遅れだからゴミよね。
学園支給のありきたりな魔道具だって大した物ではないわ。
リディアーヌが今回の退学を苦にして家を出てしまったと王宮に報告し、捜索隊の派遣の許可が下りた。
追い出したなんて人聞きが悪い、悲観して勝手に出て行ったのよ。
だから、早く見つけて連れ戻さないと可哀想でしょう?
今度は自由なんて与えない。
私に迷惑をかけた分、たっぷり返してもらわなければ。
―――私は分かっていなかった。この国の広さも他国の広さも……
私が頼んで捜索すれば、いつもの様にすぐに叶うと思っていた。
楽しみな誕生日会直前に紹介されたのだが、私が思ったのは『気味が悪い』だった。
だって考えても見て欲しい。
目の前に鏡に映った自分がいたのよ。
よくよく見ると少し小さかったけど、そんなの関係ない。
私の偽物がいると思った。
だから私はいらないと思った。
お父様にそう言ったらいなくなった。
その子がもらっていた可愛いい物は私がもらった。
当然でしょう、私の偽物なんだからもらった物は私のものよ。
その代わり、優しい私は要らない物をあげたわ。
だってこんな重い本や古い道具を、お父様は貴重なものだと言うんだもの。
私にはゴミでしかないけど、せっかくの誕生日プレゼントを捨ててはいけないのなら、どこかにやればいいと思ったのよ。
これが欲しい。あれは要らない。全ての希望が叶ったわ。
私は大事で大切で可愛くて綺麗で素敵な公爵家令嬢で……全てが思いのままだった。
たまに違うことが起きたけど、そのうち希望が叶っていった。
嫌なものは全部あの子に渡す。
そのうち偽物が私の代わりに、都合のいい物を作った。
まるで便利な道具の様に、使い方次第で私はたくさん褒められた。
私に使ってもらえるんだから感謝しなさい。
そんな日々が続き、学園最終学年になった。
そして、それは起きた。
何故か上手くいかなかったのよね。
あれが試験になんか出るから悪いのよ。
休んで、私の筆記試験を片付けるべきだった。
優先は私なのに、融通がきかない。
私の魔術に理論なんて必要ないの。
魔力さえあれば出来るのよ、理論を振りかざすのは足りないから補う為でしょう?
それでもいつもの様に何とかなると思ったのに、王宮の魔術師はなんて堅物なんだろう。
あぁ成績が落ちてしまった、失敗には罰を与えなければ。
私の思い通りに動かないのが悪いのだから。
停学?いいえ退学がいい。
学園長には、将来の地位を約束し公爵家からとお金も渡している。
こちらは思い通りに動いてくれるわ。
一旦退学させて卒業間近に私が許して復帰させるの。
なんて優しいのでしょう。
きっと慈悲深い王太子妃と言われるわ。
それまでは筆記試験だけ私の姿に変え、代わりを務めさせる。
王宮で試しても気づかれなかったのよ、私の魔術は完璧なの。
それにこれから王宮行事が増えるもの。
今まで学園にいた時間を有効に使わせなければ。
そう思って屋敷に帰って来たのに、これは何?
は?
追い出した?ありえないでしょう。
両親は試験の入れ替えは入学時だけだと思っている。
入学して私がすぐ学園長と交渉した事は言っていない。
「あのような出来損ないの世間知らずは、どこかで野垂れ死んでいるだろう」
「そんな、残酷ですわ。私は身内がその様な事になるなんて耐えられません」
「なんて優しいの、マリアーヌは。でももう身内でもなんでもないのよ」
私は泣きながら必死に両親に訴えた。
こんな人達を説得しないといけないなんて泣けるわ。
いつもの様にすぐに叶えなさいよ。
「はぁ、仕方ないな。そこまで言うなら一応探してやろう」
あれにお金は一切渡していない、それなのに不安が残る。
部屋を見るが荷物はほとんどない。
でも、荷物は元々少なかった。
お父様が大袈裟に貴重だと言っていた物も時代遅れだからゴミよね。
学園支給のありきたりな魔道具だって大した物ではないわ。
リディアーヌが今回の退学を苦にして家を出てしまったと王宮に報告し、捜索隊の派遣の許可が下りた。
追い出したなんて人聞きが悪い、悲観して勝手に出て行ったのよ。
だから、早く見つけて連れ戻さないと可哀想でしょう?
今度は自由なんて与えない。
私に迷惑をかけた分、たっぷり返してもらわなければ。
―――私は分かっていなかった。この国の広さも他国の広さも……
私が頼んで捜索すれば、いつもの様にすぐに叶うと思っていた。
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