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第5章
呪いの権化との戦い【2】
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ガギンッ!!
「くぅぅ…!」
何とか刀で受け止められた……けど、さすがに質量武器2つを受け止めるのはきつい!神龍の私がきついってどんだけ力強いのよ!?
あまりの重さに私が立っている地面に地割れが起きる。今は受け止めているのが精一杯。しかし、相手は腕が2本だけではない。私の両腕が塞がっている状態で、槍で攻撃しようと構えるのが見えた。
……さすがにやばいなぁ。
勝利を確信したのか、化け物が歪んだ笑みを浮かべる。そして黒い槍が私の眼前まで迫り……!
「……え?」
いつまで経っても衝撃が来ず、思わず閉じていた瞳を開く。そこには確かに槍があった。……でも、そこで、小刻みに震えながら止まっていた。
ギャァ、ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”
化け物が槍を投げ捨て、自らの頭を押さえる。そして苦しむような様子を見せた。一体…?
「……っ!はぁぁ!」
何があったのか分からないが、少し力が緩んだようなので今がチャンス!
横を向いていた刀の刃を立て、一気に力を込める。すると、まるでバターを切るかのようにハンマーとメイスが切れた。
ギャァァァァァァ!!
「くっ…!」
切れた途端、持ちうる武器全てを手当り次第に振り回し始めた。さすがに危険なので一旦距離を取る。
「一体…何が?」
警戒は解かず、暴れ始めた化け物を観察する。
「……苦しんでるみたいだけど…」
一体何に苦しんでいるのかが分からない。呪いはあれ自体だからそれが原因ではない……
───本当にそうか?
「…あれ自身も、侵された存在だとしたら」
でも今回の騒動の元凶であることに間違いないだろう。聖域の森の呪いと同じ位の強さというか……禍々しさ、気持ち悪さを感じるから。
でも、あれが呪いが具現化したものではなく、何かに取り憑いたのだとしたら?
「……でも、それを確認する方法は…」
私にはなにも……いや、まてよ?ハク。
『はい』
あれが何か、分かる?
『……はい』
……それを期待して話しかけたけど、まさか本当に分かるとは……
『世界が知っていますから』
世界、か……。
世界とは何なのか。それは明確な定義はない。けれどひとつ分かることがある。それは……意志を持っているということだ。
だから世界は、自分がより良くなるために最善の選択を行う。その選択のひとつが、私に与えられた森の盟友という称号。
で、何が言いたいのかというと……世界が意志を持つということは、生き物と同じく記憶があるということ。ハクはその世界の記憶を閲覧する権限を持つ。前に言ってた閲覧権限レベル5ってやつね。だから聞いてみたんだけど…ほんとに分かるんだね。
『はい。あれは今回の騒動の原因であり、〖天人族〗が呪詛に侵された存在です』
天人族?
『はい。〖天人族〗とは、マリーナ様の知識から言うと天使のような見た目をしています。ですが神の使いという訳ではなく、ただ羽があるだけの人族のようなものです』
なるほど……でもこれで今苦しんでいる理由がわかった気がする。おそらく、理性がまだ残っているのだろう。だから抗っている。だから、私を刺さなかった。
「でもそれが分かったところでなぁ…」
まだ理性が残っているのなら、まだ助かる可能性がある。早く助けないと手遅れになる。でもその助ける方法が分からないんだよ…。
〘マリーナ様!〙
悩んでいると、突然サーニャさんの声が届いた。
〘王都に到着しましたから、もう大丈夫です!〙
〘……本当に?〙
〘はい!〙
………うん。真実だ。良かった良かった。これでサーニャさんの神力の結界を解除できる。神力に余裕が生まれるけど、だからって………いや、まてよ?
「……やってみる価値はあるか。ハク、制御よろしく」
『はい』
私が今からやろうとしていることは、大きな賭けだ。それも…命懸けの。でも、やるしかない。
私は刀を握りしめ、神力を多めに流す。そして一気に駆け出した。
ギ、ギャャァァァァァァ!!
近づいてきた私に対して、持っている武器を投げつけ始めた。さすがにそれは予想外!?
「でもっ!」
多めに神力を流していたため、撫でるように武器を切断していく。
ハンマー。メイス。斧。剣。弓。ハルバード。槍。さらには盾までもを何度も創り出し、投げつけてくる。さすがに全部は切れず、地面に突き刺さるものも出てくる。けど、私は足を止めない。止める訳には、いかない。
「はぁぁ!!」
迫り来る武器を切り捨て、とうとう化け物のすぐ近くまで到達する。でも、まだ私は足をとめない。魔力で足場を創り出し、飛び降りながら化け物の体を縦に切る!
ギャァァァァァァ!!
顔は切っていないので、叫び声を上げる。近くで聞いたので思わずよろけるけれど、根性で耐える。
「ハク!」
『はい』
ハクを呼んだ瞬間、私の体が熱くなるのを感じた。龍化に似ているけれど、少し違う。龍の覇気とも言うべきものを纏ったのだ。ちなみにサーニャさんが以前気絶しかけたのは、この覇気が原因。
ただ覇気を纏うのは難しくない。でも、その方向性と範囲を絞ることは難しい。私の場合は特に、ね。だからハクにその制御を頼んだ。
そして私のこの覇気には、浄化の効果もある。だから、今からしようとしていることには絶対必要なんだ。
ギ、シャァァァァァ…
私の覇気に当てられたのか、化け物が後ずさる。切った傷も塞がり始めた。
「…いくよ」
私は誰に言う訳でもなくそう呟き、走って塞がりかけた傷口の暗闇に飛び込んだ。
「くぅぅ…!」
何とか刀で受け止められた……けど、さすがに質量武器2つを受け止めるのはきつい!神龍の私がきついってどんだけ力強いのよ!?
