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第4章 王都 学園高等部生活編

第68話 模擬戦パート2

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次の日、いつものように授業を終え、いざ!ダンジョンへ!
...って、思ってたんだけど...

「フィリアさん!今日こそ勝つ!」
「え~...」

ミシャちゃんに模擬戦を挑まれました。最近落ち着いてたんだけどなぁ~...。まぁそれには理由があったんだけどね。その理由がちょっとあれだったけど...それは私の責任でもあるしなぁ...

「フィリアさん、こればかりは仕方ありませんわ」
「フィリアちゃん、頑張って!」

2人とも、ミシャちゃんを止める気はないらしい。なんで?

「先にダンジョンに入っていますわね!」
「またねー!」
「あ!ちょっと!」

走り出した2人を追いかけようとしたら、ミシャちゃんに肩を掴まれた。

「フィリアさん!いくよ!」
「え、まだやるって...はい!やらせていただきます!」

私が断ろうとしたら、肩を掴む力が強くなった。笑ってるけど、目が笑ってない、よくリーナがしている顔をより怖くしたような...そんな顔までされて、断れるわけが無いよねぇ...

ミシャちゃん、恐ろしい子!

渋々ミシャちゃんとともに闘技場へ向かう。

「闘技場は先生に許可取ってるからね」

またしても用意周到だね...

闘技場に着くと、そこには誰もいなかった。

「貸し切ったからね」

そこまでする?!いやまぁ他に人がいたら危険だけどね?

「じゃあやるよ!」

その瞬間、風の刃が飛んできた。

「ぬぉ?!」

あまりにいきなりすぎて、魔法破壊マジックブレイクを使う暇も無かったので、転がってかわした。

「無詠唱...」
「そうよ!どう?フィリアさん!」

無詠唱は祝福ギフトだけで貰えるスキルではない。だけど、習得することはとても難しい。それだけミシャちゃんは努力したんだろうねぇ...

「まだまだいくよ!」

無詠唱のせいで、なんの魔法がくるか分からない。

「...っ!下か!」

急いでその場から飛び退く。すると、今まで立っていた場所からアースニードルが突き出してきた。怖?!

「よく分かったね...」
「魔力眼があるからね」

魔法は直接見ることは出来ない。だけれど、魔力眼を使えば、魔力のが分かる。その流れを正確に読み解けば、どこで、どんな魔法を使うのかが分かるのだ。もっとも、そんな使い方が出来るのは私ぐらいだろうけど。

無詠唱で放たれる魔法を次々とかわしていく。

「なんで...!あたら...ない...の!」

ミシャちゃんはもう息が絶え絶えだ。

「じゃあそろそろやろうかな」

私はで魔法を行使した。先を丸くして殺傷能力を低めたアイスニードルだ。

「な!?」

疲労困憊のミシャちゃんはもちろんかわすことが出来ず、私のアイスニードルをもろに受けた。

「がはっ!」

先を丸めていたので、致命傷とは判断されなかったらしく、ペンダントは機能しなかった。

「大丈夫?」

私はミシャちゃんに駆け寄った。

「どう...して...」
「うん?」
「どうして勝てないのよ!努力だってしてるのに!無詠唱もできるようになったのに!どうして...なんで!」

そう言ってミシャちゃんは泣き崩れてしまった。
どうして、か...

「それは分からないよ...でも、その努力は無駄にはならない」
「どうしてそんなことが言えるのよ!私はあなたに勝てなかった!結果...無駄だったのよ!」
「...ミシャちゃんはもうちょっと周りを見た方がいいんじゃないかな」



「周りを...見る?」
「そう。確かにミシャちゃんは私に勝てなかった。だけどね?ミシャちゃんは私以外に負けたことある?」
「...ない」

そう、ミシャちゃんは授業の模擬戦でも、私以外に負けたことがないのだ。あのキャサリンにさえ勝ってしまった。

「ならそれは、ミシャちゃんが頑張ったからだよ」
「頑張った.....」
「つまり努力だよ。それでも無駄だったって言える?」
「...」
「私はミシャちゃんの努力を知っている。そして、それは周りの人も同じだよ」
「...」
「努力することに、無駄なんてないんだよ。その方向さえ間違わなければね」
「...そっか。私は方向を間違ったんだ...」

そう、ミシャちゃんは努力の方向を間違った。どんな手段を使っても、私に勝つことだけを考えていた。

「前からミシャちゃんは頑張ってたでしょ?その頑張りは無駄じゃないよ。でも、あれは...もうやめたほうがいい」
「...っ!知ってたの...?」

ミシャちゃんが最近やっていたのは、何日も死なないダンジョンに入り込み、無理やり特訓すること。確かに、それでミシャちゃんは強くなった。だけど、それは所詮、付け焼き刃でしかない。結果として、それは消えてしまう。だけれど、その他の努力、つまり、今までちゃんと頑張ってきたことは消えない。

「当たり前じゃない。毎日模擬戦を挑んできたのに、突然挑まなくなったんだから。なにかあるって思うでしょ?」
「...そのとき止めてくれれば良かったのに」
「そのとき止めたとしても、ミシャちゃんは聞く耳を持たなかったでしょ?」
「うっ!...それは確かに...」

模擬戦で負けて冷静になれれば、やっと聞く耳を持ってくれると思ったからね。だからそのとき、私はミシャちゃんを止めなかった。

「無詠唱も一時的なものじゃない?」
「...うん。そう」

無詠唱は、確かに努力をすれば取れるスキル。だけど、一時的に無詠唱のスキルを得ることができる薬が存在する。でも...

「うっ!ぐぅっ!?」
「やっぱり...」

その薬は副作用が凄まじいのだ。無詠唱をできるようになる代償として、体に激痛が走る。それは精神的な痛み。どれだけ痛みに慣れていたとしても、とても耐えられない痛み。

「まったく...」

私はミシャちゃんに治癒魔法をかける。普通の治癒魔法なら、外傷しか治せない。けれど、私が使ったのは高位の治癒魔法。部位欠損さえ治せるほどの魔法だ。そして精神的な痛みにも作用する。

「い、痛みが...」
「治したよ」

この痛みは闘技場から出たとしても消えないからね。

「治したって...そんなこと」
「細かいことは気にしないの。ほら、立って」

ミシャちゃんの手を引っ張り、立ち上がらせる。

「...そういえば、フィリアさん無詠唱...」
「あ」

そう言えば隠してたんだっけ...まぁ今更だよね。

「もしかして...祝福ギフト?」
「...うん、そう。内緒だよ?」
「...分かった」

...内緒にする理由は、リーナに怒られたくなかったからだったり...

闘技場から出ると、外でキャサリンたちが待っていた。

「あれ?どうしたの?」
「遅すぎるのですわ!もう夕暮れですわよ!」

そう言われて初めて、空がオレンジ色になっていることに気がついた。

「そんなにたってたのか...じゃあまた明日だね」
「まったく...明日はちゃんと来てくださいね?」

いや、それはミシャちゃんに言って欲しい...

その後私はミシャちゃん、キャサリンと別れ、ベルとともに屋敷に帰った。
















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