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第38話
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――真海奈の葬式があった昨日の今日だ。今日ぐらい話しかけたっていいだろう。
「おはよう、月子」
「お、おはよ……」
第一声が、うまくいったような気がする。
じゃあ、これは、どうだ……?
「今日は、いい天気だね。快晴かな?」
「…………曇りだけど」
「えっ?」
「感覚バグってる?」
しまった……薬を飲んでいないせいで感覚がおかしい。
「…………ごめんね」
月子が、なぜか謝った。
「なにが?」
……と、僕は答える。
これがベストなアンサーなのかは僕にもわからない。
「幼馴染なのに、そうじゃないようにクラスで装って」
「ああ……」
これは、きっと、あれだ。
『……いえ、神憑先輩ですね。一応、去年、この高校に入学しているわけですし』
『そう……。この高校では、あんまり話さないほうがいいかな?』
『そうしてください。わたしにはわたしのやりたいことがあるので』
『了解。じゃあ、干渉しない』
『じゃ』
――……あのことか。
「本当は病気で入院していたのに、なにか、かける言葉が、あったはずなのに、あんなことを言ってしまった……そのことを後悔していたの……ごめんなさい」
「ううん、ぜんぜん気にしてないから大丈夫だよ」
「ぜんぜん?」
「いや、正直、ちょっと気にしてた。嘘をついてごめん」
「いいよ。わたしのほうが悪いし。それに真海奈の想いを叶えてあげたかったからさ」
「真海奈の、想い?」
「うん。真海奈は武尊のことが好きだったからね」
結局、僕は真海奈に応えることはできなかった。
今さら後悔が渦巻いても、もう時は戻ってこない。
真海奈は、この世界から、いなくなったのだ。
「真海奈の想いが叶えられちゃえば、わたしも楽になれたのにね」
「楽に、って?」
「それは秘密」
秘密って、なんだよ、それ……。
「まあ、なんていうのかな……一年A組の教室で、今さら他人行儀で対応しなくても……もう、いいよね」
「もう、いいっていうのは?」
「仲良くしようって、言いたいの」
「ああ、ああ……」
月子が、はじめて僕に心を開いてくれた。
「…………うん、昔みたいに仲良く、しようね」
「はい、神憑先輩」
「武尊でいいって」
「うん、武尊」
こんなことが現実になるなんて、思いもしなかった。
ただ、真海奈には申し訳ない気持ちがある。
やっぱり僕は月子が好きなんだなって、思ってしまったのだ。
僕たちは、ふたりで伝播高校へ向かう。
まだ僕の高校生活は始まったばかりなのだから、この青春を、もっと体験したいと思った。
「ところで、わたしの存在、忘れられてませんか?」
桜舞がボソッと、おそらく僕に向かって呟いた。
友代も無言でついてきている。
萌瑠に会わなきゃな……。
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