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第2章 魔法のお菓子は甘くない?
第2話 お菓子の国のお姫様
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―――。
二頭の馬に引かれて大通りを進む大きなかぼちゃの馬車の開けた窓から、アラメリゼは通りに居る国民達に手を振った。
皆が尊敬の眼差しでこっちを見るパレードが、アラメリゼは大好き!
だってアラメリゼは国のお姫様。素敵な魔法で何でも願いを叶えることができる、とっても凄いお姫様。
だからみんな、アラメリゼのことをうやまわなきゃいけない、だってアラメリゼはお姫様なんだから!
「ねえ、あなた。アラメリゼの扇は持って来たかしら?」
だけど……ふう。こんなに沢山人が集まるから、暑くなってきちゃった。そばに居た一人の召使いに話し掛ける。
「あっ、ご、ごめんなさい! お城に忘れて――」
すると、その召使いは、おどおどし始めた。
「扇がない? ふうん」
召使いをちらっと横目で見て、くすっと笑う。そしてアラメリゼは人差し指をさっと振って。
「全く、使えないわね」
駄目な召使いに、魔法を掛けてあげる。
「あっ……!」
すると、召使いの体が煙に包まれて。アラメリゼの手元に現れたのは……メロンソーダフラッペ。コップには召使いが着ていたメイド服の色や、フリルの模様がついている。
「くくっ。あなたはそれがお似合いよ」
役に立たないメイドが、フラッペになっちゃった! 早速一口スプーンですくって食べてみると甘くて、とっても涼しい。
「どう? フラッペになった気分は?」
って声を掛けると、フラッペの容器が一瞬震えた。そう、この子はもう人間じゃなくて、ただのお菓子、フラッペだ。
流石、自分でも惚れ惚れしちゃうぐらいに何でも出来ちゃうアラメリゼの魔法。使えない子だったけど、こうしてアラメリゼの役に立てて良かったんじゃない?
そして優雅にフラッペを食べ終わると、アラメリゼはまた、民衆の方を見る。
「ふうん……」
さて、いい女の子はいるかしら?
「あ、あの子なんてどう?」
視界に入ったのは、キャラメル色の長い髪をした女の子。アラメリゼが指差すと、召使いがすぐにその子の所まで行って、女の子を招いて連れてくる。
「お、お姫様が、こんなに、近くに……!」
と、女の子は嬉しそうに声を弾ませている。ちょっと緊張しているみたい。
「ねえ、あなたは、どんなお菓子が好き?」
「は、はい! わたしは……わたしは、プリンが一番好きです!」
「分かったわ」
と、魔法をかけると女の子がまた煙に包まれて……今度は、とっても美味しそうなキャラメルプリンに早変わり。
「どうかしら。アラメリゼのおやつになった気分は?」
プルンと、満足そうにキャラメルプリンは大きく一回揺れた。
「それじゃ、いただきます」
一口食べてみると――思った通り、すごくおいしい。だって、見るからにおいしそうな子だったもの。ぷるぷるのかわいいキャラメルプリン。まさに、プリンになるために、それもアラメリゼにプリンに変えられるために生まれてきた女の子だ。
「ああ、おいしかった」
そのまま食べ切って、ぺろっと舌を出す。悪戯っぽい表情で。
それからアラメリゼはお城に帰ってからのおやつの為に、良さそうな子を何人か見つけて、人間の姿のまま持って帰ることにした。
「凄いなあ、お姫様の魔法」「良いなあ……わたしもケーキに変えられたいな!」「羨ましいね!」
と、周りから声が聞こえてくる。
「本当に、本当に選んでもらえたんだね、私達!」「うん! 楽しみだなあ、どんなお菓子になるのかな?」「私はね……えへへ、ケーキが良いなあ、甘い甘いケーキ……」
それに選ばれた女の子たちは馬車の中で、感動した様にお話していた。
当然ね。とっても偉いのお菓子にしてもらえるなんて、とても幸せなこと。
だって、国民なんか皆、アラメリゼのお菓子になるためにいるんだもん。アラメリゼのお菓子化魔法は凄いから、その気になれば皆、みーんなお菓子にできちゃう。だから、皆の憧れで当然。
それに、この国の、いや、この世界の人の殆どが、人間以外の物や動物に変身することが好き。
他の人が変わっちゃうのを見るのはアラメリゼも好きだけど……でも自分が変わっちゃってるのに嬉しいなんて、ちょっと分かんない。人間の方が良いに決まってるのに。
でも、その方がアラメリゼも好き勝手できるから良いんだ。
ちょっとでも生意気だったり、アラメリゼよりも目立とうとしてる子が居たら、自慢の魔法ですぐにお菓子にしちゃう。
アラメリゼのお菓子化魔法に勝てる人はいない。ふふ、アラメリゼの邪魔をした罰よ、お菓子になって悔い改めなさいってね!
