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第三章 三年前~奉納祭~
奉納祭④(~リルディアの腕輪)
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【28】
私は否定の意味も込めて左手を左右に振っていると、ふいにその手をローズロッテがじっと見つめている。
「ーーリルディア様? 腕輪を付けたままでしてよ? こうしてよく見ると変わった装飾ですのね? そういえばリルディア様はいつもこの腕輪を付けていらっしゃいますけれど、そんなにお気に入りですの?」
ローズロッテに指摘され、私は意図的に花飾りで隠していた自分の腕輪を見つめる。
「ーーああ、花飾りで隠していたのだけれど、やっぱり目立つかしら?」
「いえ、目立つというほどではありませんけれど、ここのところ、腕にはそれしか付けてはおられないので、いつかお伺いしようとは思っておりましたわ。しかも腕輪にしては私達が使っているものとは少し違いますでしょう? ですから興味がありますの」
「………これはお気に入りというよりも私の大切なものなの。一応どんな衣装に合わせても違和感がないように特注で作らせたから華美な装飾は施さず、付けていても自然な感じに見えるようにはしてあったのだけれどーーー」
ローズロッテは私の腕輪を見つめながら小首を傾げている。
「まあ? 贈られた品ではなくリルディア様ご自身がお作りになられた物でしたの? ………確かに、大変質の良い上品な出来ではありますけれど、失礼を承知で申し上げてしまいますが、リルディア様のような御方がその身にお付けになられるには少々質素な装飾の腕輪ではありませんこと? それに以前までは、もっと王女様の身を飾るに相応しい美しく可憐な装飾の物を好まれていらしたでしょう? 率直に申しませば、そちらの方がリルディア様のお美しいご容姿には相応しいと思いますわ。それとも趣向がお変わりになられましたの?」
そんな彼女の疑問に私は小さく笑う。
「そういうわけではないのよ。勿論私だって、綺麗で可愛い装飾品は今でも変わらず大好きだわ。だけどこれはとても大切なものだから絶対に失くさないように常に身に付けておきたいの。それで着ているドレスを選ばない他人の興味も引かないような装飾にしたのよ。だから貴女だって私がこれを身に付けるようになってからも今まで指摘などしてはこなかったでしょ?」
「ええ、お気に入りの装飾品を常に身に付けておられる方はそう珍しくはありませんもの。ですがリルディア様が常に身に付けておかなければならないほど大切な物だなんて。形見………というわけでもありませんわよね? リルディア様のお身内に最近お亡くなりになられたという方は聞いた事もございませんし、しかもリルディア様がお作りになられたのでしょう? 一体どういった物なのかお伺いしてもよろしくて?」
「………これはある意味“願掛け”でもあるから詳しくは言えないわ。だけどこれはある約束の大切な『預りもの』なの。だからその約束が果たされた時にこれを返す事になっているのよ。だからそれまでは絶対に失くせない。ーー失くさないと約束したのよ」
私は自分の左腕の腕輪を見つめながらその拳をギュッと握る。そんな私の様子にローズロッテは戸惑いつつも頷く。
「………そのような事情がおありでしたのね。ですがリルディア様?『祝福の聖乙女』は規定以外の装飾品を身に付ける事は禁止されておりますのよ? これが神女長に見つかってしまえば必ず指摘されてしまいますわ。ですから本日だけでもそれを外されたほうがーーー」
「ーーその通りです。リルディア様」
凛とした真っ直ぐなその声に心臓が大きく鼓動を打ち振り返ると、いつからそこにいたのか神女長と市井の3人の少女達が立っていた。
「リルディア様。大変申し訳ありませんが『祝福の聖乙女』の規定では規定以外の装飾品を身に付ける事は一切禁止とされております。たとえそれが王女様であってもです。ですから本日はその腕輪をお外し下さい」
