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108話
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……瑠華ちゃんがまた女の人を連れて来た。まぁ紫乃ちゃんの知り合いらしいしそれ自体は喜ばしい事なんだけどさ。
「はぁ…」
問題なのは、今回来た珠李さんという人が瑠華ちゃんとかなり親しげであった事だ。
何処で知り合ったとか、何時から知っているのかとかは聞かない。多分教えてくれないし。
でも見た感じ結構前から知り合っているみたいで、瑠華ちゃんも珍しく心を許している様子だった。
「……珍しいね、瑠華ちゃんがそんなに心を許すなんて」
「ん? まぁ確かにのぅ…珠李は妾にとっても特別な部類に入る存在じゃからの」
「……特別」
そこに、私は入っているのだろうか。でもそれを面と向かって聞く勇気なんて無くて。
「瑠華様。少しよろしいでしょうか?」
「紫乃か。どうしたのじゃ?」
「明日の献立について確認したい事がありまして…共に来ていただいても?」
「構わんぞ」
紫乃ちゃんに呼ばれて、ソファーに座る私の隣に腰掛けていた瑠華ちゃんが立ち上がる。温もりが消えた事に残念さを覚えるも、そう感じてしまう自分に嫌気が差す。
(重い女になりたくは無いんだけどなぁ……)
内心で溜息を繰り返し、気分を切り替えようとテレビのリモコンに手を伸ばした瞬間。
「――――隣、いいかい?」
「へっ!? あっ、ど、どうぞ…」
聞き覚えのない声がいきなり聞こえたせいで驚いてしまったけれど、珠李さんの姿を目にして吃りながらおずおずと手で差し示す。
「ありがとう」
ふわりと優しい笑顔を浮かべて珠李さんが隣に腰掛ける。
(綺麗な人だなぁ…)
ついそう感じてしまうほど、珠李さんはとても綺麗な人だと思う。鮮やかな赤い長い髪は後ろで一つ括りにされていて、その凛とした目付きも相俟って凄く大人なお姉さんって感じ。
でもそんな人が瑠華ちゃんを様付けして慕っているのを見ると、どうしても強い違和感があるよね。
「…ふふふ。君は凄く表情に出やすいみたいだ」
「っ!?」
「私が何故瑠華様を慕っているのか。それが気になって仕方が無いって顔をしているね」
…つい頬を揉んでしまう。私そんなに分かりやすいのかなぁ……?
「そんな君だから、瑠華様も特別視しているのかも知れないね」
「…え?」
その言葉に耳を疑う。瑠華ちゃんが私を特別視している?
「おや。その様子だと気が付いていなかったかい?」
「えっ…と…」
「まぁ瑠華様は表情に出ないから気が付かないのも無理は無いか。でもその眼差しだけは誤魔化せていなかったね」
「眼差し…」
「私も瑠華様とは長い付き合いがあるが、あの様な眼差しは過去に一度くらいしか見た事が無いね」
「……珠李さん、は…何時から瑠華ちゃんを知っているんですか?」
長い付き合いとは言うけれど、それはちょっとおかしいと思ってしまう。だって瑠華ちゃんは私と同い歳だし…そもそも知り合う機会なんてないはずだ。
……あれ、前提がまずおかしい? だって紫乃ちゃんは人間じゃない鬼人で、そんな紫乃ちゃんの知り合いって事は珠李さんも多分鬼人だよね…? ならどうやって昔の瑠華ちゃんと知り合うの…?
「表情がコロコロ変わるね、君は」
「ふぇっ!?」
「君が今疑問に思った事を答えるとするならば、私は確かに紫乃と同じ存在だ。そして何時からの付き合いかというのは…正直分からないな」
分からない程、瑠華ちゃんとは長い付き合いがあるって事なのかな…。
「私からはそれ以上詳しい事は話せない。瑠華様のお怒りを買ってしまうだろうからね」
そう言ってクスクスと珠李さんは笑う。でも多分、それはただの言い訳に過ぎないんだろう。だってそう言うなら、こんな匂わせるような言動自体が問題になるはずだから。
「…君は表情に出やすいが、頭が回らないという訳でも無いみたいだ」
「……それ褒めてます?」
「褒めているとも。さて…では君の疑問に答える前に、私からの質問に答えてもらいたい」
さっきまでの緩い雰囲気がガラリと変わり、真剣な眼差しが私を射抜く。それに対して私は背筋を伸ばし、真っ直ぐな視線で答えた。
「紫乃から聞いた。君は紫乃が一体どういう存在なのかを知っているそうだね?」
「はい。瑠華ちゃんと私、それから凪沙っていう子だけが知っています」
「そうか。では君に問おう。―――――どう思った?」
「…?」
思わず首を傾げてしまう。どう思った? それは私が紫乃ちゃんが人間じゃないと知ってからの感情の事かな…?
