そうなんです!僕が化け物です!!

あいいろの布団

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独立国家郡ペラルゴン

第12話 受付嬢は逞しい

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先日のドランブイ事件はサイラスさんから恐る恐る聞いた
曰く
「すごい、ぺかー!って感じの笑顔で話してたわね
あとシズキくん、あなたあんな可愛いくて明るい声出るのね
挨拶されたみんなが戸惑ってたわ
普段のアルトボイスもいいけどあの声も素敵よ
あ!それと赤い顔でトローんとしてたのがめっちゃエロk」


「もういいです」
謎の悪寒を感じた気がした
パッチテストで大丈夫だと思ってたけどさすがに40度を一気飲みはダメだったか……
次飲むときは流石にちゃんと考えなきゃ……


実はシズキ、期間の長い護衛依頼の評価がなかなかに高い
もちろん圧倒的戦闘力のおかげもあるが、護衛という性質上一緒に過ごす上でむさ苦しい男より可愛い子がいた方がいいらしい
その上教養があるため商人が連れる丁稚に軽く授業をしたり魔法で暇を潰してくれるのがかなりの評価になっている
Aランク相当、つまりAランクよりは料金が安い
安い、強い、可愛いのお得三点セットである


もちろん高ランクになるとソロ活動する人はたまにいるがそれでも極わずかだ
特に期日の長い護衛は基本複数人で商隊を囲む必要があるが魔法、しかもシズキはかなりの広範囲を知覚できる魔法を持っているためその必要がない
その気になれば寝なくても大丈夫な身体のため夜間の見張りも一人でおこなえる
しかも人間水タンク
旅の中で最も重要と言ってもいい水の心配が無いのだ
その分積める積荷の量も変わる
やはり魔法使いというのは存在だけで便利すぎる


所変わって討伐ギルド


「おはようございます
おや、シズキくん珍しくちゃんとしてますね」
と、受付に行った途端こんなことを言われた


「えぇ…
僕普段そんなちゃんとしてない格好ですかね?」


「そりゃ皆さん鎧などで身を守る格好してる中で一人普通の半袖シャツとパンツなんて、市民みたいな格好じゃないですか」


「あー、ですね」


「今もコート着てるだけでとても冒険者とは思えませんが」


今日の格好はいつもとは違いかなり真面目な正装なのだ
灰色のトレンチコートの中は黒のシャツとベージュのパンツだ
そして前閉めるのが嫌いだからコートの前は開いたまま
さらに今日は珍しく腰に剣も掛けている
コートの帯が帯刀ベルトになっており、前を閉めないと音も鳴るしぶっちゃけ邪魔だ
だがこのコートは内側に多数のフラップポケットがありナイフや火打石、薬草などからできる簡易な傷薬などを入れられる
でも基本みんなは胸当てやら手甲やら身体を守るものを着ているため僕がいくら便利さを謳っても聞く耳も持ってくれない


「んなリスク背負わないで背負い袋に入れりゃいいだろ……」
としか返ってこない
結局斬られたら面倒だよね…ということらしい


そもそもそのような身体を守る武具がいらないのは魔物の攻撃を受けないことを前提とした人間離れした身体能力、または技を持った者だけだからだ
それかただのアホ


ちなみに今日はちゃんとしたブーツも履いている
周りは基本ブーツインだが単純に足が締まる感覚が嫌いなのでしない
汚れるけど僕は自分ですぐに洗えるしね


「今日は指名依頼なのでねー
担当のハイツさん呼んで貰えますか」
基本指名依頼はギルドが仲介となり窓口となる
依頼料や日数、それにかかる費用などの見積もりなどをやってくれる
そしてそれが指名された側に提示され受けるか否かを決めるのだ


「シズキ様、今回は指名依頼を受けていただき誠にありがとうございます
ネイラー商会のペラルゴン、ロマイン国間、計5日間の護衛任務を受理します、よろしいですか」


「はい、お願いします」


「では、これをお持ちになって下さい」
とカードを渡される


「こちらが今回の帰還の費用、並びにロマイン国での護衛任務完了のためのものでございます」


「いつも説明ご苦労様です」
この手の説明は毎回規則でしなければならないらしく正直内容はだいたい覚えてしまった


「いえ、規則ですので」


「ネイラーさん帰りのお金いらないって言ってるのに毎回律儀にくれるんですよねー」


「いいことじゃないですか、渋る人も多いんですよ?
そういえばシズキさん普段帯剣なんてしてました?」


「いや、ちゃんとするのは久しぶりです
改めて歩くのに邪魔だなぁって
この前市歩いてたら面白いの見つけまして」


「その剣…ですか?」


「なんか魔剣の失敗作らしいです
どっかの軍から卸されたもので面白そうなので買っちゃいました」


「失敗作?失敗作は重いだけのガラクタのはずでは?」


普通はそうなのだ
特殊な合金を使った剣には魔法を込められるのだがそのチャンスが一度しかない
魔法を封じ込めるという性質のため一度失敗すると中身が空洞の細胞のような状態となり二度と魔法を込める事ができない


「だったんですけどよくよく見たら魔力の隙間?みたいなのがあったので買って試してみたらいけちゃいました」


「ちなみにどんな魔法を込めたとかいうのは……」


「さすがに秘密ですよ」
さすがに骸喰いを見せるわけにはいかない
剣から人を喰いちぎる何かが出てくるものなんてそうそう見せられるものじゃない


「んじゃま行ってきますね」


「はい、くれぐれもお気をつけて
シズキさんなら安心ですね」
金のポーズをするな金のポーズを……


指名以来の仕事を受ける受付嬢は依頼料などの一部をマージンとして受け取れるのだ
依頼が失敗、あるいはクレームなどが入るとその料が減ってしまうためこんなことを言っている
この世界、しかも討伐ギルドの職員なんていう超絶エリート職に、何倍もの倍率を勝ち抜いてきた嬢達だ
面構えが違う
好待遇で基本終身雇用
命の心配も無い
そりゃあ倍率も跳ね上がる訳だ


さて、とりあえず指定の時間まではあと少しあるから大陸随一の商いの場、ペラルゴンマニュエル地区上位層の市にでも行きますか


「やっべ、今現金持ってねぇわ」
と言いすぐさまギルドに引き返すシズキであった
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