ーーああ、やっぱり見つかってしまうわよねーーー
やはりそうなるとは思っていても私もこればかりは絶対に譲れない。
「………神女長。貴女の言う事も分かってはいるわ。けれどそれだけは絶対に聞けないわ。これは私にとってとても大事な物なのよ。だから誰が何と言おうと絶対に外さない…………」
それでも神女長はアニエスの時と同じ様に、私にも毅然とした態度で首を小さく横に振る。
「リルディア様。これは『規定』なのです。いくら大切な物であるとしても従って頂かなくては規定をきちんと守っている他の方々への示しがつきません。そして一国の王女としてのお立場にある聡明な貴女様であれば、それはこ理解下さると思っています。ですからその腕輪は私共が責任を持って大切にお預り致しますので、せめて儀式が終えるまではどうかお外しになっては頂けませんか?」
アニエスの時と同じだと思っていたのが、何故かこの神女長は態度は変わらず毅然としたままだが、そんな私に対しては幾分柔らかい話し方をし、しかも気を遣_っているかのような感じさえもする。けれど、ここはいくら私に緩和した“お願い”とも取れる話し方であったにしろ勿論、絶対に退くわけにはいかない。
「ーー駄目よ。言ったでしょ? 誰が何と言おうと外さないって! 神女長、貴女は私を買い被っているわ? 私は聡明でも何でもなく王女であるとはいってもアニエス姉様のような高いプライドなんてさほど持ち合わせてはいないのよ。だから『規定』を破ったところで周りから何を言われようが全く構わないわ。それに貴女はそのように『規定』を守る様言うけれど、私から言わせて貰えば、この私が『聖乙女』になっている事自体がもう既に“規定違反”じゃないの!
私は元より『祝福の聖乙女』なんて全く興味もないし、当然なるつもりも無かったから、ずっと断り続けていたでしょう? それなのに大神殿側が国王であるお父様に手を回してまで私に承諾せざるを得なくしたんじゃない! そんな自分達が既に『規定』を破っているのに私をどうこうとは言わせないわよ?
ーーああ、貴女を責めているわけではないのよ? 貴女は『神女長』という立場上、どうしても言わなければならないのは勿論、理解しているわ。けれど私にも退けない“事情”があるのよ。だからこの腕輪は絶対に外さないし私以外の誰にも預けられない。たとえそれがお父様であったとしても絶対に預ける事など出来ないわ。
それでも駄目だと言うのなら、私は今この場で奉納祭の儀式は勿論の事、それに関する全ての行事の参加を放棄するわ。そもそも儀式なんてものは私個人にとってはどうでも良い事なのよ。それが王族のくせに“責任放棄”だと言われようが、私は自分の意思を曲げてまで嫌々従うつもりはないわ。
ーーご存知だとは思うけれど、お父様ーー国王様は私のお願いなら何でも聞いて下さるの。だから私が本気で嫌だと言えば、周りの有無など関係無しに私の意思を尊重して下さるのよ? だから大神官長には私がそう言っていたと伝えて下さる? そうすれば貴女は職務を全うしているのだもの。また第四王女の我儘が出たかと言って、貴女自体が上から咎められる事はないはずよ?」
私は神女長を真っ直ぐに見据えながらも、殆ど脅しともとれる発言で自分の権力を最大限行使する言葉を使う。いくら規律に厳格な神女長とはいえど、私にそれを言われてしまっては彼女の立場上、もう何も言う事は出来ないだろう。ーーなどと思っていると、私のその発言に対して何故か隣にいるローズロッテの方が非常に慌てた様子で私を宥めにかかる。
「リルディア様!! どうか落ち着いて下さいませ! 腕輪の事は大丈夫ですわ。私が大神官長に直に掛け合いますから! ですから奉納祭の行事を全て放棄するなどとは、お考えにはならないで下さい。この奉納祭では皆様がリルディア様のその麗しいお姿を拝見出来る事を何よりも楽しみにされておりますのよ?
