21 / 75
第21話
しおりを挟む*
放課後になった。
一年A組の教室のなかで、改めて話し合いをしていくのだが。
「さて、どうしようかな……」
「どうしよう、かな……とは?」
真海奈がイライラしている。
「私が先だったんだよ!」
「そうだね。でも、土曜日に遊びに行くことは決まっていなかった」
「そうですよ! 残念ながら、あたしがルールなので土曜日に遊びに行くのは、あたしです!」
「いや、ここは平等にいきたい」
『平等?』
真海奈と萌瑠が声を揃える。
「なにが平等なんですか?」
萌瑠が質問する――それに僕は答えていく。
「次の休みの日は、ふたりとも同じ日に遊びに行くってこと」
「えっ!? それじゃ、私の先にしていた約束が無駄になるよ……」
「なにも僕らは恋人じゃないじゃん。だから三人で遊びに行くのは普通のことだと思うんだ」
「恋人、じゃない……ね。確かに……ね」
真海奈は少し、がっかりした表情を見せる。
「なに言ってるんですか! あたしとは恋人でしょ!」
「火花さんが発言すると、ちょっとおかしくなるから黙ろうか」
まあ、今すぐに決めることではないか……恋人になるか、恋人にならないか、は。
「じゃあ、そんな感じで、よろしく」
「はい……」
真海奈は明らかに残念そうな顔をしていた。
「一緒に行動できるだけでも、ありがたいことだと思うんですけどねえ……」
おまえが言うな、って感じがしないでもない萌瑠に対して、僕は少しだけ感謝していた。
そもそも僕は女の子ふたりと行動するだけでもプレッシャーなのだから。
*
あれから学校に通う一週間が終わって、明日から土曜日になる。
正直、僕の周囲で起こったことは信じられないことばかりだった。
そう……ついに、というか、女の子とふたり同時にデートすることになるとは思いもしなかった。
これについて桜舞に相談しなければいけない。
「桜舞、入るぞ」
「ええ、どうぞ……兄さん」
僕は桜舞の部屋に入っていく。
「兄さんの状況は、いろいろ進展してきましたね」
「ああ、明日は、ふたりの女の子とデートだ」
「ハーレムルートでも開設しましたか?」
「そんなんじゃないよ。たまたま重なっただけだ」
「普通は重ねないと思うんですけどね」
「しょうがなかったんだ。火花さんが、あのとき来なければ土曜日に真海奈、日曜日に火花さんになっていたはずだから」
「兄さんが、もう人生における、すべてを手に入れたんじゃないかって妹は感心しています」
「で、相談なんだけど」
「それは兄さんが決めてくださいね」
「まだ、なにも言ってないんだけど!?」
「どっちかの女性を選んでも、なるようになるしかないんです。兄さんの心の奥底には布佐良さんがいると思いますけど、それは、あきらめてくださいね。筬屋さんは外堀を埋めているので、ある意味公認です」
桜舞は断言するが。
「ですが、イレギュラーな火花さんには、それが通用していないみたいですけどね」
「そういう意味では真海奈って性格が悪いのかな……」
「どうしてです?」
「僕が好きだってことを公にして公認にするってやつが」
「好きな男性がいたら女性なら誰でも言うと思いますけどね。それだけ求められていることに、むしろ感謝すべきだと思いますが」
「そっか。じゃあ、明日……行ってくるわ」
「はい、ご武運を祈ってますね」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
明日は早朝に出かけるから、すぐに寝てしまおう。
明日のことは、明日に考えれば……それで、いいはずだ――。
0
あなたにおすすめの小説
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる