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第4章
サーニャ、怒る
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「きゃぁぁぁ!」
「どうし…うぉ!?誰だ!?いやそもそも大丈夫か!?」
うるさいなぁ……なんでみんな朝から騒いでるんだろう。私は昨日のあれでもうちょっと寝たいのに……。
「……マリーナ様、起きてください」
ゆさゆさと体を揺らされる。この声は……。薄らと目を開けると、やはり予想通りサーニャさんがいた。
「……おはようございます?」
「なんで疑問なんですか…というか早く起きてください。なんか騒ぎになってるんですよ」
あぁ……さっきから聞こえる声か。
私は仕方なくベットから体を起こし、ふぁーっと欠伸をしながら体を上に伸ばした。
「……その服…」
「え?……あぁ、ちょっと切れちゃったんですよ」
伸びた拍子に、昨日の出来事で切れてしまった箇所が見えてしまったようだ。私は内心の焦りを出さないよう、ただそれだけを答える。
「いつです?少なくとも昨日そんな切り傷なかったですよね?」
……案外よく見てるんだなぁ。
「うーん……よく分からないです」
敢えて誤魔化す。おそらくサーニャさんは自分を責めてしまうから。
「そう、ですか……あ、昨日はありがとうございます。ベットまで運んでもらって…」
「気にしないでください。ただのお節介ですからね」
ヒラヒラと手を振る。私が気になっただけだ。感謝される筋合いはない。
「……分かりました。じゃあ行きましょう。この騒ぎがなんなのか知りたいですし」
「そうですね」
全くなんの騒ぎなんだか……
「あっ!あなた達大丈夫だった!?」
部屋からでると、宿のお姉さんがそう言って駆け寄ってきた。はて?なんの事?
「どうしたんです?」
「朝起きたらお客さんが騒いでてね。それで上に上がってみたら……」
お姉さんの目線の先を追う。そこには壁で死んだように折り重なる男3人……あ。
「へ、へぇー…あ、あの人たちは?」
「分からないのよねぇ。私は下の食堂で食べてるのは見たけど、そもそも泊まっている人じゃないのよね」
ほう。ただ食事をしていただけだったんだね。
「だから強盗かなぁーって思ったんだけど…まぁ通報はしたから、もうちょっとしたら衛兵がくるはずよ」
それなら良かったよ。
「………マリーナ様、ちょっといいですか?」
「へ!?あ、は、はい…」
サーニャさんから聞いたことないほどの低い声が聞こえ、思わず吃ってしまった。思わずサーニャさんを見ると……目が据わっていた。あ、あれぇー?
とりあえず部屋へと戻る。ついでにベットの脇で眠ったままだったプレナを起こした。
「……あの男3人、もしかして、いや、間違いなくマリーナ様の仕業ですよね?」
「な、なんの事だか…」
「とぼけないでください。これでも私はエルフです。魔力の残滓を感知するのは得意です。あの男達……いや、微かですがこの宿自体からマリーナ様の魔力の残滓があります」
ま、魔力の残滓……そういえば拡散するの面倒でやってなかったな…気付くことないだろって思ってたんだけどなぁ…。
「どうなんです?」
じーーっとサーニャさんに見つめられる。うぅ……
「……はい。私がやりました」
正直に自白すると、サーニャさんは深いため息をついた。
「はぁ……まぁ状況は想像できますし、やりすぎだとも思いません。ただ……ちゃんと言ってください。黙らないでください。隠さないでください。もし今度何も言わずにこんなことがあったら……」
「あ、あったら…?」
ゴクリと唾を飲み込む。
「………泣きます」
「……へ?」
思わず素っ頓狂な声が出た。な、泣く?
「…マリーナ様に何かあったらどうするんですか!心配する私の身にもなってください!」
「は、はいっ!」
そっか……朝服が切れていることに気付いたことといい、サーニャさんは本気で私のことを心配してくれているんだね。ちょっと嬉しい、かな。
「聞いてますかっ!」
「き、聞いてますっ!」
心配してくれることが嬉しくて、少し微笑んでいたのが聞いていないと思われたらしい。泣きながらサーニャさんが詰め寄ってくる。そ、そこまで心配してくれてるんだ……。
「わ、分かりましたから!ちゃんと言います。今度から」
「……ほんとですか?」
疑うような視線が私を射抜く。
「ほんとです」
「……なら、いいです」
サーニャさんが離れる。見ると涙は無くなっていた。……嘘泣きですか。はぁ…。サーニャさん、恐ろしい子!
