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街の外
10 一瞬のすれ違い
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気がついたのは、クルトさんに背負われている時だった。
「……ぅーん、ここは?」
「カーリ気がついたか?駆け付けようとした時に倒れるから、びっくりしたぞ」
クルトさんは走りながら答えてくれた。
あの後、私はベンのいる方に倒れた様で、クルトさんが来るまで支えてくれたらしい。
「重かったんだぞ」
ベンはそんな失礼な事を言った。
女性に重いは禁句なんだからね。
「服が冷たい、濡れてる?」
果汁は跳ねていたがここまで濡れていなかったはずだと思っていたら、クルトさんが答えをくれた。
「あぁ、それな。水ぶっかけた。あんな甘い匂いさせてられるか」
「そんなに酷かったんですか?」
「虫や獣を誘っていて、ヤバかったぞ」
少し後ろを振り返るが、かなり離れてしまっているのか分からない。
「カーリは見てなくて良かったわよ。あの後大変だったからね」
レーナはとても嫌そうな顔をした。
「こんな事態じゃなきゃ、獣狩り放題だったんだがな」
火から逃げて来た虫や獣が、甘い匂いに誘われて集まって来たらしい。
私を背負ったクルトさんは、急いでその場を離脱したそうだ。
虫も獣も広場を安全地帯だと勘違いしたのか、追いかけて来る事はなかったという。
悔しそうに話すクルトさんに、私は慰める言葉を持っていなかった。
その代わりに提案をした。
「クルトさん、私大丈夫だから降ろして欲しいんだけど」
「カーリは足遅いからこの方がいい。無事安全な所に着いたら降ろしてやるよ」
当分クルトさんに、背負われたままの様です。
確かに足は遅いけれど、子供扱いしないでよね。
そうこうしている内に、林の出口の道と細いけもの道との交差点に差し掛かった。
遠くて詳しくは見えないが、出口近くに人が大勢いるみたいだった。
「やめてくれーー。俺達は関係ない」
「殺さないでくれ。俺達じゃない。もっとヤバいやつが林の中にいるんだ」
突然そんな叫び声が聞こえてきた。
「不味いな。あいつら捕まってるぞ」
「どうする?」
五人顔を突き合わせたところに、断末魔の悲鳴が聞こえた。
「手遅れだ。こっちまで来そうだぞ。一旦ここから離れる」
「レーナ、それでいいな」
「……分かったわ」
林の奥に戻ろうとした時、ピカピカの衣装を着た男と一瞬目があった。
「アルバン!?」
……違う、恋人だと思っていた人じゃない。
背格好も違う、髪の色も少し違う。
遠くにいるのに、何故か鮮明にその人だけが見えた気がした。
そして、確かに姿は似ていないのに不思議と似ていると、私の何かが確信をもって告げていた。
「……ぅーん、ここは?」
「カーリ気がついたか?駆け付けようとした時に倒れるから、びっくりしたぞ」
クルトさんは走りながら答えてくれた。
あの後、私はベンのいる方に倒れた様で、クルトさんが来るまで支えてくれたらしい。
「重かったんだぞ」
ベンはそんな失礼な事を言った。
女性に重いは禁句なんだからね。
「服が冷たい、濡れてる?」
果汁は跳ねていたがここまで濡れていなかったはずだと思っていたら、クルトさんが答えをくれた。
「あぁ、それな。水ぶっかけた。あんな甘い匂いさせてられるか」
「そんなに酷かったんですか?」
「虫や獣を誘っていて、ヤバかったぞ」
少し後ろを振り返るが、かなり離れてしまっているのか分からない。
「カーリは見てなくて良かったわよ。あの後大変だったからね」
レーナはとても嫌そうな顔をした。
「こんな事態じゃなきゃ、獣狩り放題だったんだがな」
火から逃げて来た虫や獣が、甘い匂いに誘われて集まって来たらしい。
私を背負ったクルトさんは、急いでその場を離脱したそうだ。
虫も獣も広場を安全地帯だと勘違いしたのか、追いかけて来る事はなかったという。
悔しそうに話すクルトさんに、私は慰める言葉を持っていなかった。
その代わりに提案をした。
「クルトさん、私大丈夫だから降ろして欲しいんだけど」
「カーリは足遅いからこの方がいい。無事安全な所に着いたら降ろしてやるよ」
当分クルトさんに、背負われたままの様です。
確かに足は遅いけれど、子供扱いしないでよね。
そうこうしている内に、林の出口の道と細いけもの道との交差点に差し掛かった。
遠くて詳しくは見えないが、出口近くに人が大勢いるみたいだった。
「やめてくれーー。俺達は関係ない」
「殺さないでくれ。俺達じゃない。もっとヤバいやつが林の中にいるんだ」
突然そんな叫び声が聞こえてきた。
「不味いな。あいつら捕まってるぞ」
「どうする?」
五人顔を突き合わせたところに、断末魔の悲鳴が聞こえた。
「手遅れだ。こっちまで来そうだぞ。一旦ここから離れる」
「レーナ、それでいいな」
「……分かったわ」
林の奥に戻ろうとした時、ピカピカの衣装を着た男と一瞬目があった。
「アルバン!?」
……違う、恋人だと思っていた人じゃない。
背格好も違う、髪の色も少し違う。
遠くにいるのに、何故か鮮明にその人だけが見えた気がした。
そして、確かに姿は似ていないのに不思議と似ていると、私の何かが確信をもって告げていた。
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