異世界転移は定員オーバーらしいです

家具屋ふふみに

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第5章

森の聲と元凶の遭遇

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 森へと足を踏み入れたんだけど……思ったよりも状況はかなり深刻だった。
 まず呪いにかかった魔物。これが予想以上に広まってしまっていた。

「これで、10体目です…」

 現れた黒いモヤに覆われた魔物を切り捨てると、サーニャさんが数を報告してくる。

「やばいですね……」

 早く元凶を潰さないと、取り返しのつかないことになる。

「マリーナ様。森はどうしますか?」

「…ひとまず放置です。時間がありません」

 地面は黒く変色し、立ち枯れした木々があるけれど、森の浄化は私の力を持ってしても時間がかかるし、元凶の浄化、もしく討伐を考えるならば、余力は残しとかないといけない。だから後回しだ。
 ……そう。今回の元凶は、この森自体ではない。聖域は森だったけれども、これは違う。なぜ分かったかというと……この森のからだ。

 ーニゲテー

 ーコワイー

 ーコナイデー

 そんな聲が森に入ってから途切れることなく聞こえる。コナイデとか言ってるみたいだから、元凶は別にいると思ったんだよね。
 でもまさか私の能力にこんなものがあるとは思わなかったよ……

『元々なかったんですよ』

 あ、そうなの?

『はい。ですが以前聖域の森を浄化した事。そして火龍騒ぎの森の修復。それらの行動を考慮して、森の盟友という称号が与えられたのです。森の聲が聞こえるのは、その称号の効果です』

 称号…そう言えばしばらく確認してなかったな。ちょうどお昼時だし、見てみようかな。

「休憩しましょう」

「はい」

 呪いがない場所に移動し、結界を展開。後はゴザを敷いて、宿にて作って貰っていた昼食を無限収納庫インベントリから取り出す。ホットドックもどきだ。
 あ。プレナも呼んで……

「「《いただきます》」」

 さてさて。じゃあすこしステータスの確認をしよう。

 ┠ステータス┨────────
 ※(  )は隠蔽している本来のステータス
 名前:マリーナ・フェル・バーニア
 種族:人間 (多分神龍)
 年齢:5
 レベル:124
 職業:Bランク冒険者
 ステータス:魔力  500(145400) HP  500  (84050)
 魔法:   水属性Ⅴ  風属性Ⅴ  火属性Ⅴ  収納Ⅴ(火、水、氷、雷、風、土、草、光、闇、無、聖、時、空間、結界、転移、治癒、神)
 ユニークスキル(全隠蔽中):無限収納庫インベントリEX    ハク[前ナビゲーター]EX   全言語理解EX   魔力超急速回復EX   全状態異常耐性EX  神眼  隠蔽
 スキル:早覚えⅩ   魔力循環Ⅹ  索敵Ⅹ  魔力制御Ⅹ  料理Ⅹ  木工Ⅶ  武器制作Ⅶ  武器の心得Ⅶ  錬金術Ⅵ 魔力節約Ⅵ  威圧Ⅴ  魅了Ⅲ  交渉術Ⅲ
 称号(全隠蔽中):神の被害者   地の神グランドリアの加護  八百万の加護  水の女神オケアニスの加護  風の女神エアリーズの加護  火の神イシュワームの加護  森の盟友  ∀★ゝ○Σ#⊂
 眷族:トゥベルガ種[プレナ]  ヴェルトーラス種[瑠璃]  
 盟約:護りの盟約
 ─────────────

 ……自分が言うのもなんだけど、ヤバいステータスだなぁ。ていうか魅了なんて厄介なもん取ってるし……あ。魔力とHPの隠蔽の値変えとかないとかな。とりあえず3000くらいでいいか……ちなみにサーニャさんは……

 ┠ステータス┨────────────────

 名前:サーニャ・バーニア・ベルムント
 種族:混血種(エルフと火龍のハーフ)
 年齢:102
 レベル:101
 職業:薬草研究員
 ステータス:魔力 56300  HP  45580
 魔法:草属性 Ⅶ   風属性 Ⅶ  火属性  Ⅷ   
 ユニークスキル:火龍の護り 森人の護り
 スキル:魔力制御  Ⅷ 魔力操作 Ⅷ 状態異常耐性  Ⅵ 鑑定  Ⅴ 木工 Ⅳ 料理 Ⅴ
 称号:族長の孫 異端の存在 マリーナの従者
 盟約:従の盟約

 ────────────────────────

 ……そこまで伸びてないか。まぁ戦ってないしね。でも魔法は風とか使えるみたいだし、戦えないのかな?

「サーニャさんは、戦ったことは?」

「あるにはあります。が……」

 なんだか歯切れの悪い回答をするサーニャさん。

「が、どうしたんですか?」

「…その…強すぎたんです」

「強すぎた?」

「はい……私の称号に、火龍の護りと森人の護りというものがあるんですが……それが魔法の威力を底上げしてしまうんです」

 ほぅ。そんな効果があったのか。

「それで加減ができなかった、と?」

「はい…それからというもの、使うのが怖くなって…」

 所謂トラウマだね。強すぎる自分の力に対する恐怖か。制御できないって言うのもあるかもね。
 言うのを戸惑ったのは、思い出したくなかったからだろう。

「…すいません。お役に立てず…」

「謝る必要はありません。そう簡単に克服はできないでしょうし」

 ていうか強すぎるってなると、私もなんだけどね。だから魔法をあまり使わない。制御はまぁできるだろうけど……それでも強すぎるんだよね。

「時間がある時にでも、一緒に練習しましょうか」

「いいんですか…?」

「私も練習したいですからね」

 いつまでも物理に頼ってばっかりっていうのもねぇ……

「…では、お願いしても?」

「お願いされることでもないとは思いますが……まぁ、これが終わった後にでもやりましょうか」

「はいっ!」

 うん。いい返事だね。

 《主様。私は?》

「プレナはねぇ…」

 聖域で特訓はしてるからなぁ…

「…とりあえず今はサーニャさんについてて。できるなら、制御についてのコツなんか教えてあげて」

 《分かった!》

 ぴょんっとプレナがサーニャさんの肩に飛び乗る。2人まとめて結界で覆って…よしっと。

「よ、よろしくお願いいたします」

 《よろしくね!》

 サーニャさんの言葉が固い……まぁ、いつもの事か。

 ゴザを片付けて、結界を解除する。
 ……その時、一気に悪寒が走った。

「っ!"護れ"!」

 咄嗟に神力で結界のようなものを構築する。思い付きでやったけれど、上手くいったらしく、を弾いた感覚があった。


 ……そして。は現れた。

「ひっ!」

 サーニャさんが恐怖からか後ずさる。それも無理はない。
 一段と黒いモヤに覆われた巨体。下半身は蛇。上半身は人間。しかし、手は少なくとも八本確認できる。
 ……正真正銘、化け物だ。

 ギャァァァァァ!!!

「くぅ…」

 頭に直接響くような喚き声。思わず顔を顰める。

「サーニャさんは下がって!」

 さっき思い付きで展開した神力の結界で、サーニャさんとプレナを覆う。

 ……さぁ。やろうか。




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