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第5章
王都到着
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歩き続けること、1日。やっと次の街へと到着することができた。
今私の目の前には、高い壁がそびえ立っている。壁の高さで言うなら、ガドールやフォルタスよりも高い。
「ここが、王都です」
そう。到着したのは、私が今いる国の王都だ。だから壁が今までの街よりも高い。まぁ、国の最も重要な所だからね。頑丈に造られている。
とりあえず検問があるので、その列に並んで順番を待つ。
「次!ギルドカードを」
「はい、どうぞ」
サーニャさんが代表して私の分も渡す。一応サーニャさんもギルドカード持ってたんだよね。商業ギルドにしか、登録してないそうだけど。
「…よし。しっかし2人旅か?大変だったろ」
門番の人がギルドカードを返しながら、そんなことを口にする。
「いえ。そこまでですよ」
サーニャさんが答える。私は黙っておく。まぁ大丈夫だとは思うけど、前サーニャさんに交渉なんかは任せるって言っちゃったからね。
「まぁそうは言っても案外疲れてるもんだ。俺のオススメの宿を教えようか?」
サーニャさんが一瞬私に目線を向けたので、了承の意味を込めて軽く頷いた。
「……いいんですか?」
「ああ。この通りを真っ直ぐ行ったとこにある、[竜亭]って宿だ。"ザーズ"の紹介だと言えば安くしてくれるはずだ」
「ザーズ?」
「俺の名前だ。迷ったら誰かに聞け。教えてくれるはずだ」
「分かりました。ありがとうございます」
「いいってことよ。次!」
門番の人が次の人を呼んだので、私たちは最後にお辞儀をしてから、王都へと足を踏み入れた。
街並みは余り変わらないけれど、活気がまるで違う。いい方にね。人の数も多い。これははぐれないようにしないとなぁ……。
「あの…マリーナ様?」
「はい?なんでしょうか?」
呼ばれて横にいるサーニャさんの方へと向き直ると……サーニャさんが手を前に組んでモジモジしていた。えっとー……?
「その……お手を繋いでもよろしいですか?」
………可愛すぎか。
「もちろんっ!」
拒否なんて出来やしない。
了承を伝えると、サーニャさんがまるで花か咲いたような笑顔になった。
………うん、可愛い。
《主様、顔、顔》
ペチペチとプレナから頬を叩かれた。どうやらにやけてしまっていたらしい。いけないいけない……。
「では、行きましょうか。はい」
私の方から手を差し出す。すると、おずおずといった様子でサーニャさんがその手を握る。
「……あったかいです」
「そこまで変わらないとは思いますけどね……あ、今更ですけど、大丈夫ですか?」
もともと格の違いのせいで近くにいることすら負担になっていたからねぇ……。
ほんとに今更だけど、手を繋いでも良かったのだろうか?
「あ、そういえば……大丈夫です」
言われてからサーニャさんも気付いたらしい。ふむ……あれか。盟約の影響か。
『その通りです。まだマリーナ様の龍化状態には耐えられませんが、次第に慣れていくはずなので、いつかは大丈夫になるはずです』
ほぇー。盟約がこんな所で役に立つとはね。そういう意味では、結んでおいてよかったのかな。
「マリーナ様?」
「…あ。なんでもないです。じゃあ行きましょう」
「はい。確か……[竜亭]、でしたね」
サーニャさんと手を繋いで、言われた宿を目指す。その途中で、通りに面した店の人から暖かい目線を向けられていたんだけど……絶対姉妹だとか思われてないかな?
「ほら、妹ちゃんこれ持ってきな」
……やっぱりだった!!はぁ……いやまぁ年齢的にはサーニャさんかお姉さんなんだけとね……なんというか、複雑。
店の人から貰ったのは……飴玉でした。こっちにもあったのね。
「そ、その……私のせいですいません」
「気にしてませんよ。悪気がある訳では無いですしね」
それに知っているぞ、サーニャさん……私が妹ちゃんと言われた時に、「じゃあ私がお姉ちゃん……いいかも」とか言ってたの。
「っ!ききき聞こえてたんですか!?」
「ふふっ。ええ、まぁ」
地獄耳だからね、私。
「あうぅ……」
プシュウという音が合いそうな様子で、サーニャさんの顔が真っ赤になり、そのまま道の端でうずくまってしまった。
「そんなに恥ずかしいですか?」
「……だってぇ、浮かれてたってことですしぃ……うぅ…」
「気にしていないと言ったでしょう?それに正直……嬉しかったというか…」
「……え?」
「……やっぱり忘れてください」
思わず言ってしまった……だって、私、お姉ちゃんが欲しいってずっと思ってたんだもの。
どんなことでも、相談に乗ってくれるような、そんなお姉ちゃんが欲しかった。……もし居たなら、もっと日々を楽しめたかもしれないって思ってたから。
「……マリーナ様」
「さぁ、行きますよ!」
話をぶった切るように声を出して、サーニャさんの手を引いて、私は宿へと向かった。
「……頼って、下さいね」
道中、そんな言葉が聞こえた。
「……約束、しましたからね」
泣いたあの時、約束したのだから。
「……いつでも、です」
「分かっていますよ」
足を止めて振り返り、微笑んでおく。
ちゃんとわかっているから。そんな意味を込めて。
「あら、姉妹ちゃん?」
………そして宿でも間違えられましたとさ。あんまり、というか全く似てないと思うんだけどなぁ?
