8 / 75
第8話
しおりを挟む*
メッセージを、送るべきなんだろうか?
「今から、わたしの言うことを聞いて、わたしの言うとおりに文章を書いていってください。そうすれば、学校生活は、うまくいきます。少なくとも伝播高校内では、ですが」
「伝播高校しか問題を解決するべき空間はないと思うんだが……?」
「もしかしたら筬屋さんにトラウマを植えつけてしまう可能性がありますが……」
「トラウマのないほうで頼むよ」
「それは、わたしには解決できかねることです」
「……決定事項と、捉えていいのか?」
「ええ、捉えてください」
桜舞は、こほんと咳払いして。
「単純なことですよ。いずれ、また、されるであろう彼女の告白を受け入れるのです」
「受け入れて……それから?」
「もう、いいや……って思うようになってしまったら振ってください」
「振る、のか?」
「ええ。男女同士の恋愛というものは付き合って、その先がある場合も、その先がない場合も存在します。要は、その先が、なかったことにしてしまえばいいのです」
「なかったこと?」
「『やっぱりキミとは友達としか思えないから別れよ』って言えば、成立する話なのですから」
「残酷……」
「でも、兄さんが恋人同士の恋愛関係というものを初めて経験するわけですから、いい勉強になると思いますよ」
「なるかな……?」
「なりますよ! それに今のうちに、そういうのを経験しておかないと大人になったとき、大変なことになりますよ」
「大変なことって?」
「十代、二十代の人にしか恋をしない危ないおじさんのようになってしまうかもしれません。高校から大学の期間が恋人を獲得できる唯一の自然の道が形成されるのです」
桜舞は断言する。
「なぜなら、生徒・学生のときこそが一番異性と友達になれるチャンスをつかみやすい……そして友達から恋人へ、最後に結婚して夫婦とステップアップすることができるのですよ!」
「どうして大人……社会人同士じゃダメなんだ?」
「社会人になってしまったら、相手の経済力を女性は見てしまうのです。だから純粋な意味で恋に落ち、恋愛関係を形成できるのは、生徒・学生のときだけなのですのよ!」
「そっ、そうなのか?」
「そうしなければ、恋も愛もこじらせてしまう……大人になるのです、兄さん。なにも絶対に筬屋さんに残酷な選択をしろと言っているわけでもないのです。彼女と付き合って、うまくいきそうだったら付き合いを継続すればいいのですよ!」
「それで、いいのかな?」
「はい?」
「そんな不順な気持ちで、もし付き合ったとするじゃん? 彼女に失礼じゃない?」
「きゃははっ!」
桜舞は高らかに笑った。
「そんなに真面目に恋愛に対して向き合ってるのはドーテーくらいのものですよ、兄さん」
僕は黙る。
桜舞が妙に恋愛に対して博識なのは……いや、考えるのはよそう。
彼女は僕の妹なんだから――。
だけど、なにかしらのアクションは起こさないとな、と思ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる