【完結】華麗に婚約破棄されましょう。～卒業式典の出来事が小さな国の価値観を変えました～

18 男爵令嬢と後輩の生徒会役員達

生徒会室でも、生徒会長の話は持ちきりだ。

「会長またやったって」
「相手もよくやるよね」
「何人目だよ。知ってるか？卒業迄に何人の女性が落ちるか、騎士科で賭けてるんだってさ」
「卒業式典の賭け以外でもあるんだ」
「両方聞いたわ。よくやるわよね」

私は後輩達の話を聞きながら計算をしていた。
後輩達も資料を整理したり手を動かしているが、口も同じ位動いていた。

「会計主任は何か噂を聞いてますか？」
「副会長、私は今計算中だから邪魔しないで」
「はーい」

そして、後輩達はまた話しだした。

「でも、騎士科の連中大丈夫か？」
「何がだよ」
「いや、今の騎士団長って引退予定なんだろ。次の騎士団長は生徒会長の姉の旦那」
「その話、本決まりなのかよ」
「ほぼ決まりみたいだな」
「何処から情報仕入れて来るんだよ」
「ナイショ」

「副会長の情報網は凄いね」

計算が一段落した私はつい呟いた。

「会計主任も上位貴族の情報網、持っているじゃないですか」
「私はお茶会に呼ばれるだけよ」

「あっ、主任って上位貴族じゃなかったんですよね」
「そうよ、男爵令嬢だもの」
「では、俺の所に来れば侯爵夫人になれるよ」
「副会長。いつも言ってるそれ滑ってるから」
「……冗談じゃないんだけどな」

生徒会室にノックが響き複数の騎士科の生徒が入って来た。

「反省文書いてきましたー」

声だけは元気だが、げっそりした顔が並んだ。
一気に部屋の温度が上がった気がした。