『血の繋がらない兄弟姉妹というのは、比較的多いですから』
……そうなんだ。なんか複雑な世の中を知った、今日この頃。
今私の目の前には、高い壁がそびえ立っている。壁の高さで言うなら、ガドールやフォルタスよりも高い。
「ここが、王都です」
そう。到着したのは、私が今いる国の王都だ。だから壁が今までの街よりも高い。まぁ、国の最も重要な所だからね。頑丈に造られている。
とりあえず検問があるので、その列に並んで順番を待つ。
「次!ギルドカードを」
「はい、どうぞ」
サーニャさんが代表して私の分も渡す。一応サーニャさんもギルドカード持ってたんだよね。商業ギルドにしか、登録してないそうだけど。
「…よし。しっかし2人旅か?大変だったろ」
門番の人がギルドカードを返しながら、そんなことを口にする。
「いえ。そこまでですよ」
サーニャさんが答える。私は黙っておく。まぁ大丈夫だとは思うけど、前サーニャさんに交渉なんかは任せるって言っちゃったからね。
「まぁそうは言っても案外疲れてるもんだ。俺のオススメの宿を教えようか?」
サーニャさんが一瞬私に目線を向けたので、了承の意味を込めて軽く頷いた。
「……いいんですか?」
「ああ。この通りを真っ直ぐ行ったとこにある、[竜亭]って宿だ。"ザーズ"の紹介だと言えば安くしてくれるはずだ」
「ザーズ?」
「俺の名前だ。迷ったら誰かに聞け。教えてくれるはずだ」
「分かりました。ありがとうございます」
「いいってことよ。次!」
門番の人が次の人を呼んだので、私たちは最後にお辞儀をしてから、王都へと足を踏み入れた。
街並みは余り変わらないけれど、活気がまるで違う。いい方にね。人の数も多い。これははぐれないようにしないとなぁ……。
「あの…マリーナ様?」
「はい?なんでしょうか?」
呼ばれて横にいるサーニャさんの方へと向き直ると……サーニャさんが手を前に組んでモジモジしていた。えっとー……?
「その……お手を繋いでもよろしいですか?」
………可愛すぎか。
「もちろんっ!」
拒否なんて出来やしない。
了承を伝えると、サーニャさんがまるで花か咲いたような笑顔になった。
………うん、可愛い。
《主様、顔、顔》
ペチペチとプレナから頬を叩かれた。どうやらにやけてしまっていたらしい。いけないいけない……。
「では、行きましょうか。はい」
私の方から手を差し出す。すると、おずおずといった様子でサーニャさんがその手を握る。
「……あったかいです」
「そこまで変わらないとは思いますけどね……あ、今更ですけど、大丈夫ですか?」
もともと格の違いのせいで近くにいることすら負担になっていたからねぇ……。
ほんとに今更だけど、手を繋いでも良かったのだろうか?
「あ、そういえば……大丈夫です」
言われてからサーニャさんも気付いたらしい。ふむ……あれか。盟約の影響か。
『その通りです。まだマリーナ様の龍化状態には耐えられませんが、次第に慣れていくはずなので、いつかは大丈夫になるはずです』
ほぇー。盟約がこんな所で役に立つとはね。そういう意味では、結んでおいてよかったのかな。
「マリーナ様?」
「…あ。なんでもないです。じゃあ行きましょう」
「はい。確か……[竜亭]、でしたね」
サーニャさんと手を繋いで、言われた宿を目指す。その途中で、通りに面した店の人から暖かい目線を向けられていたんだけど……絶対姉妹だとか思われてないかな?
「ほら、妹ちゃんこれ持ってきな」
……やっぱりだった!!はぁ……いやまぁ年齢的にはサーニャさんかお姉さんなんだけとね……なんというか、複雑。
店の人から貰ったのは……飴玉でした。こっちにもあったのね。
「そ、その……私のせいですいません」
「気にしてませんよ。悪気がある訳では無いですしね」
それに知っているぞ、サーニャさん……私が妹ちゃんと言われた時に、「じゃあ私がお姉ちゃん……いいかも」とか言ってたの。
「っ!ききき聞こえてたんですか!?」
「ふふっ。ええ、まぁ」
地獄耳だからね、私。
「あうぅ……」
プシュウという音が合いそうな様子で、サーニャさんの顔が真っ赤になり、そのまま道の端でうずくまってしまった。
「そんなに恥ずかしいですか?」
「……だってぇ、浮かれてたってことですしぃ……うぅ…」
「気にしていないと言ったでしょう?それに正直……嬉しかったというか…」
「……え?」
「……やっぱり忘れてください」
思わず言ってしまった……だって、私、お姉ちゃんが欲しいってずっと思ってたんだもの。
どんなことでも、相談に乗ってくれるような、そんなお姉ちゃんが欲しかった。……もし居たなら、もっと日々を楽しめたかもしれないって思ってたから。
「……マリーナ様」
「さぁ、行きますよ!」
話をぶった切るように声を出して、サーニャさんの手を引いて、私は宿へと向かった。
「……頼って、下さいね」
道中、そんな言葉が聞こえた。
「……約束、しましたからね」
泣いたあの時、約束したのだから。
「……いつでも、です」
「分かっていますよ」
足を止めて振り返り、微笑んでおく。
ちゃんとわかっているから。そんな意味を込めて。
「あら、姉妹ちゃん?」
………そして宿でも間違えられましたとさ。あんまり、というか全く似てないと思うんだけどなぁ?
『血の繋がらない兄弟姉妹というのは、比較的多いですから』
……そうなんだ。なんか複雑な世の中を知った、今日この頃。
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