【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり

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32 バートとクラリス3

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 クラリスは余程容姿に自信があったのだろう。
 下位貴族の社交では、金髪美人と持てはやされているらしいからな。
 俺の発言に理解不能だと言わんばかりに、呆然としている。
 考え足らずの愚か者、と指摘したナディオも理解しておらず、俺とクラリスを交互に見ていた。

「下位貴族の社交辞令を真に受けただけだろ。それ位の容姿は平民でもいる。まあ、これから平民になるであろう君にはそこで持て囃されればいいさ」
「なにを言っているの?私は貴族よ!」

 貴族と主張するなら、貴族らしい振る舞いをすれば良いのに残念な女だ。
 俺は大袈裟に溜め息をついて言った。

「無理だな。ここを何処だと思っている。今回の王太子の夜会はな、招待客各自・・・・・に招待状が渡されている。君は持っていないだろう?」
「それは、……そう何かの手違いで……」

 最初勢いがあった言葉は萎んでいった。

「手違いとか、都合のいい解釈だな。まず招待される条件に入っていない。勘違いする要素が一つもないな」
「ナディオ様は招待状を持っていたわ」

 理由を見つけたのか、今度は自信ありげに言った。

「だから?個別に送られると言った意味すら理解できないのか。ナディオはクラーラ嬢のおまけでしかないぞ。クラーラ嬢の婚約者でなければ招待などされはしない」
「なっ……ナディオ様があの出来損ないのおまけですって」

 おまけにぶら下がって来たのが屈辱か、クラーラ嬢の下に見られるのが屈辱か知らないが、感情が露骨に顔と声に出るな。

「貴族として不出来な君では間違った判断しか出来ないのだな。クラーラ嬢は控えめで淑女にして貴族女性としてとても相応しい人だよ」

 クラーラ嬢に振り向くと、顔を赤く染めていた。
 早く片付けて安心させたいものだ。

「私は先日領地に帰って、父に王都における当領の不名誉の処断を任されてきた」
「不名誉?」
「君の父は男爵とは名ばかりで、王城に仕官しなければ爵位返上だ。その為に将来上位貴族になるであろうナディオに近づいた」
「……ちがっ」

 何か言いかけていたが、被せて言った。

「当家では芽が出なかったからな。将来ナディオが上位貴族となった際、すがるつもりだったか」
「違うわ。私達は愛し合っているもの」
「そ、そうだ、私に相応しいのはクラリスだ」

「あぁ、お互い相応しいだろう。平民になる女と養子解消された男はお似合いだな」

 普通そこまで言えば理解するだろう。
 そして今どれだけ場違いで不敬な事をしているのか、反省なり後悔するだろう。
 しかし何を思ったのか、クラリスは突然喜色満面となり意味不明な事を言い出した。



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