異世界転移は定員オーバーらしいです

家具屋ふふみに

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第1章

召喚組2

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 俺たちはその後自分たちが使う部屋へと案内された。全員に個室が与えられ、その部屋はまるでスイートルームみたいだった。

「すごーい!!」

「やばいな、これ」

 ふかふかのベットにでかいクローゼット、机に椅子なんかが用意されていた。

「もう少ししたらお食事の時間になりますので、それまでおくつろぎ下さい」

 ここまで案内してくれたメイドさんがそう言って去っていった。食事か…美味しいのだろうか?

「ねぇねぇ…本当に戦うの?」

 心配そうに聖蘭が聞いてきた。聖蘭にも部屋はあるのだが、今は俺の部屋にいる。

「ああ。聞いた限り、倒さないと帰れないっぽいしな」

「そっか…私は怖いけど、勇希がやるならわたしもやるよ」

「無理しなくてもいいんだぞ?」

 女子だし、俺の大切な彼女でもあるんだから。

「大丈夫!むしろ待ってる方が心が壊れそうだもん」

 それはそうなんだが…

 コンコン

「ユウキ様、お食事の用意ができました」

 さっきのメイドさんの声だ。

「はい、分かりました。よし、いくか」

「うん」

 俺たちは部屋を出て、メイドさんについて行った。案内されたのは細長いテーブルがあるでかい部屋。まるでハ○ー○ッターの食堂みたいだ。

「よう、きたか」

 声をかけてきたのは剛だ。俺は剛の隣に座った。ふと周りを見てみると、先生がなにやらキョロキョロしていた。

「どうしたんですか?」

「あ、深谷君!実は1人足りないんです!」

 うん?まだ来ていないのかな?

「誰が居ないんですか?」

「松本さんが居ないんです!」

 松本さん…今日転校してきた人か。確かに目立つ容姿なのに何故か見てないな。

「聞いてみたんですか?」

「聞いたんですけど、そんな人は聞いてないって…」

 聞いてない?!何故だ?俺たちは1人ずつ名前を確認されたはずなのに…

「…まさか、取り残されたとか?」

「え?!そんなことがあるんですか?!」

「俺にも分かりません。後で聞いてみましょう」

「そう、ですね…」

 だいぶ心配なんだな。顔色が悪い。もしこの世界に来ていないのだとしても、一体何処に…

「おーい、勇希、食べないのか?」

「あ、ああ。悪い」

 ひとまずは食事だな。考えるのは後だ。

 食事はスープにステーキだったが…正直いってただの塩味で、不味い訳じゃないが、美味しいとも言えなかった。

 そして今後の予定についての話を受けた。明日からこの世界についての知識などを学びつつ、数日後に実技訓練を始めるらしい。


 俺は食事を食べ終わると、先生と一緒に王様に会いに行った。

「おお、どうしたのじゃ?」

 執務室に入ると、王様は椅子に座って、書類のようなものを片付けていた。

「実は、生徒が1人足りないんです」

「なに?!それはどういうことじゃ?」

「さっき食事をした時にも見かけなくて、城の人に聞いても知らないと…」

「そうか…よし、それはこちらで調べておくとしよう。名前を教えてくれるか?」

「はい、彼女の名前は松本 真衣といいます」

「マツモトマイ…よし、分かった。任せておけ、絶対見つけてみせるからの」

「はい、よろしくお願いします」

 俺たちは執務室を後にした。

 ◇◆◇◆◇◆◇

 次の日、俺たちは大学の大講義棟のようなところで講義を受けた。

 まず、この世界、というか惑星の名前はティリシア。様々な国、大陸が存在し、今俺たちがいるのはバルト大陸にある、リリシア王国という所。魔王がいるのは魔大陸と言われる大陸で、未だかつてひとが到達したことがない大陸なんだとか。じゃあどうやって倒すのかというと、引きずり出すしかないそうだ。だから大陸にいる魔王の手下、魔族を倒していかないといけないらしい。中々大変そうだ。

