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第1章 ポーター編
017.異常ボス調査とゼンの職選択
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ロックゲートのボスを倒し、迷宮(ダンジョン)制覇を果たした翌日、西風旅団は一応全員で(ゼンもいる)、ギルドに迷宮(ダンジョン)ボスの報告をしに行った。
最初報告を聞いていたカウンターの女性職員は、その若さで凄いですねぇ、と普通に聞いていたのだが、次に出た、青黒い肌のオークキングの話をした辺りから、態度が怪しくなり、
「すいません、ちょっと……」
と席を外した後、中が騒がしくなり、明らかに上役らしきギルド職員の男性が、すみません、詳しい話をお聞きしたい、という事で、ギルドマスターがお待ちです。と伝えてきたのだ。
そして案内人として現れたのが、
「私は、副ギルドマスターの一人、ロナルドです。
ギルドマスターは上の、5階の小会議室で君達を待っています。
来て、いただけますね?」
穏やかな態度だが、その鋭い眼光は、強制を意味している。
応じない訳には、いかないだろう。
西風旅団のメンバー達は、ロナルドの案内で5階まで上がった。
「こんな上の階、来たことないですよ」
「当然です。
冒険者達に開放されているのは、資料室のある2階までです。
それ以上は職員専用。
もしくは、緊急時の会議等では、大会議室に呼ばれる事も……」
「緊急時?」
「ゴブリンやオークの群れ、もしくはその巣穴の討伐や、それ以外でもB~C級の、危険な魔獣が発見されたりした時、ですかな。
フェルズでは、それなりにある、『緊急時』ですよ」
副ギルマスは、にこやかに危険な話をする。
5階の廊下の一番奥の手前、それが小会議室だった。
ゴウセルとレフライアの密会の、定番場所でもある。
その部屋の、白い円形テーブルの奥に腰かけていたのが、この迷宮都市フェルズの名誉領主でもある、隻眼のギルドマスター、レフライア・フェルズだった。
「ようこそ『西風旅団』の諸君。
私が、この冒険者ギルド東辺境本部のギルドマスター、レフライア・フェルズだ。
以後、お見知りおきを。若く、優秀な冒険者の若者達よ」
立ち上がり、優雅な礼までしてみせたのは、燃えるような紅い髪に、左の目の傷を覆う様に、魔術の紋様が刺繍された眼帯をする女性。
かなりの美人であるのに、異様な迫力を持った存在、それがレフライア・フェルズだった。
「とりあえずは席に、適当についてもらおう。……案内ご苦労、ロナルド」
「いえ。それでは私はこれで……」
副ギルマスのロナルドも、優雅に礼をして去り、なんだか西風旅団の面々は、ひどく場違いな場所に来たのではないだろうか、との思いに駆られる。
ともかくも、めいめいが席を決め、座る。
レフライアは、傍らに立つ女性秘書にお茶を頼み、「形式的な振る舞いはこれくらいでいいだろう」、と言うと、急に彼女から放たれていた迫力と圧が、スウっとなくなる。
「いちいち、ギルマスの権威だ、立場だって、うるさいのよ。
冒険者が格式張って、どうするんだか……」
ブツブツ言うギルマスを見て、溜息をつきながら秘書は、めいめいにお茶をいれてくれる。
「それでも、上の者は、下の者に軽んじられる態度がとれないのでは?」
お茶を入れ終わった秘書はそう言うと、そのまま彼女の左隣りに座り、筆記具を構える。
「ファナはそう言うけどね、要は見栄なのよ、見栄。
私はそういうの、好きじゃないなぁ~」
「個人の好き嫌いで語れる程、低い立場ではないですよ。
ギルマスも、名誉領主も……」
急に軽くなった会話に、目を丸くしていたリュウエン達だが、なんとはなしに、レフライアの人柄や考え方が分かったので、ホっと肩の力を抜いた。
「あなた達の事は、ゴウセルからよく聞いているわ。
ゼン君の事も含めて、ね」
レフライアは、ニコリと優しく微笑みかける。
「だから、その妻となる予定の私としても、あなた達には一度会っておきたかったのよ。
そこに、今回の話でしょ。渡りに船とはまさにこの事ね」
ゴウセルから婚約の事は、内々にしてくれ、と言われつつも聞いていた彼等だが、実際の相手に会って、言われると実感が違う。