「今日はどうします?」
「……なら、冒険者ギルドで話を聞いてもいいですか?」
なん為に……あぁ。
「あれですか」
「はい。私が聞いたところから、移動している可能性があるので」
ふむ。それはそうだろうな。あれはその場に留まらないだろう。寧ろ、今の状態なら尚更。
「じゃあ食べてから、冒険者ギルドへと寄りましょうか」
「はいっ!」
「プレナもいくよ」
《ふぁー…はーい》
起こしたはいいけど、私たちの会話について行く気がないのか途中から眠ってたのよね。
プレナを肩にのせて、下へと降りる。男3人はもう既に運ばれた後だったようだ。
「あ、おはよう!今日は朝からごめんね?」
「いえ。お姉さんのせいじゃないですから謝らないでください」
「(…マリーナ様のせいですからね)」
それ言わないで……。
「朝食はいつでもいいわよ?部屋で食べる?」
「いえ。ここでいいですよ」
カウンター席にサーニャさんと2人座る。
「じゃあ待っててね。あら、その子は従魔?」
お姉さんがプレナを見ながらそういう。昨日は気づかなかったのかな。
「はい」
「かわいいのね。その子の分はいる?」
《私はいらないよっ!》
「いらないみたいです」
「そう。なら、すぐ2人分持ってくるわね」
お姉さんが去ると、近くの席にいた人が話しかけてきた。
「今日は災難だったね。怖かったんじゃないかい?」
「いえ。誰かがやっつけてくれたみたいなので、怖くなかったですよ」
「そうか。まぁ宿に泊まってるやつが倒したとは限らんだろうがな。しっかしあいつらをあそこまでコテンパンにするなんてな。顔が原型とどめてなくて一瞬気付かなかったぜ」
あぁ……うん。顔思いっきり腫れてたからね。ちょっと強すぎたか…
「そんなにあの3人有名なんですか?」
「有名、まぁ、有名だな。素行が悪い冒険者として」
あ、あの3人冒険者だったんだ。
「まぁランクはDだが、そこそこ強かったからな。倒したやつに会ってみたいぜ。多分男だろうな。大柄な」
すいません。倒したやつ、今あなたの目の前にいます。少女です。男じゃないです。小柄です。
「男…大柄…ぷぷ…」
隣りからサーニャさんの笑い声が聞こえた。そこ笑うとこじゃないでしょ!?じーっと睨むと、サーニャさんは直ぐに澄まし顔に戻った。全く……いいんだい!この街でたら姿変えるんだから!
「どうし…うぉ!?誰だ!?いやそもそも大丈夫か!?」
うるさいなぁ……なんでみんな朝から騒いでるんだろう。私は昨日のあれでもうちょっと寝たいのに……。
「……マリーナ様、起きてください」
ゆさゆさと体を揺らされる。この声は……。薄らと目を開けると、やはり予想通りサーニャさんがいた。
「……おはようございます?」
「なんで疑問なんですか…というか早く起きてください。なんか騒ぎになってるんですよ」
あぁ……さっきから聞こえる声か。
私は仕方なくベットから体を起こし、ふぁーっと欠伸をしながら体を上に伸ばした。
「……その服…」
「え?……あぁ、ちょっと切れちゃったんですよ」
伸びた拍子に、昨日の出来事で切れてしまった箇所が見えてしまったようだ。私は内心の焦りを出さないよう、ただそれだけを答える。
「いつです?少なくとも昨日そんな切り傷なかったですよね?」
……案外よく見てるんだなぁ。
「うーん……よく分からないです」
敢えて誤魔化す。おそらくサーニャさんは自分を責めてしまうから。
「そう、ですか……あ、昨日はありがとうございます。ベットまで運んでもらって…」
「気にしないでください。ただのお節介ですからね」
ヒラヒラと手を振る。私が気になっただけだ。感謝される筋合いはない。
「……分かりました。じゃあ行きましょう。この騒ぎがなんなのか知りたいですし」
「そうですね」
全くなんの騒ぎなんだか……
「あっ!あなた達大丈夫だった!?」
部屋からでると、宿のお姉さんがそう言って駆け寄ってきた。はて?なんの事?
「どうしたんです?」
「朝起きたらお客さんが騒いでてね。それで上に上がってみたら……」
お姉さんの目線の先を追う。そこには壁で死んだように折り重なる男3人……あ。
「へ、へぇー…あ、あの人たちは?」
「分からないのよねぇ。私は下の食堂で食べてるのは見たけど、そもそも泊まっている人じゃないのよね」
ほう。ただ食事をしていただけだったんだね。
「だから強盗かなぁーって思ったんだけど…まぁ通報はしたから、もうちょっとしたら衛兵がくるはずよ」
それなら良かったよ。
「………マリーナ様、ちょっといいですか?」
「へ!?あ、は、はい…」
サーニャさんから聞いたことないほどの低い声が聞こえ、思わず吃ってしまった。思わずサーニャさんを見ると……目が据わっていた。あ、あれぇー?