それにどうでも良いだなんて仰らないで? リルディア様ほど歴代の聖乙女達の中でも並ぶ者が誰一人としていないくらいに『祝福の聖乙女』の名に最も相応しい御方はおりませんわ。いえ、『聖乙女』という言葉などではリルディア様に相応しいとは申せませんわね。リルディア様には『祝福の女神』と申し上げた方が皆も納得致しましてよ? しかも巷では既にリルディア様の事を『女神』と称している者もいると聞き及んでおりますわ。
ですからそんなリルディア様をひと目拝見しようと楽しみにされている皆様方の為にもせめて儀式だけでもご参加下さい。それに何よりリルディア様の聖乙女姿を一番楽しみにされている国王陛下やご婚約者のセルリアの王太子様がいらっしゃるではありませんの。
ーーああ、そういえば? リルディア様の叔父上であられるクラウス様もこの奉納祭にご出席されていらっしゃるとか。きっとクラウス様もリルディア様のそのお姿をご覧になれば、それはもう大変喜ばれますわね?」
ローズロッテの口から突然クラウスの名前が飛び出し、それを聞いた瞬間、私の体はビクッと反応し急にソワソワと落ち着かなくなる。
「お、大袈裟過ぎるわ?『聖乙女』とか『女神』とか私はそんな風に呼ばれるほど大層な柄じゃないわよ? しかも性格も良くもないし口だって悪いし。それに確かにお父様やユーリウス王子は喜んで下さるかもしれないけれど、ク、ク、クラウスはそんな………わ、わわ、私を見たくらいで喜んだりなんて、し、しないわ? か、彼もそんな性格じゃな、ないし………」
クラウスの事を口にした途端、心臓がざわざわと波打ち思うように言葉がすんなりとは出てこない。それでなくともクラウスとは“アリシアの一件”で現在、気まずい雰囲気になっているというのに。しかもそれらの話題は私の中では“禁句”ですらある。それなのにひとの気も知らずに簡単に彼の名前を出してくれるな!!
ーーと、ローズロッテには罪はないものの、思わず睨み付けてしまいそうな心境だ。
そんな彼女は呑気にも私の心境を無視するかの如く、まるでお構い無しとばかりに平然と彼の話題を口にする。
「まあ? そんな事はございませんわ? リルディア様はお母上同様、二人目の『傾国の美女』と呼ばれている希少な美貌をお持ちの御方でしてよ? そんな絶世の美女を前にしてどれほど堅物な殿方であろうと心動かぬ男性はおりませんわ。当然、クラウス様とてご成人されている立派な大人の『男』ですもの。普段ともまた雰囲気の違うリルディア様のその美しいお姿をご覧になれば、同姓の私でさえ思わず見惚れてしまうのですもの。クラウス様に至っても間違いなく見惚れてしまわれますわね」
「ぅぐっ…………」
自分の意思とは裏腹に何とも表現のしづらい変な表情が顔に出そうになり、慌てて口許全体を隠すようにして手の平で覆う。
本当にローズロッテの言葉の言い回しには、いかにも相手を持ち上げるような大袈裟過ぎる誉め言葉も勿論だが、時々、恋愛話でもするような色恋を滲ませるような言葉を使ったりもするので、恋愛適齢期のご令嬢達には大変好評ではあるものの、まだ人生の発展途上中にあるお子様の私にはそんな風に色々言われてもどう反応してよいやら分からず、その反動から顔が勝手に変な表情になってしまったりする。皆はそんな私を見て「可愛い」とか言うけれど、言われた方にしてみれば恥ずかし過ぎて屈辱的感覚すら覚えてならない。
「うぅ………ローズ。からかうのはよして? ここは貴族のサロンではないのよ? そんな事を言われても反応に困るじゃない。それに話の主旨が変わっていてよ?」
私が目を細めて指摘するとローズロッテは微笑みながら「申し訳ありません」と謝罪の言葉と共におどけた表情を見せる。それを見て私は長いため息を吐きつつも表向きはローズロッテに呆れている様に見せかけてはいるが、その実のところはーー彼女の言葉を聞いて先ほどから煩いほどに騒いで動揺している心臓の動悸を鎮める為の長いため息だった事は私だけの秘密だーーー
「とにかくですわ! リルディア様に致しましても本日の儀式に臨まれる為にあんなに一生懸命、舞踊の練習を頑張ってこられたのにその努力を全て無かった事になされますのは本望ではございませんでしょう?」
そんなローズロッテの言葉に賛同するように市井の3人の少女達も揃って口を開く。
「その通りです! リルディア王女様! 王女様が寝る間も惜しんであんなに一生懸命頑張っていたこの2日間の努力を無駄にされてはなりません!」