あはは、もう、笑っちゃう。こんな素敵な魔法の力を持ってて本当に良かった。
当然、皆が皆魔法が使えるわけじゃない。でもアラメリゼは凄いから魔法学校にも行ってないのに変身魔法が使えるんだ。
とは言っても使えるのは人間をお菓子に変える魔法だけなんだけど……それだけでも十分楽しい。みんなを使って、いっぱい遊べて満足。
こんな力が与えられるなんて、運が良かったのかな? いや、きっとアラメリゼは、選ばれた存在なんだ……!
その証拠に、今日のパレードも沢山の人がアラメリゼを見ようと集まってきて――。
「……あれ」
だけど。ふと窓の外に視線を移すと、人の波がアラメリゼの馬車から、他の場所に集まり始めていて。あろうことか皆、アラメリゼに背中を向けていて――。
「え、え……?」
なんで、なんで??? お姫様のアラメリゼから目線を逸らすなんて、こんなのおかしい。おかしいのに。人だかりの中心に目を凝らすと……そこには、三角帽子をかぶった一人の女の子と、白兎の獣人の姿。
「あれは、何かしら?」
「どうやら、最近人気の出ているマジシャンみたいですね。変身魔法が得意だとか……」
「マジシャン? ふうん、マジシャンね……」
マジシャンって、インチキみたいな魔法を派手にやって、人の気を引きたいだけの子達のことでしょ?
そんなの全然つまんないし、一回も見に行ったことも無い、見に行くつもりもない。
でも……そんなマジシャンが、アラメリゼを差し置いて目立とうとするなんて。
そんなの、生意気絶対絶対認めない。アラメリゼの魔法の方がずっと凄いに決まってるのに。
しかも、見た感じ魔法使いの方はアラメリゼよりもちょっと年下……十歳ぐらいなのが更に気に喰わない。こんなの、放っておける訳ない。
……そうだ。にやっと笑う。
「ねえ、あの二人をちょっとこっちに呼んできて。すぐに!」
本当は、すぐにでもお菓子に変えて食べてやりたいけど、我慢我慢。
だって、もっと良いことを思い付いちゃった!
二頭の馬に引かれて大通りを進む大きなかぼちゃの馬車の開けた窓から、アラメリゼは通りに居る国民達に手を振った。
皆が尊敬の眼差しでこっちを見るパレードが、アラメリゼは大好き!
だってアラメリゼは国のお姫様。素敵な魔法で何でも願いを叶えることができる、とっても凄いお姫様。
だからみんな、アラメリゼのことをうやまわなきゃいけない、だってアラメリゼはお姫様なんだから!
「ねえ、あなた。アラメリゼの扇は持って来たかしら?」
だけど……ふう。こんなに沢山人が集まるから、暑くなってきちゃった。そばに居た一人の召使いに話し掛ける。
「あっ、ご、ごめんなさい! お城に忘れて――」
すると、その召使いは、おどおどし始めた。
「扇がない? ふうん」
召使いをちらっと横目で見て、くすっと笑う。そしてアラメリゼは人差し指をさっと振って。
「全く、使えないわね」
駄目な召使いに、魔法を掛けてあげる。
「あっ……!」
すると、召使いの体が煙に包まれて。アラメリゼの手元に現れたのは……メロンソーダフラッペ。コップには召使いが着ていたメイド服の色や、フリルの模様がついている。
「くくっ。あなたはそれがお似合いよ」
役に立たないメイドが、フラッペになっちゃった! 早速一口スプーンですくって食べてみると甘くて、とっても涼しい。
「どう? フラッペになった気分は?」
って声を掛けると、フラッペの容器が一瞬震えた。そう、この子はもう人間じゃなくて、ただのお菓子、フラッペだ。
流石、自分でも惚れ惚れしちゃうぐらいに何でも出来ちゃうアラメリゼの魔法。使えない子だったけど、こうしてアラメリゼの役に立てて良かったんじゃない?
そして優雅にフラッペを食べ終わると、アラメリゼはまた、民衆の方を見る。
「ふうん……」
さて、いい女の子はいるかしら?