こんな雲の上の人と、朴訥で、ちょっとだらしない感じがしなくもなゴウセルというカップルは、その内情は知らない彼等には、美女と野獣というか、美女とそこらの野良犬、とでもいった感のある、少し不釣り合いなカップルに見えるのだ。
「……ギルマス、あまり公私混同は……」
「ついでがあったんだから、いいでしょ、これぐらい。
ゼン君、私の事は、『お義母さん』って呼んでもいいのよ」
くつろいだところで、またお茶を噴き出しそうになった者数名。
「オレ、ゴウセルの事も、ゴウセル、としか、呼んで、ないよ」
ゼンが困ったように、小声で言う。
「なら『お義父さん』って呼んだら、絶対喜ぶわよ。……いえ、もしかしたら、卒倒するかもしれないわ」
真剣な表情で悩む、ギルマス・レフライア。
「ギルマス。雑談はそろそろ……」
コホンと、行儀のいい咳をして、ギルマスの脱線を戻す、ファナ秘書官。
「ん。まあ仕方ないか。
じゃあ、あなた達のボス戦の事、最初から、なるべく細かく話して。
足りない、と思ったら他の人もどんどん補足して、なるべく正確なデータが取りたいのよ」
こういう話は、得意なラルクスとサリサリサが、最初サリサリサがメインで、それをラルクスが補う様に話して行った。
リュウエンやアリシアも、その場その場で感じた事や、第六感で感じた様な曖昧な話まで交えて、あの時のボス戦の異常性を話す。
そしてその、初級迷宮(ダンジョン)で出るにはあり得ない程強い、青黒い肌をしたオーク達の事を、なるべく細かく、自分の予測や考えまで交えての、熱い討論会のような感じにその場はなった。
それらをファナは、寸分漏らさず全てノートに速記していった。
ゼンだけが何も言わず、静かにお茶をすすっていた。
「……うん、大体の情報は出尽くしたみたいね。
ここまでのデータで、ファナなら大体予想がつくでしょ」
「……そうですね。ありきたりの結論だと思いますが、要は、『西風旅団』皆さんが、あの程度のボスに挑むには強過ぎた。
そして、その判定を確定させてしまったのが……」
「殲滅速度ね」
「ですね。
初戦は、サリサリサさんの魔術が、効果的に決まり、彼等の陣形との相性との良さが出て、ボス戦としてはあり得ない速さで初戦が終わった……。
そして、迷宮(ダンジョン)がボス、という『試練』を『西風旅団』用に再調整したのが、その青黒い、『強化オーク』なのでしょう。……あくまで、推論として、ですが」
その場には、あのオーク達が使っていた武器が、戦利品として残ったので、すべて出してある。
鉈の様な大剣、片手剣、大槍、短槍、弦の切れた弓、手斧、杖。
どれもが、普通のオークキング一党が使用する様な物ではない。
そもそも大きさからして、段違いだ。
後、場違いな特上豚ロース……。
「私は、それで間違いないと思うわ」
旅団メンバーは、ギルマスと秘書の阿吽(あうん)の呼吸に、息の合った高ランクの強者はやっぱり違うな、と感心する。
ファナは、あくまで単なる秘書なのだが。
「これらの武器は、肉以外は、こちらで高く、買い取らせて貰いたいのだけれど、いいかしら?もしかしたら、自分達で使うのある?」
レフライアの言葉に、皆は首を振り、買い取りを了承する。
「でも、あの雑魚ダンジョンで、初心者練習用迷宮、なんて言われてたロックゲートのボス戦に、そんな罠(トラップ)めいた『試練』があったなんて……」
レフライアも、昔一回クリアした場所だ。
本当に初心者の時で、苦戦こそしなかったものの、仲間とあーだこーだと、苦労はしながら戦ったのは、いい思い出だ。
ゴウセルと一緒に。
「実はね。あのロックゲートのボス戦では、時々、本当の時折なんだけど、帰って来ないパーティーがいたの。
そのパーティー、あのロックゲートのボスに負ける筈がない、強いパーティーばかりだった」
「それって……」
リュウエンは全滅、という言葉を、軽々しく口にして使えなかった。
「ええ、多分。
でもあなた達のお陰で、あそこのシステムのルールが分かった。
これからはもう、そんな悲劇が繰り返される事はない。
これは、あなた達のお陰よ」
レフライアはニコリと、ギルマスとしての顔で微笑んだ。
「この功績。
そしてロックゲートの強化ボスのクリア、後、レオ検定官からの推薦もあります。
あなた達、『西風旅団』全員のF級昇級を、ギルドマスターとして正式に認めます」
喜びに沸く、旅団メンバー。
それを見て、一抹の危惧を感じるレフライアは、言わずにはいられなかった。
「少しだけ注意を。