「ええ、本当に!! ーー神女長様!! リルディア王女様はそれはもう本当に一生懸命頑張っておられたのですよ? しかも王女様はご自分用に用意された踊りではなく私達がふた月かけて覚えた正式な舞踊の方をこのたった2日間で覚えられたのですから」
「それにリルディア王女様は姉王女様とは違って、ご自身も不自由であったと思うのに我儘一つ仰らず、寧ろ私達の生活環境に合わせて下さいました。そして私達のような市井の者にもお気遣い下さるお優しい御方なのです。ですからその努力に免じて今回だけはリルディア王女様の腕輪を許可して下さる様、私達からもお願い致します」
「神女長様! お願いします! 王女様がここまで仰るからにはきっと本当にすごく大切な腕輪なんですよ! それなのに色々我慢されて頑張ってこられた王女様に、こうして肌身離さず大切にされている腕輪を問答無用に外せと強いるのは、あまりにもお可哀想です!」
「ええ、私達はリルディア王女様が腕輪をされていても全く構いません。それに殆ど目立たない小さな腕輪ではありませんか。それに比べれば、第三王女様のあのお姿の方が大いに問題があると思います。いくら規定違反ではないにしろ、あのような姿は悪目立ちし過ぎる上にしかも花の香りが強すぎて周囲にも悪影響を与えています」
「そうですよ!あれに比べたらリルディア王女様の腕輪なんて全く問題にはなりませんよ! それよりも第三王女様の事を正直、何とかして欲しいです!」
神女長に口々に私の腕輪の擁護をしてくれる市井の3人の少女達の言葉もあってか、神女長はそんな彼女達の話に黙って耳を傾けていたが、その内、静かに目を閉じると小さく肩を落として息をつき、そしてゆっくりと目を開けると再び私の方に視線を向ける。
「………リルディア様のお言葉は『正論』です。そもそも私共の方が先に『規定』を破り、こちらの都合を押し付ける様にリルディア王女様を『聖乙女』に選出してしまったのに、それに対してリルディア様には『規定』を守る様に申し上げるなどと、大変虫が良すぎる上にどの口が言えるのかと実に反省致しております。リルディア王女様、本当に申し訳ありません」
そんな厳格な神女長が深々と頭を下げて私に謝罪をするので、それには思わず面食らってしまい何となしに慌ててしまう。
「べ、別に、貴女が悪いわけじゃないでしょう? 私を選出したのは上層部の神官達だし、貴女は自分の役目を果たしていただけなのだもの。先ほどはつい貴女を責めるような言い方になってしまったけれど、私が本当に物申したいのは大神官長の方だから。貴女にあんな言い方をしてしまった後でこんな事を言うのもなんだけれど、貴女の事は嫌いじゃないわ。だからあまり気にしないで?」
すると神女長がその時初めて私に優しげな表情を向けて微笑んだので、私は勿論、ローズロッテや市井の少女達も目を大きく見開いてすごく驚いている。それもそのはず、神女長はいつもその厳格さが顔や態度に出ていて、殆ど無表情とも言える表情しか見てこなかっただけに、このような表情も出来るのかと、ここにいる皆が同じ事を思ったに違いない。
「………ありがとうございます。リルディア様は皆様が仰る通り、本当にお優しい御方なのですね。国王陛下が溺愛されているのも分かる気が致します」
「え? 私が優しい? どこが??」
思いもよらない意表をつかれた言葉に一人ポカンとしている私を見て皆がクスクスと笑っている。
「ーー分かりました。リルディア様の腕輪に関しては私は何も申しません。おそらく大神官長様も何も仰られないでしょう。私達がリルディア様に対してこちらの言い分を要求するのは常識的にもおかしい話ですから。ですが出来ればその腕輪は花飾りで隠しては頂けませんしょうか? 世間には色々な人間がおりますのでリルディア様が王女である立場を利用したなどと、嫉妬や僻みなどで口走る心無い浅はかな人間がいる事も少なくはありません。私が隠すよう申しました事はリルディア様の心象を少しでも世間から悪く思わせない為なのだと、どうかお察し下さい」
そんな神女長の気遣いの言葉に私は自分の長い髪を指に巻き付ける様にして弄りながらも、視線が合うと何となく伐が悪いので、俯き加減に口を開く。
「ええっと、そのーーありがとう? でもやっぱり買い被りだわ。事実、王女としての自分の権力を使っているのは本当の事だし『規定』という決まりを破ってでも自分の意思を通しているのだから、それに対して何を言われても私は平気よ? しかも嫉妬や僻みで色々言われる事なんてもう日常茶飯事だし、そんな事いちいち気にしていても仕方ないでしょ?
