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第十二章 秘密
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確かに『ルミナス』で大ダメージを負ったコボルト兵と違い、イーザ騎兵の回復はかなり速いはず。
彼らが馬に乗って追撃すれば、徒歩で退却するロードラント軍はあっという間に追いつかれてしまうだろう。
つまりアリスの身の安全を優先するのなら、レーモンの判断は完全に正しいと言える。
しかしそうなれば、残された兵士たちはどうなる?
アリス一人のために、全員がこの場で討ち死にしてもよいというのだろうか?
そろって逃げればみんな助かる可能性があるのに。
そしてそれがアリスの意思でもあるのに……。
レーモンのやろうとしていることは、やっぱり主君に背く背信行為なのだ。
僕はその事実をどうしてもレーモンに訴えたかった。
が、猿ぐつわのせいで何も言えない。
アリスと同じく「ウーウー」と声にならない声で抗議するのが精一杯だ。
そんな僕を見て、レーモンが短くつぶやいた。
「アリス様を――そしてリナを頼むせぞ、ユウト」
レーモン!!
また勝手なことを!!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
どうやら出発の準備が整ったらしい。
最後にマティアスが、顔を兜で隠した鎧姿のアリスを抱え、馬に乗る。
「行《ゆ》け!」
レーモンが叫ぶ。
それと同時に、一斉に馬が走り出した。
まず二十騎の竜騎士が先行し、その後ろにリナと僕の馬、最後尾にアリスを抱えたマティアスの馬が続く。
さらに残った二十騎が、その周囲を囲むように馬を並走させる。
全速力で戦場を突っ切ってゆく竜騎士団――
置いてきぼりを食らったロードラント軍の兵士たちはすぐにそれに気づき、一斉に騒ぎはじめた。
そんな兵士たちを尻目に、竜騎士一行はぐんぐんスピードを上げていく。
その時、一人の兵士が大声で叫んだ。
「おいおい、自分たちだけ先に逃げんのかよー!!」
――あれはエリックの声?
僕は声のした方角に顔を向けた。
……やっぱりエリックだ。
その側にトマスもいる。
「ユウト!」
エリックと目が合った。
僕が猿ぐつわをされているのに気づいたようだ。
「おい、お前たちなにしてんだ! ユウトを放せ!」
エリックがそう怒鳴っても、竜騎士たちは無視して馬を走らせる。
が、そのエリックの怒りの声を皮切りに、兵士たちはより大きく騒ぎ始めた。
これは、ちょっとやそっとでは収拾つきそうにもない。
が、それも当然。
僕だって、もし魔法を使えなかったのならば、間違いなくその他大勢の兵士の一人として騒ぎに加わっていたに違いない。
そこでふと、戦いが始まる前、エリックが言っていたあのセリフが頭に浮かんだ。
「竜騎士の連中は、俺たちのことをせいぜい『肉の壁』くらいにしか思っていないよ」
――と。
その言葉=真実だったことが、今まさに証明されたわけだ。
彼らが馬に乗って追撃すれば、徒歩で退却するロードラント軍はあっという間に追いつかれてしまうだろう。
つまりアリスの身の安全を優先するのなら、レーモンの判断は完全に正しいと言える。
しかしそうなれば、残された兵士たちはどうなる?
アリス一人のために、全員がこの場で討ち死にしてもよいというのだろうか?
そろって逃げればみんな助かる可能性があるのに。
そしてそれがアリスの意思でもあるのに……。
レーモンのやろうとしていることは、やっぱり主君に背く背信行為なのだ。
僕はその事実をどうしてもレーモンに訴えたかった。
が、猿ぐつわのせいで何も言えない。
アリスと同じく「ウーウー」と声にならない声で抗議するのが精一杯だ。
そんな僕を見て、レーモンが短くつぶやいた。
「アリス様を――そしてリナを頼むせぞ、ユウト」
レーモン!!
また勝手なことを!!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
どうやら出発の準備が整ったらしい。
最後にマティアスが、顔を兜で隠した鎧姿のアリスを抱え、馬に乗る。
「行《ゆ》け!」
レーモンが叫ぶ。
それと同時に、一斉に馬が走り出した。
まず二十騎の竜騎士が先行し、その後ろにリナと僕の馬、最後尾にアリスを抱えたマティアスの馬が続く。
さらに残った二十騎が、その周囲を囲むように馬を並走させる。
全速力で戦場を突っ切ってゆく竜騎士団――
置いてきぼりを食らったロードラント軍の兵士たちはすぐにそれに気づき、一斉に騒ぎはじめた。
そんな兵士たちを尻目に、竜騎士一行はぐんぐんスピードを上げていく。
その時、一人の兵士が大声で叫んだ。
「おいおい、自分たちだけ先に逃げんのかよー!!」
――あれはエリックの声?
僕は声のした方角に顔を向けた。
……やっぱりエリックだ。
その側にトマスもいる。
「ユウト!」
エリックと目が合った。
僕が猿ぐつわをされているのに気づいたようだ。
「おい、お前たちなにしてんだ! ユウトを放せ!」
エリックがそう怒鳴っても、竜騎士たちは無視して馬を走らせる。
が、そのエリックの怒りの声を皮切りに、兵士たちはより大きく騒ぎ始めた。
これは、ちょっとやそっとでは収拾つきそうにもない。
が、それも当然。
僕だって、もし魔法を使えなかったのならば、間違いなくその他大勢の兵士の一人として騒ぎに加わっていたに違いない。
そこでふと、戦いが始まる前、エリックが言っていたあのセリフが頭に浮かんだ。
「竜騎士の連中は、俺たちのことをせいぜい『肉の壁』くらいにしか思っていないよ」
――と。
その言葉=真実だったことが、今まさに証明されたわけだ。
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