あなた達は、まだ若過ぎるわ。
その事で、様々な心無い嫌味や皮肉等を、言われるかもしれないけれど、これだけは分かって。
あなた達はまだ、本当に色々な意味で、『経験不足』なの。
迷宮(ダンジョン)は、今回の事からも分かると思うけど、時折、意味不明と思われる形でも、人を試す『試練』を課すわ。
それは特に、ボスに形となって現れる、とギルドでは見ているの。
そういう事を、警告として冒険者達には言ってあるのだけれど、ちゃんとそれを、本気で理解している者は極少数、というのが現状。
あなた達は、迷宮迷宮(ダンジョン)という落とし穴に、決してハマらない様に、注意して欲しい。
あなた達が、前途有望だと思うからこそ言うわ」
リュウエン達は、ギルマスの真剣な眼差しに、本気の警告を感じて、その言葉を決して忘れない様に、心に深く刻み込んだ。
「迷宮(ダンジョン)は、力だけが全てじゃない。
強者至上主義に走りがちな、冒険者稼業だけれど、それでもその事を忘れないで。
時に神々が試すのは、力だけではないのかもしれない、と」
そして、迷宮(ダンジョン)ボス戦の、聞き取り調査は終わった。
※
下の階に降りた旅団メンバーは、ランク昇級の為、ギルドカードの更新をする。
一般的に知られている事は、冒険者のギルドカードは本人しか使えない、個人の身分証明書でありなおかつ、冒険者の様々な個人的なデータ(スキル等)を登録し、閲覧できる便利な魔具である、という事がばかりが知れ渡っている。
だが、ギルド的には他にも、その冒険者が何の魔物累計何匹倒したか、何の素材を売ったか(ギルドに売った場合)、どれだけの任務を達成したか、非達成だったか、等様々なデータの累積が行われている、冒険者個人の総合的なデータの倉庫となっている。
勿論このデータは、ギルドにも残され、バックアップされているのだが、違う国の違うギルドに言った場合、そこでこのカードからのデータが共有され、冒険者のランク保証が完璧な物になるのだ。
偽カードを作っても、そのデータがないだけで、どんなに見た目精工な偽物を作っても無駄となる訳だ。
ちなみにこの累積データは、本人が希望すれば閲覧する事も出来るのだが(魔術で膨大な紙に印刷され)、機能を詳細に記した説明書を、脳筋ばかりの冒険者が隅々まで読む事はほとんどなく、一部の頭の良い術者系の冒険者しか、利用していないのが実情だった。
新しく、Fのクラスが、刻印されたギルドカードを見て、誇らしく思いながらも、まだまだある上の、遥かな高みを目指す気持ちが高まる、旅団メンバーなのであった。
※
ギルド内にある食堂に、とりあえず落ち着いた西風旅団総員5名は、次の初級ダンジョンを、どこの決めるかの相談をしていた。
今現在、フェルズ周辺にある初級ダンジョンは5つ。中級ダンジョンは4つ。上級ダンジョンは3つ。最上級は1つ。となっている
このように、全ての等級の迷宮(ダンジョン)が一つ所に固まっている場所等、世界中探してもそうそうある物ではない。
だからこそ、『迷宮都市』と呼ばれるフェルズなのだ。
全部の迷宮(ダンジョン)が、近場にある訳ではなく、馬車で移動しなければならない程、遠い場所にもあるのだが、その中心に位置するのがフェルズなのだ。
基本、初級ダンジョンは歩いて行ける距離にある。
半日、もしくは丸1日歩いてやっと、という場所もある。
彼らは、次に攻略する初級ダンジョンを、決める話し合いをしていた。
候補はもちろん、残りの4つなのだが、基本的にそれ程特徴的なダンジョンがある訳でもない。
死霊系が多い所がいい、とアリシアが、そこなら自分が活躍出来る!と、言い出した。
だが、残念ながら、ダンジョンの一部に出る、という場所はあるのだが、全体が死霊系、という物はなく(サリサリサがかなりホっとしていた)、決め手に欠けていた所、ゼンがオズオズと手を上げる。
「ダンジョン、じゃない、討伐任務は、駄目なん、ですか?」
「いや、駄目って事はないが、でも何故?」
「あの、オレ、魔物の素材、の、剥ぎ取り、とかそういうの習いたい、です……」
「なるほど、ダンジョンだけじゃ、覚えられない技術、結構色々あるし、な」
ある意味盲点だった、と皆が気づく。
冒険者見習いなゼンには、これから教える事が山ほどある。
それには、むしろ迷宮外の事の方が多いくらいだ。