それにこの国の人間は陰で私の事を噂したところで所詮、王女であるこの私には誰も逆らう事が出来ないのよ? 神女長も言っていたわよね? この大神殿が“治外法権”だと言うように、この国では『私』も“治外法権”のようなものよ。だから言いたい奴にはいくらでも言わせておけばいいわ。そんな奴、私が気に入らなければいつでも国外追放処分に出来るんだから」
そんな私の発言を聞いて周りの人間が声を失う中、ローズロッテただ一人だけが私に拍手#喝采を送りながら誉めちぎる。
「ああ、リルディア様。なんて素晴らしいお発言なのでしょう。その独裁的かつ明け透けな素直過ぎる物言いといい、ご自分の意思はどこまでも貫き通す自己至上主義であられるとか、己に偏らないところが惚れ惚れするほどに大変魅力的ですわ~!! リルディア様は国王陛下同様、まさに『無敵』ですわね」
「………無敵かどうかはさておきーーそんなことよりもローズ? 今の言葉は誉めているようで誉めてはいないわよね?」
「あら、そんな事はありませんわ。私、本当にリルディア様の事を大変尊敬しておりますのよ? 当然、最上級の賛美で誉めておりますわ?」
「………なんか、嬉しくない」
そんな私達の様子を唖然としながら見ていた神女長と市井の少女の3人がぽそりと呟く。
「ーーリルディア様は国王陛下の血を受け継がれている御子様__さま__#なのだと今更ながらに実感致しました………」
ーーと、神女長。
「………王女様って、優しいのか怖いのか分からなくなってきたわ?」
「リルディア様が王女様でよかったわよね? ………これがもし王子様だったら………」
「やめてよ。リルディア様は王女様なんだから。………“もし”なんて想像する方が怖いじゃない………」
ーーと、市井の少女達の声はローズロッテとの会話に意識が向いていた私の耳には全く届いてはいなかった。
【28ー終】
私は否定の意味も込めて左手を左右に振っていると、ふいにその手をローズロッテがじっと見つめている。
「ーーリルディア様? 腕輪を付けたままでしてよ? こうしてよく見ると変わった装飾ですのね? そういえばリルディア様はいつもこの腕輪を付けていらっしゃいますけれど、そんなにお気に入りですの?」
ローズロッテに指摘され、私は意図的に花飾りで隠していた自分の腕輪を見つめる。
「ーーああ、花飾りで隠していたのだけれど、やっぱり目立つかしら?」
「いえ、目立つというほどではありませんけれど、ここのところ、腕にはそれしか付けてはおられないので、いつかお伺いしようとは思っておりましたわ。しかも腕輪にしては私達が使っているものとは少し違いますでしょう? ですから興味がありますの」
「………これはお気に入りというよりも私の大切なものなの。一応どんな衣装に合わせても違和感がないように特注で作らせたから華美な装飾は施さず、付けていても自然な感じに見えるようにはしてあったのだけれどーーー」
ローズロッテは私の腕輪を見つめながら小首を傾げている。
「まあ? 贈られた品ではなくリルディア様ご自身がお作りになられた物でしたの? ………確かに、大変質の良い上品な出来ではありますけれど、失礼を承知で申し上げてしまいますが、リルディア様のような御方がその身にお付けになられるには少々質素な装飾の腕輪ではありませんこと? それに以前までは、もっと王女様の身を飾るに相応しい美しく可憐な装飾の物を好まれていらしたでしょう? 率直に申しませば、そちらの方がリルディア様のお美しいご容姿には相応しいと思いますわ。それとも趣向がお変わりになられましたの?」
そんな彼女の疑問に私は小さく笑う。
「そういうわけではないのよ。勿論私だって、綺麗で可愛い装飾品は今でも変わらず大好きだわ。だけどこれはとても大切なものだから絶対に失くさないように常に身に付けておきたいの。それで着ているドレスを選ばない他人の興味も引かないような装飾にしたのよ。だから貴女だって私がこれを身に付けるようになってからも今まで指摘などしてはこなかったでしょ?」