あまりの重さに私が立っている地面に地割れが起きる。今は受け止めているのが精一杯。しかし、相手は腕が2本だけではない。私の両腕が塞がっている状態で、槍で攻撃しようと構えるのが見えた。
……さすがにやばいなぁ。
勝利を確信したのか、化け物が歪んだ笑みを浮かべる。そして黒い槍が私の眼前まで迫り……!
「……え?」
いつまで経っても衝撃が来ず、思わず閉じていた瞳を開く。そこには確かに槍があった。……でも、そこで、小刻みに震えながら止まっていた。
ギャァ、ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”
化け物が槍を投げ捨て、自らの頭を押さえる。そして苦しむような様子を見せた。一体…?
「……っ!はぁぁ!」
何があったのか分からないが、少し力が緩んだようなので今がチャンス!
横を向いていた刀の刃を立て、一気に力を込める。すると、まるでバターを切るかのようにハンマーとメイスが切れた。
ギャァァァァァァ!!
「くっ…!」
切れた途端、持ちうる武器全てを手当り次第に振り回し始めた。さすがに危険なので一旦距離を取る。
「一体…何が?」
警戒は解かず、暴れ始めた化け物を観察する。
「……苦しんでるみたいだけど…」
一体何に苦しんでいるのかが分からない。呪いはあれ自体だからそれが原因ではない……
───本当にそうか?
「…あれ自身も、侵された存在だとしたら」
でも今回の騒動の元凶であることに間違いないだろう。聖域の森の呪いと同じ位の強さというか……禍々しさ、気持ち悪さを感じるから。
でも、あれが呪いが具現化したものではなく、何かに取り憑いたのだとしたら?
「……でも、それを確認する方法は…」
私にはなにも……いや、まてよ?ハク。
『はい』
あれが何か、分かる?
『……はい』
……それを期待して話しかけたけど、まさか本当に分かるとは……
『世界が知っていますから』
世界、か……。
世界とは何なのか。それは明確な定義はない。けれどひとつ分かることがある。それは……意志を持っているということだ。
だから世界は、自分がより良くなるために最善の選択を行う。その選択のひとつが、私に与えられた森の盟友という称号。
で、何が言いたいのかというと……世界が意志を持つということは、生き物と同じく記憶があるということ。ハクはその世界の記憶を閲覧する権限を持つ。前に言ってた閲覧権限レベル5ってやつね。だから聞いてみたんだけど…ほんとに分かるんだね。
『はい。あれは今回の騒動の原因であり、〖天人族〗が呪詛に侵された存在です』
天人族?
『はい。〖天人族〗とは、マリーナ様の知識から言うと天使のような見た目をしています。ですが神の使いという訳ではなく、ただ羽があるだけの人族のようなものです』
なるほど……でもこれで今苦しんでいる理由がわかった気がする。おそらく、理性がまだ残っているのだろう。だから抗っている。だから、私を刺さなかった。
「でもそれが分かったところでなぁ…」
まだ理性が残っているのなら、まだ助かる可能性がある。早く助けないと手遅れになる。でもその助ける方法が分からないんだよ…。
〘マリーナ様!〙
悩んでいると、突然サーニャさんの声が届いた。
〘王都に到着しましたから、もう大丈夫です!〙
〘……本当に?〙
〘はい!〙
………うん。真実だ。良かった良かった。これでサーニャさんの神力の結界を解除できる。神力に余裕が生まれるけど、だからって………いや、まてよ?
「……やってみる価値はあるか。ハク、制御よろしく」
『はい』
私が今からやろうとしていることは、大きな賭けだ。それも…命懸けの。でも、やるしかない。
私は刀を握りしめ、神力を多めに流す。そして一気に駆け出した。
ギ、ギャャァァァァァァ!!
近づいてきた私に対して、持っている武器を投げつけ始めた。さすがにそれは予想外!?
「でもっ!」
多めに神力を流していたため、撫でるように武器を切断していく。
ハンマー。メイス。斧。剣。弓。ハルバード。槍。さらには盾までもを何度も創り出し、投げつけてくる。さすがに全部は切れず、地面に突き刺さるものも出てくる。けど、私は足を止めない。止める訳には、いかない。
「はぁぁ!!」
迫り来る武器を切り捨て、とうとう化け物のすぐ近くまで到達する。でも、まだ私は足をとめない。魔力で足場を創り出し、飛び降りながら化け物の体を縦に切る!
ギャァァァァァァ!!
顔は切っていないので、叫び声を上げる。近くで聞いたので思わずよろけるけれど、根性で耐える。
「ハク!」
『はい』
ハクを呼んだ瞬間、私の体が熱くなるのを感じた。龍化に似ているけれど、少し違う。龍の覇気とも言うべきものを纏ったのだ。ちなみにサーニャさんが以前気絶しかけたのは、この覇気が原因。
ただ覇気を纏うのは難しくない。でも、その方向性と範囲を絞ることは難しい。私の場合は特に、ね。だからハクにその制御を頼んだ。
そして私のこの覇気には、浄化の効果もある。だから、今からしようとしていることには絶対必要なんだ。
ギ、シャァァァァァ…
私の覇気に当てられたのか、化け物が後ずさる。切った傷も塞がり始めた。
「…いくよ」
私は誰に言う訳でもなくそう呟き、走って塞がりかけた傷口の暗闇に飛び込んだ。
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