そうなんです!僕が化け物です!!

あいいろの布団

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独立国家郡ペラルゴン

13話 生きてくって大変ですね

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私はシルセス・ネイラー13歳
ネイラー商会当主アシュビー・ネイラーの一人娘
今日は私たちの故郷ロマインに帰る日


お父様には無理を言ってこのペラルゴンに連れてきてもらいました!
いくら護衛がいるからと言っても私を連れて商隊を動かすことについてあまり前向きではありませんでしたがなんとか説得に見事成功!
はっきり言って馬車で揺られる旅はいいものじゃありませんでした
それでも初めて見る景色はずっと国の中でお母様と過ごしてきた私にとってとても新鮮でした
ペラルゴンに長期滞在している間も護衛を連れることを条件に市を歩き回ることを許して貰えたしもう最高!
今日帰るってことは分かっていましたけど名残惜しくて仕方がないです
しかし私は大商会の娘です
これは遊びでは無く将来のためだ、ということは分かっています


お父様や社員の方は荷物の確認、御者の方は馬の調子や飼料、水の確認をしているところに1人のおん……男の子?が何やら話しかけています
普段お父様はあまり仕事中に話しかけられるのを好んでいません
好んでいない、というより寧ろ嫌っているの方が正しいでしょうか
それなのにお父様は作業を中断してまでその男の子に話し始めました
格好は割といいコートを着て帯剣しているのでもしかして騎士?またはそれに準ずる方なのでしょうか?
しかし騎士服や鎧の類は見られませんし冒険者のように強そうにも見えません
しばらくして話し終えるとなにやらこちらに来るようです


「初めましてシルセス様
僕の名前はシズキ
今日から5日間、あなたをお守りする冒険者です
どうぞよろしくお願いします」


「はっ…はい!
こちらこそ!…よ、よろしくお願いします!!」
急に話しかけられたので上手く言葉が出ません……


この私と歳が近い男の子は冒険者だったのです!
しかしおかしいです
今回数ヶ月前ですがペラルゴンへ向かう際は5人ほどのパーティーでしたが今は目の前にいるシズキさん1人、大丈夫なのでしょうか
そう思ったのも束の間、私の不安を読み取ったのでしょうか、シズキさんが


「大丈夫、僕は1人でできるからこうして来ることを許されてるからね
安心して帰路を楽しんで」

後日お父様から聞きましたがシズキさんはお父様が知る中で最も集団防衛に向いている方、とのことでした


………………………………


「いやぁ、シズキ君がいてホントに良かった
今回ばかりは娘のために滞在期間が長いもんで往復で同じパーティーに頼めなかったからね
しかもそれぞれ帰路の分の支出もある
いやはや娘のためとは言え懐が痛いよ」
と言いながら出発してからも書類と睨めっこしてるアシュビーさんは働き者だ


アシュビーさん曰く今回の商隊は娘のシルセスさんの教育のためなのだそうだ
以前から娘が同行したい、という思惑を知っていたらしく商人として、そもそも女の子としてやはりペラルゴンに行くというのは非常に魅力的らしい
そのため娘に付けている侍女を利用して
『私もついて行きたいが許してくれるはずが無い』→『お嬢様が直訴なさってはどうですか?』
などと誘導したそうだ
親バカかよ


羨ましいと思う反面軽く嫉妬が混じる当たりホントに僕はクソな人間なのかもしれない


結果2回ダメ出ししたそうだが見事直訴は成功
私立の学園の長期休みを利用してここに来たそうだ
この世界ではどこの国でもそうだが教育を受けるには金がかかる
僕が行ってたアジュースト王立学園も王立ではあるが特待生でもなければそれ相応に金がかかる
つまり私立はもっとかかる
儲かってんな!!!