「ええ、お気に入りの装飾品を常に身に付けておられる方はそう珍しくはありませんもの。ですがリルディア様が常に身に付けておかなければならないほど大切な物だなんて。形見………というわけでもありませんわよね? リルディア様のお身内に最近お亡くなりになられたという方は聞いた事もございませんし、しかもリルディア様がお作りになられたのでしょう? 一体どういった物なのかお伺いしてもよろしくて?」
「………これはある意味“願掛け”でもあるから詳しくは言えないわ。だけどこれはある約束の大切な『預りもの』なの。だからその約束が果たされた時にこれを返す事になっているのよ。だからそれまでは絶対に失くせない。ーー失くさないと約束したのよ」
私は自分の左腕の腕輪を見つめながらその拳をギュッと握る。そんな私の様子にローズロッテは戸惑いつつも頷く。
「………そのような事情がおありでしたのね。ですがリルディア様?『祝福の聖乙女』は規定以外の装飾品を身に付ける事は禁止されておりますのよ? これが神女長に見つかってしまえば必ず指摘されてしまいますわ。ですから本日だけでもそれを外されたほうがーーー」
「ーーその通りです。リルディア様」
凛とした真っ直ぐなその声に心臓が大きく鼓動を打ち振り返ると、いつからそこにいたのか神女長と市井の3人の少女達が立っていた。
「リルディア様。大変申し訳ありませんが『祝福の聖乙女』の規定では規定以外の装飾品を身に付ける事は一切禁止とされております。たとえそれが王女様であってもです。ですから本日はその腕輪をお外し下さい」
ーーああ、やっぱり見つかってしまうわよねーーー
やはりそうなるとは思っていても私もこればかりは絶対に譲れない。
「………神女長。貴女の言う事も分かってはいるわ。けれどそれだけは絶対に聞けないわ。これは私にとってとても大事な物なのよ。だから誰が何と言おうと絶対に外さない…………」
それでも神女長はアニエスの時と同じ様に、私にも毅然とした態度で首を小さく横に振る。
「リルディア様。これは『規定』なのです。いくら大切な物であるとしても従って頂かなくては規定をきちんと守っている他の方々への示しがつきません。そして一国の王女としてのお立場にある聡明な貴女様であれば、それはこ理解下さると思っています。ですからその腕輪は私共が責任を持って大切にお預り致しますので、せめて儀式が終えるまではどうかお外しになっては頂けませんか?」
アニエスの時と同じだと思っていたのが、何故かこの神女長は態度は変わらず毅然としたままだが、そんな私に対しては幾分柔らかい話し方をし、しかも気を遣_っているかのような感じさえもする。けれど、ここはいくら私に緩和した“お願い”とも取れる話し方であったにしろ勿論、絶対に退くわけにはいかない。
「ーー駄目よ。言ったでしょ? 誰が何と言おうと外さないって! 神女長、貴女は私を買い被っているわ? 私は聡明でも何でもなく王女であるとはいってもアニエス姉様のような高いプライドなんてさほど持ち合わせてはいないのよ。だから『規定』を破ったところで周りから何を言われようが全く構わないわ。それに貴女はそのように『規定』を守る様言うけれど、私から言わせて貰えば、この私が『聖乙女』になっている事自体がもう既に“規定違反”じゃないの!
私は元より『祝福の聖乙女』なんて全く興味もないし、当然なるつもりも無かったから、ずっと断り続けていたでしょう? それなのに大神殿側が国王であるお父様に手を回してまで私に承諾せざるを得なくしたんじゃない! そんな自分達が既に『規定』を破っているのに私をどうこうとは言わせないわよ?