 そしてこの世界には魔法が存在し、種類としては、火、水、氷、雷、風、土、草、光、闇、無と10の属性があり、その他に治癒、結界、時、収納、転移などといった何処にも属さない魔法もある。特に時と転移は使える人は皆無に等しく、謎が多いらしい。各国間には転移門と呼ばれる古代の遺産があり、原理は分かっていないが、魔力を注ぐことにより起動し、予め登録されている別の転移門に繋がるそうだ。

 で、なぜ何処にも属さない魔法がなのかは、俺たちに関係している。というのも

「あなた方は異世界からきたので、この世界にない能力をもっていることがあるのです」

 らしい。

「どうやって確認するのですか?」

「『ステータスオープン』と心の中か口で唱えると、ステータスプレートと呼ばれるプレートが現れます。このプレートは本人しか見えず、その人の使える魔法やステータス、スキル、称号などが見れます」

「スキルとはなんですか?」

「スキルとはいわば能力を可視化したものです」

 なんかよくわからんが鑑定とかそういうやつかな?

「ひとまず皆さんにはステータスを確認していただきます」

 そう言われたので、俺は心の中で『ステータスオープン』と唱えた。すると目の前に半透明なプレートが現れた。

 ┠ステータス┨────────────────

 名前:深谷 勇希
 種族:人間
 年齢:17
 レベル:1
 職業:勇者
 ステータス:魔力  1000  HP  800
 魔法:聖属性 Ⅰ   雷属性 Ⅲ  火属性  Ⅲ 
 ユニークスキル:全言語理解EX
 スキル:アイテムボックス  Ⅹ
                 マッピング  Ⅷ
                 状態異常耐性  Ⅵ
                 統率  Ⅴ
                 鑑定  Ⅴ
                 縮地  Ⅲ
                 剣術  Ⅲ  
 称号:異世界からの転移者
              勇者

 ────────────────────────────

 どうやらこれが俺のステータスらしい。称号には『勇者』とある。それに魔法には説明されてない属性がある。

「どうでしたか?」

 講義をしてくれていた人が話しかけてきた。1番最初に話しかけられたローブの人だ。

「なんかよく分からなかったです。ただ、魔法に聖属性っていうのがあったのと、称号と職業に勇者がありました」

「勇者ですか!?」

「は、はい」

 なんか興奮しているけどどうしたんだろう?

「あ、すいません…勇者は魔王を倒すことのできる唯一の存在なのです」

 あ、まじ?じゃあ俺がリーダー的なやつ?

「ほーん、まぁ勇希が勇者ならいいんじゃね?」

 そういってきたのは剛だ。

「そういう剛はどうなんだよ?」

「俺か?どうやって見せんだ?」

「ステータスを見せるには『ステータス他者開示』と唱えて下さい」

 なんかそこだけ日本っぽい。

「『ステータス他者開示』」

 剛がそう言うと俺にもプレートが見えるようになった。

 ┠ステータス┨────────────────

 名前:秋野 剛 
 種族:人間
 年齢:17
 レベル:1
 職業:拳闘士
 ステータス:魔力 800  HP  1400
 魔法:水属性Ⅲ
 ユニークスキル:全言語理解EX
 スキル:身体強化  Ⅹ
                 不屈  Ⅷ
 称号:異世界からの転移者

 ────────────────────────────

「おお、なんかスゲー納得」

「なんかってなんだよ」

「私のも見てー」

 そう言って見せてきたのは聖蘭だ。

 ┠ステータス┨─────────────────

 名前:林 聖蘭
 種族:人間
 年齢:17
 レベル:1
 職業:聖女
 ステータス:魔力  2400  HP  700
 魔法:治癒 Ⅴ  聖属性 Ⅲ  光属性 Ⅲ  水属性 Ⅲ  雷属性 Ⅲ  結界 Ⅰ
 ユニークスキル:全言語理解EX
 スキル:魔力急速回復 Ⅹ
                 魔法行使魔力量節約 Ⅴ
                 魔力制御 Ⅴ
 称号:異世界からの転移者
             聖女

 ────────────────────────────

「お、聖蘭は聖女なのか」

「うん、そうみたい」

 ステータス的には魔法特化だな。

「聖女ですと?!」

 もう反応しないでおこう。

 その後今後興奮した様子のローブの人から質問攻めにされ、俺たちはクタクタになり、ベットに倒れ込むと、そのまま眠ってしまった。


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