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夕方
しおりを挟む「青山!ここどうなってんだ!」
カタカタと音を立てるパソコンの機械音とプルルプルルと鳴り止まない電話音だけが鳴り響く空間に地鳴りのような怒号が響く。
「は、はい!なんでしょうか!」
またこいつ。またこいつだ。今日はもう大丈夫だろうと思っていた矢先に突然の呼び出し。駆け足で上司の元へ書類を取りに行くといつも通りガミガミと説教を受ける。
「こんなんでクライアントが満足してくれるわけないやろ。1から作り直せ!今日中に仕上げるんや!いいな?」
「今日中ですか!」
「当たり前やろ!分かったらさっさと戻れ!」
行きは駆け足だが、帰りの道はとぼとぼと歩く。まるで、遠足を前半楽しみすぎて帰り道疲れ切っている小学生のようだ。
些細な事がきっかけで、あの上司に目をつけられてから毎日のようにおれはこの怒号を浴びている。
元々気の小さいおれは、なかなか慣れる事が出来ない。毎回肝を冷やしている。
周りのやつらみんな触らぬ神に祟りなしと言わんばかりに知らん顔だ。フォローの一声かけしてくれてもいいと思うんだが…。
この会社に入って2年。そもそもやりたい事もなかったおれは、なんとなくで就職したことが災いして、同じ事の繰り返しにうんざりしている。だが、生きていく為には仕方がない事だと割り切って働いている。いや、そう思わなければやっていけない。
唯一の楽しみは仕事終わりに学生時代の友達と飲みに行く事。毎日あっているわけではないが、たまに会うその時間が大学生に戻った気になれる。
「よし…やるか…」
自分のディスクに戻り腰を下ろす。すっかり冷め切ったコーヒーを一口飲み、腕時計に目を映すともう18時を回っている。今日も残業を覚悟しながら、閉められたカーテンの隙間から差し込みだした夕日を背に、カタカタと機械音を立てる。そうだ、今日は久しぶりに飲みに行くか。携帯を取り出すと、学生時代からの大の仲良しだある男にLINEを送る。
「送信完了っと。」
あいつ今日きてくれるかな。そんな事を考えながらおれの1日が終わろうとしていた。
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