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第20話
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教えた覚えがないはずなのに、僕のトークアプリに火花萌瑠からメッセージが届いていた。
『次の休み、どこかへ出かけましょう!
映画館へ行くのもいいですし、ファミレスで食事でもいいですよ!
忘れられないデートにしましょうね!』
火花萌瑠の目的は僕の病気の情報、入院していた病院の情報を知ることだ。
僕は、なんだか浮かれた気分になってしまうのだが、そう思うことさえも恥な感じがする。
好感度で言えば、筬屋真海奈→火花萌瑠→布佐良月子の順であるといったところか。
すべての情報を火花萌瑠に話すと、彼女が僕に対する興味をなくすのは、もう目に見えていた。
それこそ言う必要がないことをベラベラしゃべるわけにはいかない。
僕は彼女のアカウントをブロック……――いや、そうする必要は別にない。
せっかくだから、この青春を謳歌しようじゃないか。
僕だって男なんだ。
女の子とデートするくらい夢を見たっていいじゃないか。
逆に、この状況を利用してやればいいのだ。
問題は、どっちと先にデートするかなんだが……。
「――武尊くん」
休憩時間中の一年A組の教室に筬屋真海奈が現れた。
「次の休みに遊ぶ約束だけど、私はできれば土曜日がいいと思ってるんだけど、どうかな?」
「ああ、そうだな……」
――僕に対する視線が集まる。
当然、布佐良月子も見ていた。
彼女から謎の殺気が感じられる。
(月子……もしかして苛ついてる?)
――そんなわけないか。彼女は僕のことが好きじゃないんだ。だから、きっと気のせいだ。
「わかった。じゃあ、土曜日にしよ……」
土曜日にしようか、と言おうとした瞬間に、もうひとりの彼女が現れる。
「待ったっーですよ!」
火花萌瑠が、また一年A組の教室に出現した。
「次の土曜日に神憑先輩とデートするのは、あたしです! その次の日曜日も、あたしがデートします! あたしたちの仲を邪魔しないでください!」
「……どういうこと?」
真海奈は殺気立ってきた。
「次の休みに遊びに行く約束をしていたのは私なんだよね? ねえ、武尊くん?」
「うん、確かに真海奈のほうが早かったな」
「あーっ! そうやって、あたしと神憑先輩の仲を、なかったことにする気ですねっー! いけませんよっー!」
「その、この子は誰なの? もしかして今日、武尊くんに告白したって噂になってた子は……」
「やっぱ噂になってたか」
僕は真海奈に火花萌瑠について答える。
「彼女は火花萌瑠さんといってE組――特別進学コースに在席してる子なんだ」
「その子が、どうして武尊くんとデートすることに」
「それは、彼女が理由を説明してくれないから、なんとも言えない」
「あたしは神憑先輩のミステリアスな雰囲気に惹かれて、今日、告白した仲なのですよ。つまり、もう恋人なのです!」
「武尊くんは告白を、受け入れたってこと?」
「いや、僕はイエスもノーも言ってない」
「それが、どうして恋人に?」
「僕は、なったつもりがないけど、彼女が勝手にそう言ってるだけなんだが……」
「えーっ!? それはないですよ、先輩! あたしと、あなたの仲でしょ!」
どういう仲なんだろ……?
「とにかく、話が終着点に向かわないから放課後に、その話し合いをするか」
正直、面倒になってきた……やれやれ、放課後で解決してほしいな。
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