「あ、あの子なんてどう?」
視界に入ったのは、キャラメル色の長い髪をした女の子。アラメリゼが指差すと、召使いがすぐにその子の所まで行って、女の子を招いて連れてくる。
「お、お姫様が、こんなに、近くに……!」
と、女の子は嬉しそうに声を弾ませている。ちょっと緊張しているみたい。
「ねえ、あなたは、どんなお菓子が好き?」
「は、はい! わたしは……わたしは、プリンが一番好きです!」
「分かったわ」
と、魔法をかけると女の子がまた煙に包まれて……今度は、とっても美味しそうなキャラメルプリンに早変わり。
「どうかしら。アラメリゼのおやつになった気分は?」
プルンと、満足そうにキャラメルプリンは大きく一回揺れた。
「それじゃ、いただきます」
一口食べてみると――思った通り、すごくおいしい。だって、見るからにおいしそうな子だったもの。ぷるぷるのかわいいキャラメルプリン。まさに、プリンになるために、それもアラメリゼにプリンに変えられるために生まれてきた女の子だ。
「ああ、おいしかった」
そのまま食べ切って、ぺろっと舌を出す。悪戯っぽい表情で。
それからアラメリゼはお城に帰ってからのおやつの為に、良さそうな子を何人か見つけて、人間の姿のまま持って帰ることにした。
「凄いなあ、お姫様の魔法」「良いなあ……わたしもケーキに変えられたいな!」「羨ましいね!」
と、周りから声が聞こえてくる。
「本当に、本当に選んでもらえたんだね、私達!」「うん! 楽しみだなあ、どんなお菓子になるのかな?」「私はね……えへへ、ケーキが良いなあ、甘い甘いケーキ……」
それに選ばれた女の子たちは馬車の中で、感動した様にお話していた。
当然ね。とっても偉いのお菓子にしてもらえるなんて、とても幸せなこと。
だって、国民なんか皆、アラメリゼのお菓子になるためにいるんだもん。アラメリゼのお菓子化魔法は凄いから、その気になれば皆、みーんなお菓子にできちゃう。だから、皆の憧れで当然。
それに、この国の、いや、この世界の人の殆どが、人間以外の物や動物に変身することが好き。
他の人が変わっちゃうのを見るのはアラメリゼも好きだけど……でも自分が変わっちゃってるのに嬉しいなんて、ちょっと分かんない。人間の方が良いに決まってるのに。
でも、その方がアラメリゼも好き勝手できるから良いんだ。
ちょっとでも生意気だったり、アラメリゼよりも目立とうとしてる子が居たら、自慢の魔法ですぐにお菓子にしちゃう。
アラメリゼのお菓子化魔法に勝てる人はいない。ふふ、アラメリゼの邪魔をした罰よ、お菓子になって悔い改めなさいってね!
あはは、もう、笑っちゃう。こんな素敵な魔法の力を持ってて本当に良かった。
当然、皆が皆魔法が使えるわけじゃない。でもアラメリゼは凄いから魔法学校にも行ってないのに変身魔法が使えるんだ。
とは言っても使えるのは人間をお菓子に変える魔法だけなんだけど……それだけでも十分楽しい。みんなを使って、いっぱい遊べて満足。
こんな力が与えられるなんて、運が良かったのかな? いや、きっとアラメリゼは、選ばれた存在なんだ……!
その証拠に、今日のパレードも沢山の人がアラメリゼを見ようと集まってきて――。
「……あれ」
だけど。ふと窓の外に視線を移すと、人の波がアラメリゼの馬車から、他の場所に集まり始めていて。あろうことか皆、アラメリゼに背中を向けていて――。
「え、え……?」
なんで、なんで??? お姫様のアラメリゼから目線を逸らすなんて、こんなのおかしい。おかしいのに。人だかりの中心に目を凝らすと……そこには、三角帽子をかぶった一人の女の子と、白兎の獣人の姿。
「あれは、何かしら?」
「どうやら、最近人気の出ているマジシャンみたいですね。変身魔法が得意だとか……」
「マジシャン? ふうん、マジシャンね……」
マジシャンって、インチキみたいな魔法を派手にやって、人の気を引きたいだけの子達のことでしょ?
そんなの全然つまんないし、一回も見に行ったことも無い、見に行くつもりもない。
でも……そんなマジシャンが、アラメリゼを差し置いて目立とうとするなんて。
そんなの、生意気絶対絶対認めない。アラメリゼの魔法の方がずっと凄いに決まってるのに。
しかも、見た感じ魔法使いの方はアラメリゼよりもちょっと年下……十歳ぐらいなのが更に気に喰わない。こんなの、放っておける訳ない。
……そうだ。にやっと笑う。
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