「フェルズはダンジョンがあるから、と、それに目が奪われがちだが、普通の任務だってちゃんとある。
そうだな。ついでに、採取とかの任務もいくつか取って、ゼンに薬草とかを見せて、種類や効能を覚えさせる事も出来るな」
「あと!オレ、なりたい、冒険者の職、決めました……」
これは、入団?祝いの騒ぎをした時に、ラルクスが、なりたい職を決めたら、それに向けての専門的教育が出来る。
そうゼンに言って、自分が何にどうなりたいかを、ゆっくりでいいから考えておけ、と宿題として出していたのだ。
他のメンバーも興味津々で、自分と同じ職を選べば個人レッスンが出来る、と皆が自分の職を強く進めていた。(酔っぱらっていたせいもあったが)
「あ、決まったんだ。意外に早いね。ゼン君なら、色々悩むかと思ってた」
「この子、決断力とか行動力とか凄いから、決めるのも足みたいに早いのよ」
「まあまあ。ともかく、ゼンの話聞こうぜ」
と言ったのは、妙に余裕を持ったラルクスなのだが。
「オレ、剣士、に、なりたい、です」
と遠慮がちだが、はっきり明確に意志表明され、明暗は分かれた。
「よっしやった、これから俺がゼンの先生だ!」
大喜びのリュウエンと、嘘、スカウトかと……、とかなり落胆のラルクス。
「でもなんで~?ゼン君。私達のパーティーが、前衛薄いからってそれを埋める為に、とか考えなくてもいいのよ~」
アリシアは、ゼンの優しさと気遣いを理解しているので、それがゼンの選択に、強制要素となってしまったのでは、と心配しているのだ。
「ゼンは元々素早いし、気配消せるし、すでにスカウトの素質充分だと思うんだけどなぁ~」
未練タラタラなラルクスであった。
だが、アリシアの心配は杞憂であった。
「え、と。気遣い、とかじゃ、ないです。
術系は、多分、素質ないと思うから、実際多分、向いてないと思う。
で、剣士は、護りたい人を護れる力が得られると、思う、から」
ゼンはトツトツと、自分の気持ちを語る。
そこに嘘はないようだ。
「スカウトも興味、あったけど、ラルクさん見てて余計、スカウト的動きの出来る、剣士がいいかな、と……」
「でも、確かにゼンは、リュウみたいなムキムキで、バスターソードなんて振り回すタイプじゃないし、ね。
同じ感じにはなれないとかなら、剣士としてはじゃあ、どういうのを目指すつもりなの?」
サリサリサは、興味本位で軽く聞く。
「今の、その、特徴生かした、そういう剣士。
素早くて、気配消して相手に気づかれずに斬る、みたいな?」
テレながらも、すでに自分で色々考えていたらしく、はっきりと言う。
「聞いただけで強そうだが、それってアサシン(暗殺者)タイプって感じかな……」
剣士の型(タイプ)としては、それに近いのかもしれない。
皆が、ゼンの未来像を考える。
そこには、恐ろしく強い、周囲に恐怖を振りまく強剣士が笑っている。
そんな未来が、出来上がってしまいそうな気がしたのは、気のせいだったのだろうか……。
「あ、あれだ。
剣士を目指すと決めたからには、いよいよ闘技会は、ゼンのこれからの参考になると思うぞ」
不吉な未来を振り払うべく、リュウエンは、もう開催間近に迫った、フェルズのイベントの事をを持ち出す。
「そうだな。剣士なら、あれを見ない選択肢はない。
なにしろ、この国の最強、もしかしたら、この周辺国1と言っていい、3人の剣士がでるんだ。
いい席を、張り切って取ろう。余裕も今はそれなりにあるからな」
「『3強』かぁ。私達、術士には、正直関係のない話だけど、そんなに強いの?」
サリサリサの揶揄に、リュウエンもラルクスも、凄い勢いで頷いている。
「本当に凄いんだよ、ともかく頭一つ、いや、二つも三つも飛び抜けた存在、それが『3強』なんだ!」
ポカーンとして、反応の薄いゼンに気づいたラルクスが、解説モードに入った。
「どうもゼンは『3強』の知識がない様だから、詳しく説明しよう。
『3強』とは、このフェルズにいる、3人のA級冒険者を指して言う。
なんでAAやAAAじゃないのか、って説明は後にするな。
まずその一人、遥か東方の国から流れて来た、摩訶不思議な剣術を使う、『流水』の二つ名を持ち、折れそうな細い刀を使う謎の剣士『ラザン』。
流水、は彼の使う剣術の名前から来ているという。
前回準優勝、前々回は優勝、の凄腕剣士だ。
変わり者との噂もある。
二人目は、シリウス・ゼフヴァーン。
いや、ゼフヴァーン侯爵家から勘当されてるから、ただのシリウス、なのか。
