転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに

文字の大きさ
88 / 159
第4章 王都 学園高等部生活編

第87話 ボス戦パート2

 コンコンと結界を叩いたのは、なんとエルザだったらしい。実際に叩いたのは、魔法で浮かせたそこら辺の石らしいけど。

 ーとりあえず、男の子達には眠ってもらうねー

 そんなエルザの声が聞こえ、バタバタとロイさん達が倒れていった。もうちょっと穏便に…

 ー怪我はしてない。大丈夫ー

 いやそういう問題じゃないのよ?

 ーまぁまぁ。とにかくよろしくね、お姉ちゃんー

 待て待て待て!!何がよろしくだ!
 そんな私の心の中の叫びも虚しく、勝手に結界が解除された。
 ……そして、なにを頼んだのかを一瞬で理解した。

「はぁ…エルザも面倒事を…」

 結界が解除されたことで、地龍が顕になった。
 ……尻尾が再生していくところの、ね。

 確かにこれは、あの魔剣に取り込まれた男と同じかもしれない。それなら倒すことができるのは、恐らく私だけ。

 ーせいかーいー

 …ちょっとここに降りてこい。1発ぶん殴るから。

 ーえ!?ちょっとそれは…ま、まぁとりあえず、お姉ちゃんなら大丈夫だから!ー

 無責任!?

 ー神様のお墨付きだよ?ー

 いや、あんたが神様っていう実感が…

 ーひど!?ー

 じゃあ神様らしいことしなさい。

 ーもうしたんだけど…ー

 え?なにしたの?

 ーマリアに神託ー

「……は!?」

 ちょっと!神託ってどういうことよ!?なんかさっきからマリアに見られてるとは思ってたけど…

 ーそうそう。多分お姉ちゃんが使徒だって気付いたと思うよ。直接は言ってないけどー

 ……はぁ。まぁ言う手間が省けただけでも良しとするか。
 とにかく、マリアを含めて全員を1箇所にまとめて、そこに外が見えなくなる結界を張れる?ついでに眠らせて。

 ーもっちろん!今?ー

 今。

 ー了解!ー

 張り切ったエルザの声が聞こえたと思ったら、一瞬でマリア達が居なくなった。そして、部屋の隅に少し光る結界が現れた。

 ー出来たよ。じゃあよろしくね。今私はそこに行けないから…ー

「はいはい。分かりましたよ」

 後ろのロイさん達も居なくなっていたから、思う存分やれるね。

 部屋の中央の地龍を見据える。敵がいきなり居なくなったからなのか、地龍が喚き散らしていた。
 うわぁー…目が血走ってるよ。

「さて。じゃあ翡翠、よろしくね」
『任せて!』

 アイテムボックスから翡翠刀を取り出す。鞘から引き抜くと、青白い炎が刀身に纏わりついた。

「やっぱり同じか…」

 この青白い炎が出るってことは、あの魔剣男と同じだということだよね…さっきまでは確信が無かったけど、これを見たら確信できた。

「まずは…」

 一気に近付いて、まずは前足に切り込む。

 グワァァァァァァ!!

「おっと」

 あまり深くない傷だけど、青白い炎が触れたからなのか、かなり痛そうに叫んで暴れだした。

「これは迂闊には近付けないな…」

 とにかく隙を見つけては、切り込んでいこう。

 グワァァァァァァ!

 そんなことを考えて落ち着くのを待っていると、突然地龍が口をがぱっと開けて、そこに魔力が集まっていくのが分かった。
 まさかブレス!?

 グルワァァァ!!

 雄叫びと共に、眩い光が地龍の口から放たれた。

「魔刀術・一刀・両断!」

 魔刀術は刀に魔力を纏わせて使う武闘スキル。魔力があることが前提のスキル。
 その魔力を纏わせた刀を、上から下に真っ直ぐ振り下ろす。すると、そこからブレスが真っ二つに分かれ、私の両側を過ぎ去って行った。まだ試したことが無かったけど、上手くいって良かった…
 ブレスを切られた地龍は、ブレスを放った状態のまま、固まっていた。
 …つまり口をポカーンと開けてた。ちょっと笑える。

「じゃあ…刀術・一刀・我流・零式一戦ぜろしきいっせん

 これは体術と刀術の武闘スキルを合わせた、私オリジナルの武闘スキル。
 一気に零距離まで敵に近付き、1回だけ切り込む。その後すぐにもとの立ち位置へと戻る。つまり、一撃離脱戦法。ダメージは少ないけど、先手を打ったり、隙をつく、又は惑わせて、隙を作れる。

 グルワァ!?

 思った通り、惑わせることができたみたい。切ったのは口の中。かなり痛そう。

「さて。そろそろ…」

 空歩で空中へ1段、2段と飛び上がる。

「刀術・一刀・天翔空破断てんしょうくうはだん!」

 これは高い空中から一気に落ちながら刀を振るう武闘スキル。落下速度により、かなり威力が上がる。本来高く飛び上がるだけだから、そこまで威力は上がらないんだけど、今回は空歩でかなり高いところまで上がったので、威力はかなりのものになる。
 狙うのは…首。

「はぁぁぁあぁ!?」

 ちょっと調子に乗りすぎた…高い!思ったより高い!

「おりぁぁぁ!」

 もうこの際覚悟を決めてやる!

 グルワァ!?

 やっと混乱状態から回復した地龍が、私の姿を探しているみたい。

「上だァァァ!」

 もちろん地龍がそんなこと分かる訳もなく、私はそのまま落下していく。
 そして刀は、迷うことなく地龍の首へと向かっていった。

 ザシュッ!

 グル、ワァァ…

 見事、地龍の首は一刀両断。さすが神器。凄い切れ味だわ。しかも首の太さ刀よりあったんだけど…まぁそこは深く考えないほうがいい気がする。

 首を落とされたことで、流石の地龍も息絶えたらしい。あの男は首落としても生きてたのにねぇ。やっぱりあっちが特殊だったのね。

 ……で、私はというと、

「痛ったぁぁぁぁぁ!?」

 まさか切れてそのまま地面に衝突するとは思わず、顔面からダイブした。
 ……物理無効はこういう時に働いてはくれないらしい。

『主、大丈夫?』
「大丈夫…じゃないかも」

 鼻血まで出てた。絶対今顔ヤバいことになってるよ……

 ーうん、今のお姉ちゃんの顔ヤバいよ。ぷぷ…ー 

 笑うな!!








感想 166

あなたにおすすめの小説

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!