「…特には何も」
「本当にそうかい? こうして穏やかに話しているが、私達は君ら程度の人間なら片手間で殺せてしまう存在だ。ついうっかり。加減を見誤って。そんな事も無いとは言えない。それでも、何も思わないと言うのかい?」
「……それは…」
それは、どうなんだろうか。
確かに紫乃ちゃんや珠李さんは人間じゃなくて、敵として定められたモンスターの一種だ。
「……何も無いとは、言えないかも知れません」
「…そうか」
そう呟いた珠李さんの目に浮かぶは、落胆の色。――――でもさ、私まだ喋り終えてないよ?
「でも気にする必要も無いと思います」
「…何故、そう思う?」
「私は紫乃ちゃんとこれまで過ごしてきました。それは短い期間かもしれないけれど、紫乃ちゃんが優しい子で、人間と殆ど変わりない存在だというのはその期間で十分理解出来ましたから」
「だが君達とは根底から異なる力に…簡単に命を奪う事が出来る力に、今後も恐怖を抱かないと自信を持って言えるのかい?」
「言えます」
「っ」
それだけは断言する。いや、断言しないといけない。あの日、本気の瑠華ちゃんを見て私はそう誓ったんだ。
「……成程。これは敵いそうにないな」
そう言って珠李さんが弱々しく笑う。けれどそれには、隠し切れない嬉しさの色が含まれていて。
「…では一つだけ言っておこう。君が感じている疑問。それは間違っていない」
「っ!?」
どの疑問なのか。それを答えてはくれないみたいだ。
私が感じている、多くの疑問。そのどれかに、間違いは無いと。
(…これは、知らない方が幸せなのかもしれないね)
でも尽きない疑問を放置するのは無理だ。それが関係を壊すことになるかもしれない。大きな後悔を生むかもしれない。
それでも、知りたいと願ったのは私だから。
「はぁ…」
問題なのは、今回来た珠李さんという人が瑠華ちゃんとかなり親しげであった事だ。
何処で知り合ったとか、何時から知っているのかとかは聞かない。多分教えてくれないし。
でも見た感じ結構前から知り合っているみたいで、瑠華ちゃんも珍しく心を許している様子だった。
「……珍しいね、瑠華ちゃんがそんなに心を許すなんて」
「ん? まぁ確かにのぅ…珠李は妾にとっても特別な部類に入る存在じゃからの」
「……特別」
そこに、私は入っているのだろうか。でもそれを面と向かって聞く勇気なんて無くて。
「瑠華様。少しよろしいでしょうか?」
「紫乃か。どうしたのじゃ?」
「明日の献立について確認したい事がありまして…共に来ていただいても?」
「構わんぞ」
紫乃ちゃんに呼ばれて、ソファーに座る私の隣に腰掛けていた瑠華ちゃんが立ち上がる。温もりが消えた事に残念さを覚えるも、そう感じてしまう自分に嫌気が差す。
(重い女になりたくは無いんだけどなぁ……)
内心で溜息を繰り返し、気分を切り替えようとテレビのリモコンに手を伸ばした瞬間。
「――――隣、いいかい?」
「へっ!? あっ、ど、どうぞ…」
聞き覚えのない声がいきなり聞こえたせいで驚いてしまったけれど、珠李さんの姿を目にして吃りながらおずおずと手で差し示す。
「ありがとう」
ふわりと優しい笑顔を浮かべて珠李さんが隣に腰掛ける。
(綺麗な人だなぁ…)
ついそう感じてしまうほど、珠李さんはとても綺麗な人だと思う。鮮やかな赤い長い髪は後ろで一つ括りにされていて、その凛とした目付きも相俟って凄く大人なお姉さんって感じ。
でもそんな人が瑠華ちゃんを様付けして慕っているのを見ると、どうしても強い違和感があるよね。
「…ふふふ。君は凄く表情に出やすいみたいだ」
「っ!?」
「私が何故瑠華様を慕っているのか。それが気になって仕方が無いって顔をしているね」
…つい頬を揉んでしまう。私そんなに分かりやすいのかなぁ……?