余談だが僕はあの時戦後ということもありとある名誉男爵、まぁ名誉だけ、領地も無く雀の涙ほどの俸給の出る男爵様の子として殿下の従者になっていた


「戦後間もない上に国王死亡、残っている男系王族はここにいるラファエル王太子のみ、僕らに派閥なんて作ってる余裕なんて無いよね
それで王太子に何かあったらどうすんの」


って建前、ほぼ本音みたいなもんだけど
それを基に完全王族サイドの僕が付けられていた
貴族としての位が低いのも対外へのアピール
そして卒業したら10代だろうと完全な大人
こっからは貴族らしく頑張れ、ということで僕は完全に退いた
一応ホントに頂いてた男爵の名は返上したよ
在学中にちょいちょいそのこと漏らしてたから新しく王の傍に寄るための熾烈な争いは始まってた
選ぶのは結局戦争で膿を完全に出し切った今の大臣たちな訳だけど
あんなことがあった後だからきっと能力だけで選んでくれるよきっとね……
さすがに政治が介入しないってのは無理かも
でも結局ラファエル殿下、今は戴冠して晴れて王様になった訳だけど本質的な化け物の彼には誰も叶わないんじゃないかな
彼とか不敬か
先月婚約が発表されたからパレードとかにこっそり忍び込んでみるかぁ


「そういえばシズキくん
来月あたりだったよね冒険者税金」


「あ……
あー、あ
え…うん……
あっ、ごめんなさい」


「忘れてた?」


「いや、さっきギルドでこの剣のこと話しちゃいました
というか流れで話させられました
いいのできて嬉しくて浮かれてた……」


「ん?」


「これ魔剣なんですよ
しかも僕が作っちゃった
だから魔道具税の対象なんです
海千山千の受付嬢はホントに侮れないっすね」


「節税は大事だよシズキくん」


「僕を乗せることで馬用以外の水減らして通行税を脱税してる人に言われたくないっす
はぁ、人間には避けて通れないものがある
それは死と税金ってか」
どっかの建国の父の言葉だったっけ


「「はぁ………」」
商人と冒険者、接点はパッと見少ないがお互い高額納税者なのである


討伐ギルドにもしっかりとした年会費という名の税金が存在する
ギルドに属する人は領主に人頭税を払わなくていい代わりに所属しているギルドに年会費という形で税金を払う
結局ギルドが領主に税金を納めているので結局人頭税みたいなものだが
その際所有している不動産だったり魔道具やらにも税金がかかる
そして高ランクになればなるほど年会費も上がる
ランクが上がれば、特にAに上がれば指名依頼が入る、が失敗すれば治療費や任務失敗の罰金が課されることもある
評判が下がる上に高額の年会費に魔道具税、ハイリスクハイリターンな世界ですよ全く
ちなみにB以上はあまり変わらない
Bランクにしては少し年会費が高めなためシズキみたいな金持ち以外はAランク昇進の打診を当然のように受ける
滞納した場合は労役など様々な形態がある


魔道具と言っても課される税金は品によってまちまちで今回僕の魔剣は
「てめぇみたいなヤベー魔法使いが作ったんだからヤベー物だよな?」
って扱い
僕魔法使いって申告してないんだけどなぁ……
つまり内容をギルドに提出しない場合は最高額に近い税金が課される
もちろん偽装したり隠したりしたら不正所持罪でしょっぴかれる
このせいで引退した討伐ギルドの冒険者は持っていた魔道具の税金を払いたくないから弟子に譲ったり商人に売り払うことがほとんどだ
あとは領主に献上したり
そして領主が小遣い稼ぎの感覚で売り普通の市場に魔道具やら魔法の武器類が並ぶ


もちろんその税金を受け取るのは領主だから高額納税者である高ランク冒険者は便宜を図られることが多い
税金の時期はここにいてここで払ってくださいねっていうやつ
税金の時期だけ移動する冒険者はそれが続くとブラックリストに入りギルド側から犯罪者予備軍という印象を付けられ重要度の高い依頼を受けられなくなる
さらに死亡率の高そうな依頼が多く回される
それでも高ランクになってくるとそういう依頼もクリアしちゃうわけでその場合暗殺ギルドに依頼が行ってしまう


「こいつつえーけど税金すっぽかす犯罪者予備軍だから事故に見せ掛けて殺してちょ」

あー怖い怖い
普通に殺した後にでっかい魔物を刈ってきてその顎を使って噛み跡再現したこともあったっけ
これでも直接税のほんの1部ってのがさらに恐ろしい恐ろしい
生きるだけで金がかかるのはどこの時代でも同じらしい
僕前世では消費税くらいしか払ったことないけどね
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