彼は『聖騎士(パラディン)崩れ』という二つ名を持つ。
何故なら、王都の近衛騎士団所属で、聖騎士(パラディン)の技能にも目覚めたのに、更なる強さを求めて、あっさりと騎士団を退団したんだ。
それで、強い冒険者が集うと評判の、迷宮都市フェルズに来たんだが、それを怒った親父さんのゼフヴァーン侯爵が、勘当だけじゃ飽き足らず、自分の手勢の騎士団30人を、ここに派遣して制裁を加えようとしたんだが、これがアッサリ返り討ち。
その上、その内の20名が彼の強さに心酔し、フェルズ残留を希望。
こいつらは今のシリウスのクラン、『崩壊騎士団』の中核となっているが、基本シリウスはソロで活動している。
あ、言い忘れたが、ちゃんと冒険者になってから、活動してるからな。
彼は前回の優勝者、前々回の準優勝者だ。
彼を懲らしめたい近衛騎士団が、王都からこちらに、何度か騎士を派遣しているようだが、結果は、言わなくてもいいよな。
騎士団なんて所詮、張子の虎だ。
で、最後の一人は~、省いてもいい気がするが、一応。
『豪岩』の二つ名を持つ、褐色の肌の3メートル近い大男。
噂だと、トロルの血が混ざってるだの、祖先はタイタンだの(どれも巨人族)言われているが、実際は純粋な人間らしいんだが、の、ビィシャグ。
彼は、普通なら持てないような、巨大戦斧を使う、いわゆるパワーファイター、なんだが、もう本当にその典型で、ともかく力!
技とか駆け引きとか二の次の、力馬鹿。つまりは脳筋。
そのせいで、前に説明した二人が現れてからは、ずっと万年3位の地位に甘んじている。
それでも、彼の豪快な戦い方や、その一本気な男気に惚れて、彼を慕う者も一定数以上いて、それが彼のクラン、『デス・パワー』となっている。
大男ばっかりの、いわゆるファンクラブかな……」
話疲れて、目の前の飲み物を一気に飲むラルクス。
「この中で注目は当然、優勝、最強の座を争う、『流水』ラザンと、『聖騎士(パラディン)崩れ』のシリウスだ。
どちらも強いし、剣士となるなら見て損のない、剣士の高見にいる存在だ。
だが、シリウスは、完成された剣士として、強いは強いんだが、正直言うと、彼の剣技は、普通の騎士団剣技の延長線上にいるに過ぎない、と言われている。
その完成度は凄すぎて、並の剣士など足元にも及ばないのだが、なんというか、意外性がない、とでも……
まあ、それはいい。俺レベルが何か言っても、ひがみにしかならない。
俺が言いたいのは、一番注目して見て欲しいのが、『流水』ラザンだ、という事だ。
彼の剣技は、初めて見たらきっと驚く。
初めてでなくとも驚くんだがな。
彼の剣技は、まさに流れる水の様に、全ての攻撃、それが魔術だろうが何だろうが、を完璧に受け流す、脅威の剣術だ。
あれは、参考にするとかどうのと言ったレベルじゃないんだが、とにかく見て、何かを感じて欲しい。
シリウスも今は、彼がここにいて、競い合えるからこそ、ここにいる気がする……」
剣士には縁遠い術士のサリサリサとアリシアも、ゴクリと思わず息を飲む。
ラルクスの話には、それだけで彼の感じている、脅威の一端が伝わって来る程の話だった。
リュウエンは、うんうん頷くばかりだ。
「ふーん……」
それが分かっているんだがいないんだか、この頃少し無表情ではなくなってきたゼンは、それでもその考え込む様子には、何を考えているか、今一つ周囲には分かり難いのだった。
まだ、ラルクスの話には続きがある。
「後、ランクの話な、『流水』は何故か、A級に上がってから余り仕事をしてないんだ。
必要ない、とか言って、自分が食うに困らない程度はやるんだが、昇級には興味ない、と。
それを聞いてシリウスが、奴が上げぬのなら、自分も上げぬ、と言い張り、昇級予定のないビィシャグまでもが乗っかって、で、ここに最強のA級冒険者3人、『3強』がいる訳だ……」
*******
オマケ
レ「お義母さん、って呼んでみない?」
ゼ「え、と。あの。困る……」
リ「あれ、ほっといていいのか……?」
ラ「しかし。相手は仮にもギルマスだぞ……。正直言って怖い…」
サ「元A級だものね。ゼンは、尊い犠牲になったのよ……ププ」
ア「微笑ましい光景だね~~。ゼン君も、甘えてあげればいのに~~♪」
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