「そんな君だから、瑠華様も特別視しているのかも知れないね」
「…え?」
その言葉に耳を疑う。瑠華ちゃんが私を特別視している?
「おや。その様子だと気が付いていなかったかい?」
「えっ…と…」
「まぁ瑠華様は表情に出ないから気が付かないのも無理は無いか。でもその眼差しだけは誤魔化せていなかったね」
「眼差し…」
「私も瑠華様とは長い付き合いがあるが、あの様な眼差しは過去に一度くらいしか見た事が無いね」
「……珠李さん、は…何時から瑠華ちゃんを知っているんですか?」
長い付き合いとは言うけれど、それはちょっとおかしいと思ってしまう。だって瑠華ちゃんは私と同い歳だし…そもそも知り合う機会なんてないはずだ。
……あれ、前提がまずおかしい? だって紫乃ちゃんは人間じゃない鬼人で、そんな紫乃ちゃんの知り合いって事は珠李さんも多分鬼人だよね…? ならどうやって昔の瑠華ちゃんと知り合うの…?
「表情がコロコロ変わるね、君は」
「ふぇっ!?」
「君が今疑問に思った事を答えるとするならば、私は確かに紫乃と同じ存在だ。そして何時からの付き合いかというのは…正直分からないな」
分からない程、瑠華ちゃんとは長い付き合いがあるって事なのかな…。
「私からはそれ以上詳しい事は話せない。瑠華様のお怒りを買ってしまうだろうからね」
そう言ってクスクスと珠李さんは笑う。でも多分、それはただの言い訳に過ぎないんだろう。だってそう言うなら、こんな匂わせるような言動自体が問題になるはずだから。
「…君は表情に出やすいが、頭が回らないという訳でも無いみたいだ」
「……それ褒めてます?」
「褒めているとも。さて…では君の疑問に答える前に、私からの質問に答えてもらいたい」
さっきまでの緩い雰囲気がガラリと変わり、真剣な眼差しが私を射抜く。それに対して私は背筋を伸ばし、真っ直ぐな視線で答えた。
「紫乃から聞いた。君は紫乃が一体どういう存在なのかを知っているそうだね?」
「はい。瑠華ちゃんと私、それから凪沙っていう子だけが知っています」
「そうか。では君に問おう。―――――どう思った?」
「…?」
思わず首を傾げてしまう。どう思った? それは私が紫乃ちゃんが人間じゃないと知ってからの感情の事かな…?
「…特には何も」
「本当にそうかい? こうして穏やかに話しているが、私達は君ら程度の人間なら片手間で殺せてしまう存在だ。ついうっかり。加減を見誤って。そんな事も無いとは言えない。それでも、何も思わないと言うのかい?」
「……それは…」
それは、どうなんだろうか。
確かに紫乃ちゃんや珠李さんは人間じゃなくて、敵として定められたモンスターの一種だ。
「……何も無いとは、言えないかも知れません」
「…そうか」
そう呟いた珠李さんの目に浮かぶは、落胆の色。――――でもさ、私まだ喋り終えてないよ?
「でも気にする必要も無いと思います」
「…何故、そう思う?」
「私は紫乃ちゃんとこれまで過ごしてきました。それは短い期間かもしれないけれど、紫乃ちゃんが優しい子で、人間と殆ど変わりない存在だというのはその期間で十分理解出来ましたから」
「だが君達とは根底から異なる力に…簡単に命を奪う事が出来る力に、今後も恐怖を抱かないと自信を持って言えるのかい?」
「言えます」
「っ」
それだけは断言する。いや、断言しないといけない。あの日、本気の瑠華ちゃんを見て私はそう誓ったんだ。
「……成程。これは敵いそうにないな」
そう言って珠李さんが弱々しく笑う。けれどそれには、隠し切れない嬉しさの色が含まれていて。
「…では一つだけ言っておこう。君が感じている疑問。それは間違っていない」
「っ!?」
どの疑問なのか。それを答えてはくれないみたいだ。
私が感じている、多くの疑問。そのどれかに、間違いは無いと。
(…これは、知らない方が幸せなのかもしれないね)
でも尽きない疑問を放置するのは無理だ。それが関係を壊すことになるかもしれない。大きな後悔を生むかもしれない。
それでも、知りたいと願ったのは私だから。
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