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第37話
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ようやく長い夜が終わるはずだった。
実体を持たない幽霊の少女――心野友代が僕のベッドで、さらに僕の隣で寝ている。
それにより、僕は眠れそうにない……わけでもなく、原因は僕にある。
第一、脳にリミッター機能を施す薬を飲まなかったことによる離脱症状で眠れそうになかった。
クリニックの言いつけを守らずに《機関》の言うことを守っているなんて……どっちを信じるのが正しい道なのか、もう僕には判断がつきそうになかった。
ただ、お給料がもらえる《機関》のほうが僕的によかったから、《機関》に従っているのだ。
それに真海奈への弔いのためでもある。
――睡眠薬でも飲むか。
飲んだ。
覚醒状態の脳髄をシャットダウンするためには、睡眠薬に頼らざるを得ない。
僕は、いわゆる普通の人というカテゴリーから外れてしまう存在であるからこそ、そのような薬の助けが必要なのだ。
要は不眠症候群の改善のためだ。
キッチンのある部屋へ行く――ハチミツの入ったホットミルクでも作ろう。
活動的な夜を終わらせるためには温かい飲み物を口に入れればいい。
そうすれば、睡眠薬との相乗効果で、より眠りやすくなるはずだ。
明日だって学校へ通わなくてはいけない。
《機関》に入っているから、通う必要がないって思っていたけど、萌瑠は普通に通っていたもんな――そこは尊敬しなきゃな……とは言っても新年度が始まって、まだ、そんなに時間は経ってないけど。
友代は……学校に連れてきたほうがいいよな。
霊気が見える《機関》の人間だから、友代のことを説明すれば、わかってくれるはず……。
妹である桜舞は、なにも知らないし、なにも見えないと思うけど。
とにかく寝よう。
ベッドに戻る。
もう、隣に女の子がいることに対して意識している暇はない。
朝は近い。
おやすみなさい。
*
「おはようございます、兄さん」
桜舞が起こしに来た。
「昨日は大変でしたね。でも、学校には行きましょう」
「うん、そうだな」
「ところで……」
「うん?」
「いえ、なんでもないです」
「そう――」
――友代のほうを見たわけじゃないよな……?
桜舞が部屋を去り、友代に声をかける。
「これから学校へ行くけど、ちょっと一緒についてきてくれないか?」
「…………いい、です、よ」
「会わせたい人がいるんだ」
「…………わかり、まし、た」
こっそり僕の後ろに友代をつかせて、桜舞と伝播高校まで登校していく。
――あ、あの後ろ姿は……。
月子だ。
黄色の髪をなびかせながら登校している。
――声をかけるべき、なのか……?
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