異世界転移は定員オーバーらしいです

家具屋ふふみに

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第2章

街へ

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 私がギルさんたちと会ってから、早いもので7日が経った。寝ていたフィーナさんは、4日目で目を覚ました。

「え…ここどこ?」

 そのときギルさんたちは洞穴を出かけていたので、説明するのが大変だった。

 そして3日間は、感覚を取り戻すために特訓していた。

「フィーナも元気になったことだし、そろそろ行くか」

 とうとうこの日がやってきた。

「このほら穴どうしよう?」

『全て無限収納庫インベントリに収納した方がいいと思います。この世界には存在しない物が多いので』

 とハクが言うので、ベットやテーブル、キッチンなども全て収納した。

「全部入れちゃうの?」

「もしかしたら入られちゃうかもしれないので」

 悪用はないだろうが、盗みなどはあるかもしれない。

「準備できたか?」

「はい!」

 ギルさんと洞穴を出て、扉にロックを掛けた。あまり離れすぎると効果が無くなってしまうが、念の為に、だ。

「じゃあ行くか」

 森を歩くギルさんたちの後をついて行く。歩調は私に合わせてくれているみたい。

「ねえねえ、マリーナちゃんは街にいってどうするの?」

 そう聞いてきたのはバケットさんだ。この7日の間にかなり打ち解けた。

「うーん…詳しくは決まってないですね」

 調味料などは欲しいが、今更ながらお金がないことに気づいた。

「あ、でもまずはお金を稼ぎたいです!」

「お金かぁー…それなら僕達と同じ冒険者になるのが1番簡単かな?」

「冒険者かぁ…」

 正直、それも考えた。だけれど、私は今5歳なのだ。そう簡単に登録させて貰えるか分からない。

「大丈夫でしょうか?私、5歳ですし」

「あ、そういえばマリーナちゃん5歳か…すっかり忘れてたよ」

「確かに5歳に見えないものね」

 会話に参加してきたのはリナさんだ。

「だけど、マリーナちゃんの実力は本物だし、大丈夫よ」

「うん?実力があったらいいんですか?」

「そうよ。冒険者として登録する時に模擬戦をするのよ。で、その戦いを見て初期のランクを確定するの」

 ほうほう。ハクに聞けば分かっただろうけど、やっぱり現役の人に聞くほうが確証あるよね。

『申し訳ございません』

 あ!ごめんね、ハク。別にハクが悪い訳じゃないからね?

『ありがとうございます。今後改善していきます』
  
 いやいや、十分役に立ってるから!そんなに責めなくていいよ?

『私にとって、マリーナ様の役に立つことは責務なので』

 いや、それでも…

『責務なので』

 あ、はい…

「マリーナちゃん?どうしたの?」

 ハクと会話していると、リナさんが話しかけてきた。どうやらボーッとしているように見えたらしい。

「なんでもないです。ちょっと考え事をしてて」

「そう、ところで、もう着いたわよ」

「え?!」

 改めて前を見ると、高い壁がそびえ立っていた。

「こ、ここは…」

「ここはガドールっていう街よ」

 リナさんがそう答えた。なんか街というか要塞みたい。周りを石?で出来た壁が守っている。

「とりあえず検問に並びましょうか」

 検問っていうのは、街に入る前に逃走中の犯罪者じゃないかとか、危険なものを持ち込もうとしていないかとかを調べること。

「次!お、ギルじゃないか!無事だったのか!」

 ギルさんに話しかけたのは、検問をしていた門番の人。知り合いかな?

「おう!見ての通りピンピンだぜ!」

「良かったぜ…てっきり死んだかと…」

 確かに、私のところに来てから街には行ってないはずだから、かなり久しぶりだよね。

「じゃあギルドカードを確認するぞ」

「おう、これだ」

 そう言ってギルさんは、金属で出来たようなカードを渡した。あれがギルドカードかな?

「よし、持ちもんは…って、誰だ?この子?」

「森で会ったんだよ。身元は俺が保証する」

「森で…?まさか、ギル、いつかするんじゃないかって思ってたが…」

「だー!何言ってやがる!そんなことしてないっつーの!」

 ぎゃいぎゃいとギルさんが門番の人と言い合いをし始めた。仲良いねぇ…

「クライヴ、大丈夫よ。ギルは確かにそんなことしそうだけど、今回違うわ」

、じゃねぇ!そんなことしねぇって!」

 リナさんが場を収めようとしたみたいだけど、余計騒がしくなった。

「あの~、そろそろ止めないと後ろの人達が…」

「「あ!」」

 そう、こうやって言い合いになっている間にも、どんどん並ぶ人が増えているのだ。何人くらいいるだろ?

『37人です』

 あ、そう…

「ゴホン。えー、とりあえずお嬢ちゃん。身分証持ってるかい?」

「持ってないです。持ってないと入れないんですか?」

「いや、大丈夫だ。じゃあこの水晶に手を触れてくれるか?」

 そう言って出したのは、直径15センチくらいの水晶玉だった。

「これは?」

「これは犯罪歴を調べるものだよ」

『マリーナ様が触れても問題ないものです』

 ハクからも大丈夫だと言われたので、水晶玉に触れる。すると青色に光った。

「うん、大丈夫だね」

 大丈夫らしい。

「じゃあ次は税金を払ってくれるかい?」

「それは俺が出す。ほれ」

 税金はギルさんが払ってくれた。そういえばお金なんて使ったことないから、価値がさっぱり分かんないや。

『説明しましょうか?』

 あ、お願い。

『はい。まず、この世界のお金は硬貨だけで、どこでも共通です。額が小さい順に、銅貨、銀貨、金貨、白銀貨、白金貨となっています。換金は銅貨10枚で銀貨1枚となっており、全ての硬貨で同じです。また、銅貨1枚は10リシアと呼ばれ、銀貨は100リシア、金貨は1000リシアと言った具合で数えます』

 なるほど。つまり銅貨は十円玉、銀貨は百円玉って感じか。

「…お嬢ちゃん、ほんとにこんなやつ信用するのか?」

 と心配そうにクライヴさん?が、聞いてきたけど、そんなにギルさんって信用ないのかな?

「大丈夫ですよ!いざとなったらはっ倒して逃げます!」

「そ、そうか…なら安心?か?」

「クライヴ、もういいだろ?こうやってマリーナも言ってるし」

「マリーナちゃんって言うのか…ああ、分かったよ。マリーナちゃん?なんかあったらおじさんを頼りな!」

「はい!そのときはよろしくお願いします!」

 そう言って私は頭を下げた。

「おう!じゃあ改めて…ようこそ!ガドールへ!」

 クライヴさんが道を開け、私はガドールに足を踏み入れた。




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