出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに

文字の大きさ
39 / 138
学園 高等部1年 対抗戦編

33

 クーリア達が向かったのは、だだっ広い中庭だった。

「ここでやるの?大丈夫なの?」

 クーリアが心配するのも無理はない。なぜなら、これからやる模擬戦とは、魔法や体術など、なんでもありのものだからだ。

「大丈夫よ。ここは魔法結界張ってあるから」
「それなら大丈夫…?」

 魔法結界とは、魔法のみを防御する結界だ。
 結界にはもうひとつ、物理のみを防ぐ結界が存在し、それを両立した結界も存在するが、そちらは消費する魔力が馬鹿にならないので、基本どちらかに特化した結界が使われる。
 
「じゃあやるわよ!《エアバレット》!」
「えぇ!?ちょっとまって!?」

 いきなり魔法が飛んできたことに驚きつつも、クーリアはその魔法を横っ飛びでかわした。

「まだまだ!並列!《ファイヤーボール》《エアバレット》!」
「2属性!?」

 クーリアが驚きの声をあげる。2属性の魔法を並列して行使するのは、とんでもなく難しい。学園でも、できる人は数える程しかいない。

 ファイヤーボールの後ろをエアバレットが追随するが、エアバレットのほうが速いので追いつく。その結果、ファイヤーボールの威力が増し、スピードも増してクーリアへと襲いかかった。

「っ!」

 クーリアが慌てて魔力の塊をぶつけるが、それでも勢いは止まらない。

「《防御》」

 クーリアが短くそう呟くと、目の前に透明な壁が現れる。
 ファイヤーボールはその壁に衝突し、消滅した。

「危なかった…」
「その割に慌ててないと思うけど…」

 それはそうだろう。いちいち魔力の塊をぶつけなくても、防御魔法を使えば防げたのは分かっていたのだから。

「じゃあ…並列。《ファイヤーボール》《ウォーターボール》!」

 2つの相反する魔法がぶつかり、水蒸気が発生した。

「なるほど…」

 視界を奪われつつも、クーリアは落ち着いていた。なぜなら魔力を薄く広げたことで位置は把握できていたからだ。

(でもサラはそれも分かってるはず…なら)

 クーリアは目を閉じ、意識を集中する。
 反応は1つ………いや、2つ。

(なるほどね。よく考えてる)

 おそらくどちらかがダミー。
 このクーリアの索敵方法にはひとつ弱点があり、それは魔力に反応することだった。
 人は全員微力ながらも魔力を持つため、それをクーリアは利用している。だが、その結果魔法に含まれる魔力にも反応してしまうのだ。
 今回の場合、おそらく一方の反応は魔法だろう。

「…でも、ざんねん」
「きゃ!?」

 後ろから襲ってきたサラを魔力の塊で吹き飛ばした。極力魔力を抑え、気配を殺して近づいてきていたが、クーリアが集中した状態ならば、位置を把握するなど造作もない。
 さらに言えば、反応が強いほうはほとんど動いておらず、そのことからダミーと判断できた。

「はい。私の勝ち」
「うぅー!」

 模擬戦のルールは、どちらかが1回でも攻撃を当てること。サラがクーリアの攻撃を受けたので、ここまでだ。

「なんでぇ?」
「魔法で誤魔化すのは上手いと思ったけど、それが動かなかったら気づくよ」
「でもわたし、魔力抑えたよ?それでもなんで気づくのぉ!!」

 その言葉にクーリアは苦笑を浮かべるのみだった。





感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜

神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。 聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。 イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。 いわゆる地味子だ。 彼女の能力も地味だった。 使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。 唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。 そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。 ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。 しかし、彼女は目立たない実力者だった。 素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。 司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。 難しい相談でも難なくこなす知識と教養。 全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。 彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。 彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。 地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。 全部で5万字。 カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。 HOTランキング女性向け1位。 日間ファンタジーランキング1位。 日間完結ランキング1位。 応援してくれた、みなさんのおかげです。 ありがとうございます。とても嬉しいです!

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

薬屋の少女と迷子の精霊〜私にだけ見える精霊は最強のパートナーです〜

蒼井美紗
ファンタジー
孤児院で代わり映えのない毎日を過ごしていたレイラの下に、突如飛び込んできたのが精霊であるフェリスだった。人間は精霊を見ることも話すこともできないのに、レイラには何故かフェリスのことが見え、二人はすぐに意気投合して仲良くなる。 レイラが働く薬屋の店主、ヴァレリアにもフェリスのことは秘密にしていたが、レイラの危機にフェリスが力を行使したことでその存在がバレてしまい…… 精霊が見えるという特殊能力を持った少女と、そんなレイラのことが大好きなちょっと訳あり迷子の精霊が送る、薬屋での異世界お仕事ファンタジーです。 ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

【完結】ゲーム開始は自由の時! 乙女ゲーム? いいえ。ここは農業系ゲームの世界ですよ?

キーノ
ファンタジー
 私はゲームの世界に転生したようです。主人公なのですが、前世の記憶が戻ったら、なんという不遇な状況。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか。  ある日、我が家に勝手に住み着いた平民の少女が私に罵声を浴びせて来ました。乙女ゲーム? ヒロイン? 訳が解りません。ここはファーミングゲームの世界ですよ?  自称妹の事は無視していたら、今度は食事に毒を盛られる始末。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか?  私はどんな辛いことも頑張って乗り越えて、ゲーム開始を楽しみにいたしますわ! ※紹介文と本編は微妙に違います。 完結いたしました。 感想うけつけています。 4月4日、誤字修正しました。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語