キミが存在しないラブコメ 〜病弱な僕が世界を変える唯一の方法〜

三浦るぴん

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第38話

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  *

 ――真海奈の葬式があった昨日の今日だ。今日ぐらい話しかけたっていいだろう。

「おはよう、月子」

「お、おはよ……」

 第一声が、うまくいったような気がする。

 じゃあ、これは、どうだ……?

「今日は、いい天気だね。快晴かな?」

「…………曇りだけど」

「えっ?」

「感覚バグってる?」

 しまった……薬を飲んでいないせいで感覚がおかしい。

「…………ごめんね」

 月子が、なぜか謝った。

「なにが?」

 ……と、僕は答える。

 これがベストなアンサーなのかは僕にもわからない。

「幼馴染なのに、そうじゃないようにクラスでよそおって」

「ああ……」

 これは、きっと、あれだ。

『……いえ、神憑先輩ですね。一応、去年、この高校に入学しているわけですし』

『そう……。この高校では、あんまり話さないほうがいいかな?』

『そうしてください。わたしにはわたしのやりたいことがあるので』

『了解。じゃあ、干渉しない』

『じゃ』

 ――……あのことか。

「本当は病気で入院していたのに、なにか、かける言葉が、あったはずなのに、あんなことを言ってしまった……そのことを後悔していたの……ごめんなさい」

「ううん、ぜんぜん気にしてないから大丈夫だよ」

「ぜんぜん?」

「いや、正直、ちょっと気にしてた。嘘をついてごめん」

「いいよ。わたしのほうが悪いし。それに真海奈の想いを叶えてあげたかったからさ」

「真海奈の、想い?」

「うん。真海奈は武尊のことが好きだったからね」

 結局、僕は真海奈に応えることはできなかった。

 今さら後悔が渦巻いても、もう時は戻ってこない。

 真海奈は、この世界から、いなくなったのだ。

「真海奈の想いが叶えられちゃえば、わたしも楽になれたのにね」

「楽に、って?」

「それは秘密」

 秘密って、なんだよ、それ……。

「まあ、なんていうのかな……一年A組の教室で、今さら他人行儀で対応しなくても……もう、いいよね」

「もう、いいっていうのは?」

「仲良くしようって、言いたいの」

「ああ、ああ……」

 月子が、はじめて僕に心を開いてくれた。

「…………うん、昔みたいに仲良く、しようね」

「はい、神憑先輩」

「武尊でいいって」

「うん、武尊」

 こんなことが現実になるなんて、思いもしなかった。

 ただ、真海奈には申し訳ない気持ちがある。

 やっぱり僕は月子が好きなんだなって、思ってしまったのだ。

 僕たちは、ふたりで伝播高校へ向かう。

 まだ僕の高校生活は始まったばかりなのだから、この青春を、もっと体験したいと思った。

「ところで、わたしの存在、忘れられてませんか?」

 桜舞がボソッと、おそらく僕に向かってつぶやいた。

 友代も無言でついてきている。

 萌瑠に会わなきゃな……。
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