とりあえず部屋へと戻る。ついでにベットの脇で眠ったままだったプレナを起こした。
「……あの男3人、もしかして、いや、間違いなくマリーナ様の仕業ですよね?」
「な、なんの事だか…」
「とぼけないでください。これでも私はエルフです。魔力の残滓を感知するのは得意です。あの男達……いや、微かですがこの宿自体からマリーナ様の魔力の残滓があります」
ま、魔力の残滓……そういえば拡散するの面倒でやってなかったな…気付くことないだろって思ってたんだけどなぁ…。
「どうなんです?」
じーーっとサーニャさんに見つめられる。うぅ……
「……はい。私がやりました」
正直に自白すると、サーニャさんは深いため息をついた。
「はぁ……まぁ状況は想像できますし、やりすぎだとも思いません。ただ……ちゃんと言ってください。黙らないでください。隠さないでください。もし今度何も言わずにこんなことがあったら……」
「あ、あったら…?」
ゴクリと唾を飲み込む。
「………泣きます」
「……へ?」
思わず素っ頓狂な声が出た。な、泣く?
「…マリーナ様に何かあったらどうするんですか!心配する私の身にもなってください!」
「は、はいっ!」
そっか……朝服が切れていることに気付いたことといい、サーニャさんは本気で私のことを心配してくれているんだね。ちょっと嬉しい、かな。
「聞いてますかっ!」
「き、聞いてますっ!」
心配してくれることが嬉しくて、少し微笑んでいたのが聞いていないと思われたらしい。泣きながらサーニャさんが詰め寄ってくる。そ、そこまで心配してくれてるんだ……。
「わ、分かりましたから!ちゃんと言います。今度から」
「……ほんとですか?」
疑うような視線が私を射抜く。
「ほんとです」
「……なら、いいです」
サーニャさんが離れる。見ると涙は無くなっていた。……嘘泣きですか。はぁ…。サーニャさん、恐ろしい子!
「今日はどうします?」
「……なら、冒険者ギルドで話を聞いてもいいですか?」
なん為に……あぁ。
「あれですか」
「はい。私が聞いたところから、移動している可能性があるので」
ふむ。それはそうだろうな。あれはその場に留まらないだろう。寧ろ、今の状態なら尚更。
「じゃあ食べてから、冒険者ギルドへと寄りましょうか」
「はいっ!」
「プレナもいくよ」
《ふぁー…はーい》
起こしたはいいけど、私たちの会話について行く気がないのか途中から眠ってたのよね。
プレナを肩にのせて、下へと降りる。男3人はもう既に運ばれた後だったようだ。
「あ、おはよう!今日は朝からごめんね?」
「いえ。お姉さんのせいじゃないですから謝らないでください」
「(…マリーナ様のせいですからね)」
それ言わないで……。
「朝食はいつでもいいわよ?部屋で食べる?」
「いえ。ここでいいですよ」
カウンター席にサーニャさんと2人座る。
「じゃあ待っててね。あら、その子は従魔?」
お姉さんがプレナを見ながらそういう。昨日は気づかなかったのかな。
「はい」
「かわいいのね。その子の分はいる?」
《私はいらないよっ!》
「いらないみたいです」
「そう。なら、すぐ2人分持ってくるわね」
お姉さんが去ると、近くの席にいた人が話しかけてきた。
「今日は災難だったね。怖かったんじゃないかい?」
「いえ。誰かがやっつけてくれたみたいなので、怖くなかったですよ」
「そうか。まぁ宿に泊まってるやつが倒したとは限らんだろうがな。しっかしあいつらをあそこまでコテンパンにするなんてな。顔が原型とどめてなくて一瞬気付かなかったぜ」
あぁ……うん。顔思いっきり腫れてたからね。ちょっと強すぎたか…
「そんなにあの3人有名なんですか?」
「有名、まぁ、有名だな。素行が悪い冒険者として」
あ、あの3人冒険者だったんだ。
「まぁランクはDだが、そこそこ強かったからな。倒したやつに会ってみたいぜ。多分男だろうな。大柄な」
すいません。倒したやつ、今あなたの目の前にいます。少女です。男じゃないです。小柄です。
「男…大柄…ぷぷ…」
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