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朝
しおりを挟む「リリリリリーン リリリリリーン」
この音、この音だ。おれはこの音が嫌いなんだ。自分でかけたはずの目覚まし音に嫌気がさす。
「うぅ…うるせーな…」
目を瞑ったまま枕元にある携帯を、手の感覚で探し出しだす。見つけ出した携帯をさらに目を瞑った止める。これができる人間は俗に言う朝が弱い人間。その人間にだけ与えられた能力とさえ思っている。いつも通りにもう1度眠りにつこうとしているがなかなか寝る事が出来ない。
「どんだけ暑いんや!くそ!」
普段ならここでもう1度寝てしまう所だが、今日は一段と暑い。毎年この時期が嫌いになる。いくら家賃が安いとはいえ、冷房の効きが悪いのは本当になんとかならないのか。
仕方なく目を覚ますと久しぶりに夢を見た事を思い出す。そうとっても甘くて幸せな夢。眠たい目を擦りながら携帯で検索をかける。
「ロールケーキを食べる夢 夢占いっと」
夢を見た日は決まって調べるようにしている。いつもは占など全く信じないのだが、なぜか夢占いだけは信じてしまう。信じてしまうとは言っても無論自分に都合の良い夢だけだが…
「お!幸福の予感…か。今日はいい事あるかもな」
そんな淡い期待をしながら、汗びっしょりになった体をベッドから起こした。網戸越しの窓から嫌でも聞こえてくるセミの鳴き声がより一層夏の暑さを感じさせる。
ベランダに出て、雲の切れ間からちょうど顔を出した太陽が照りつける光を浴びながらタバコに火をつけ一服をする。
「寝起きの1発目はやっぱうめぇな」
こんな何気ない日常に満足と退屈を足して2で割ったようななんとも言えない感情を一昨年くらいから持つようになった。友達から貰った灰皿で火を消すと、昨晩干した洗濯物を取り込む。これが朝のルーティンみたいなもんだ。
特別出かける予定などないが、タオルを1枚手に取りシャワーに向かう。この時期は洗濯物の渇きがいい。そんな事を考えながらまたおれの1日が始まった。
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