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第53話
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矢林御琴の能力が発動して闘技場が木々に覆われる。
森林に自身の気配を隠して、その隙を見て、攻撃するための能力か。
だけど。
「カグツチ!」
カグツチの炎による神格操作をおこなう。
神格操作は神の能力を掌握して、自由自在に技の出力・威力を強めたり弱めたりできる。
つまり、木々を、森林を、すべて燃やし尽くす。
場を掌握した。
「燃やしてしまえ、すべての木々を」
「ええっ!? こんなの反則ですよ! 私の能力、なんにも役に立たないじゃないですか!」
そうは言っても僕の能力だしな……。
「まあ、これは、あくまで模擬戦だから……肩の力を抜く感じで、やっていこうよ」
「うーん、そうかなあ……」
「木を生やす能力だろう? 自分の身を隠すことができるわけだし……だから、なにかしらの武器も必要になってくるはず」
「武器ですか……確かに《影》と戦うためには必要ですね」
「せっかく森林を顕現できるんだからさ……弓と矢は、どうかな?」
「弓と矢ですか……でも、どうやって?」
「こう唱えてみるのは、どう? 《現実顕現》って」
「リアルリビール?」
「現実顕現……つまり、妄想を現実世界に顕現する手段だ」
「妄想を現実世界に顕現する?」
「とりあえず……僕、やってみるね。《現実顕現》――十束剣」
現実顕現した十束剣を彼女に手渡す。
「妄想を現実に具現化させる。それが《現実顕現》の本質だ」
森林といったら……弓と矢だよね。
「じゃあ、僕の《習合》能力から抽出して……日本神話の弓と矢を授けよう」
矢林さんに近づき、《現実顕現》した伝説の弓矢を渡す。
「天之麻迦古弓と天羽々矢だ」
天若日子《あめのわかひこ》が所有していた日本神話に登場する弓矢。
放った矢は「海の上の雲のなかに存在する高天原まで届いた」とされる。
僕の《習合》した知識のなかにある日本神話の弓矢が天之麻迦古弓と天羽々矢だ。
これを使えば遠距離での攻撃が可能になる。
それか、また違う伝説の弓矢になるが……いや――。
「もし必要な武器があったら、僕が矢林さんの脳に《オーバーライト》するから」
「わかりました」
「とりあえず、これでやってみよう」
もう一度、模擬戦を開始する。
「《森林》発動」
さすがにカグツチで森を炎上するわけにはいかないしな……なんか、悪いし。
待ってみるか。
「――天叢雲剣。――天羽々斬」
この二本の神剣があれば、いくらでも対応できるはず。
「さあ、かかっておいで」
「いきます」
矢が放たれた。
森のどこから狙っているのかさえ、わからない。
矢林さんは狙いを定めてくるが、狙いが定まらないようだ。
視力が足りないのかな。
「じゃあ、視力を補強するゴーグルをプレゼントしよう」
これで、どうだろうか……?
「いい感じです」
「よかった」
「改めて、いきますよ!」
矢が放たれる。
僕は、それを斬りおとした。
「僕にダメージを与えることができたら、今日の模擬戦は終了するね」
「じゃあ、絶対に攻撃を当てなきゃです」
「どんなに時間が経過しても相手になってあげるよ」
「《森林》発動」
うん、これは……矢林さんは《森林》能力で僕の足に木を生やした。
そして――。
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