白い結婚で慰謝料請求された!?不貞を働いたのは貴方でしょう?

ゆうぎり

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 私はやっとやっと聖女という職務を終え、清々すがすがしい思いで教会を出た。
 今日が私サンドラ・ポーリック18歳の誕生日である。

 空は晴れやか、気持ちも爽快。
 しかし、颯爽と乗り込んだ馬車に何故か王子が付いてきた。

「何故、コンラット殿下がここにいるのですか!?」
「えっ?それは長年連れ添った相手を最後まで見届ける為だな」
「その『連れ添った』はいつも誤解を招くのでやめて下さいと言っているでしょう」

 本当に勘弁して欲しい。
 この第二王子は優秀なのだが、ちょっと表現がおかしな時がある。
 聖女としての職務を全うする際、コンラット殿下とパートナーになる事が多々あった。
 王族は権威と民への人気取りの為、教会と仲良しアピールに余念が無いのだ。

 私も伯爵家に生まれたので社交は出来るが、王族の外交のパートナーに駆り出すのは違うよね。
 聖女の職務を超えていると思っているが、反論しても殿下と教会に軽く流されていた。
 それに、もう一つとてもとても重大な事がある。

「私は既婚者です。これから夫の所へ戻るのです。邪魔しないで下さい」

 そう、私は結婚しているのだ。
 聖女で結婚していていいのかって?
 そこは概ね許可されている。
 但し『白い結婚』が前提である。

 そう、今日聖女を辞めたという事は白い結婚を終え、私は正式に妻となるのである。
 決して王子なんて面倒臭そうな方が相手ではない。
 私のお相手はブランドル・ポーリック24歳。
 騎士団に勤め、若手の中で有望視されている一人なのだ。

 実家と隣同士の領地で同程度の伯爵家は、互いの両親達の仲も良く幼い頃から婚約していた。

 今日から晴れて正真正銘の妻になるのだ。
 私は領地の別邸に特注の壁紙やカーテン、ベッドなどを用意している。
 半年前から少しずつ準備したそれらは、かなり気合いが入った品々だ。
 他も新調した家具が並び、新婚初夜には適しているだろう。
 この別邸は王都からも比較的近い為、騎士団勤めの夫にも良かれと思って選んだのだ。

 普段は王都の屋敷に住む予定だが、やはり初めては領地がいいと思った。
 これは私のわがままだ。
 私は結婚に対して夢見ている。
 教会では結婚をする者達を称え祝福する。
 集まった信者達も悦びに満ちている。

 結婚してもずっとお預け状態だった私は、年上の女性達の話を聞きすぎて想像だけが膨らんでいた。

 最終確認をして夫を迎えよう。
 私は喜び勇んで別邸に帰って来た。


 王都から馬車でゆっくり走らせれば二日をみるところ、凄く飛ばして貰いその日の内に到着した。

 殿下には途中で降りるように要請したが叶わず、夫とイチャつく所を見せてやると開き直った。



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