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卒業式の翌日は貴族の式典がある。この式典は領主のみの参加とされた。
主に爵位の変更が伝えられ、その後顔見せの立食パーティーがある。
変更される貴族は予め国より書状が届き参加は強制。
貴族であるならば、参加なき場合の処遇は奪爵の上罰金が科せられる。昔はあまりの屈辱で自害した領主がいるとかいないとか。
今では奪爵よりも返上が多い。返上すれば貴族の義務から解放されるからだ。
今年は参加者が多い。
大々的に祝福される久々の叙爵、それも女領主の誕生だった。
そして、ひそひそ囁かれる降爵、しかも此方は数十年振りの上位貴族から下位貴族への変更だった。
カリンは華々しく祝福され、陛下より子爵の地位と新しい家名を賜った。
ハマー元伯爵は流石面の皮が厚い。晒し者になりながらも式典に参加。始終屈辱に耐えた顔をしていた。パーティーには参加せずすぐに去っていった。
式典、パーティーは大いに盛り上がり、カリンは引っ張りだこになった。鬱陶しい新しい婚約者の話は華麗にスルーし、代わりに幾つか商談を纏め上げほくほく顔である。
翌日カリンは王都にある貴族専用の地、ハマー元伯爵家の墓標の前にいた。
「お爺様ごめんなさい、ハマー家は守れそうにありません。でも安心なさって、領地と領民は四貴族で分担して守っていきます」
ターナー家が飛び地として、ハルホー子爵、ハヤムー子爵が増加地として、そして新設のターリー家がお爺様の大切な地を守る。
今回の土地の拡大でハヤムー男爵は子爵へ陞爵した。
ハルホー子爵は土地の広さは申し分ないが人が足らずそのまま爵位の変更はない。下位貴族から上位貴族への陞爵は難しいのでまだまだ時が必要だろう。
カリンのターリー子爵も同様である。
オリバーはお情けで卒業は出来たようだ。学園に居残られた方が大変なので、追い出された形なのだろう。
卒業後は家に戻り遊べばいいと思っていたのだろうが、残念。今のハマー家にはそんな余裕などない。
ハマー伯爵家は男爵に降爵された。
この国は上位貴族に甘い。しかし一旦落ちて下位貴族になれば元上位貴族だった事など気にしない。
下手をすれば来年にも奪爵の可能性があるだろう。
もうどこも助けてくれない。あの領地経営のやり方だとすぐ手詰まりになる。
平民になったとして受け入れてくれる地も職もないだろう。
カリンは「やっとお爺様の願いに応えられます」とにっこり微笑んだ。
「さぁ、じっくりと私の領地を一緒に盛り上げてくれる人を探さないとね」
すっきりした顔をしてカリンがエンサーとモニカを伴いターナー家の屋敷に戻ると、学園卒業のパートナー選びなど比ではない量の積み上げられた釣書、紹介状の数々に顔を引き攣らせるのであった。
「面倒なら俺で手を打ちましょう。お買い得ですよ」
カリン後ろからそっと囁くエンサーの声が聞こえたとか聞こえなかったとか……
了
お読みいただきありがとうございました。
主に爵位の変更が伝えられ、その後顔見せの立食パーティーがある。
変更される貴族は予め国より書状が届き参加は強制。
貴族であるならば、参加なき場合の処遇は奪爵の上罰金が科せられる。昔はあまりの屈辱で自害した領主がいるとかいないとか。
今では奪爵よりも返上が多い。返上すれば貴族の義務から解放されるからだ。
今年は参加者が多い。
大々的に祝福される久々の叙爵、それも女領主の誕生だった。
そして、ひそひそ囁かれる降爵、しかも此方は数十年振りの上位貴族から下位貴族への変更だった。
カリンは華々しく祝福され、陛下より子爵の地位と新しい家名を賜った。
ハマー元伯爵は流石面の皮が厚い。晒し者になりながらも式典に参加。始終屈辱に耐えた顔をしていた。パーティーには参加せずすぐに去っていった。
式典、パーティーは大いに盛り上がり、カリンは引っ張りだこになった。鬱陶しい新しい婚約者の話は華麗にスルーし、代わりに幾つか商談を纏め上げほくほく顔である。
翌日カリンは王都にある貴族専用の地、ハマー元伯爵家の墓標の前にいた。
「お爺様ごめんなさい、ハマー家は守れそうにありません。でも安心なさって、領地と領民は四貴族で分担して守っていきます」
ターナー家が飛び地として、ハルホー子爵、ハヤムー子爵が増加地として、そして新設のターリー家がお爺様の大切な地を守る。
今回の土地の拡大でハヤムー男爵は子爵へ陞爵した。
ハルホー子爵は土地の広さは申し分ないが人が足らずそのまま爵位の変更はない。下位貴族から上位貴族への陞爵は難しいのでまだまだ時が必要だろう。
カリンのターリー子爵も同様である。
オリバーはお情けで卒業は出来たようだ。学園に居残られた方が大変なので、追い出された形なのだろう。
卒業後は家に戻り遊べばいいと思っていたのだろうが、残念。今のハマー家にはそんな余裕などない。
ハマー伯爵家は男爵に降爵された。
この国は上位貴族に甘い。しかし一旦落ちて下位貴族になれば元上位貴族だった事など気にしない。
下手をすれば来年にも奪爵の可能性があるだろう。
もうどこも助けてくれない。あの領地経営のやり方だとすぐ手詰まりになる。
平民になったとして受け入れてくれる地も職もないだろう。
カリンは「やっとお爺様の願いに応えられます」とにっこり微笑んだ。
「さぁ、じっくりと私の領地を一緒に盛り上げてくれる人を探さないとね」
すっきりした顔をしてカリンがエンサーとモニカを伴いターナー家の屋敷に戻ると、学園卒業のパートナー選びなど比ではない量の積み上げられた釣書、紹介状の数々に顔を引き攣らせるのであった。
「面倒なら俺で手を打ちましょう。お買い得ですよ」
カリン後ろからそっと囁くエンサーの声が聞こえたとか聞こえなかったとか……
了
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