ーーああ、貴女を責めているわけではないのよ? 貴女は『神女長』という立場上、どうしても言わなければならないのは勿論、理解しているわ。けれど私にも退けない“事情”があるのよ。だからこの腕輪は絶対に外さないし私以外の誰にも預けられない。たとえそれがお父様であったとしても絶対に預ける事など出来ないわ。
それでも駄目だと言うのなら、私は今この場で奉納祭の儀式は勿論の事、それに関する全ての行事の参加を放棄するわ。そもそも儀式なんてものは私個人にとってはどうでも良い事なのよ。それが王族のくせに“責任放棄”だと言われようが、私は自分の意思を曲げてまで嫌々従うつもりはないわ。
ーーご存知だとは思うけれど、お父様ーー国王様は私のお願いなら何でも聞いて下さるの。だから私が本気で嫌だと言えば、周りの有無など関係無しに私の意思を尊重して下さるのよ? だから大神官長には私がそう言っていたと伝えて下さる? そうすれば貴女は職務を全うしているのだもの。また第四王女の我儘が出たかと言って、貴女自体が上から咎められる事はないはずよ?」
私は神女長を真っ直ぐに見据えながらも、殆ど脅しともとれる発言で自分の権力を最大限行使する言葉を使う。いくら規律に厳格な神女長とはいえど、私にそれを言われてしまっては彼女の立場上、もう何も言う事は出来ないだろう。ーーなどと思っていると、私のその発言に対して何故か隣にいるローズロッテの方が非常に慌てた様子で私を宥めにかかる。
「リルディア様!! どうか落ち着いて下さいませ! 腕輪の事は大丈夫ですわ。私が大神官長に直に掛け合いますから! ですから奉納祭の行事を全て放棄するなどとは、お考えにはならないで下さい。この奉納祭では皆様がリルディア様のその麗しいお姿を拝見出来る事を何よりも楽しみにされておりますのよ?
それにどうでも良いだなんて仰らないで? リルディア様ほど歴代の聖乙女達の中でも並ぶ者が誰一人としていないくらいに『祝福の聖乙女』の名に最も相応しい御方はおりませんわ。いえ、『聖乙女』という言葉などではリルディア様に相応しいとは申せませんわね。リルディア様には『祝福の女神』と申し上げた方が皆も納得致しましてよ? しかも巷では既にリルディア様の事を『女神』と称している者もいると聞き及んでおりますわ。
ですからそんなリルディア様をひと目拝見しようと楽しみにされている皆様方の為にもせめて儀式だけでもご参加下さい。それに何よりリルディア様の聖乙女姿を一番楽しみにされている国王陛下やご婚約者のセルリアの王太子様がいらっしゃるではありませんの。
ーーああ、そういえば? リルディア様の叔父上であられるクラウス様もこの奉納祭にご出席されていらっしゃるとか。きっとクラウス様もリルディア様のそのお姿をご覧になれば、それはもう大変喜ばれますわね?」
ローズロッテの口から突然クラウスの名前が飛び出し、それを聞いた瞬間、私の体はビクッと反応し急にソワソワと落ち着かなくなる。
「お、大袈裟過ぎるわ?『聖乙女』とか『女神』とか私はそんな風に呼ばれるほど大層な柄じゃないわよ? しかも性格も良くもないし口だって悪いし。それに確かにお父様やユーリウス王子は喜んで下さるかもしれないけれど、ク、ク、クラウスはそんな………わ、わわ、私を見たくらいで喜んだりなんて、し、しないわ? か、彼もそんな性格じゃな、ないし………」
クラウスの事を口にした途端、心臓がざわざわと波打ち思うように言葉がすんなりとは出てこない。それでなくともクラウスとは“アリシアの一件”で現在、気まずい雰囲気になっているというのに。しかもそれらの話題は私の中では“禁句”ですらある。それなのにひとの気も知らずに簡単に彼の名前を出してくれるな!!
ーーと、ローズロッテには罪はないものの、思わず睨み付けてしまいそうな心境だ。
そんな彼女は呑気にも私の心境を無視するかの如く、まるでお構い無しとばかりに平然と彼の話題を口にする。
「まあ? そんな事はございませんわ? リルディア様はお母上同様、二人目の『傾国の美女』と呼ばれている希少な美貌をお持ちの御方でしてよ? そんな絶世の美女を前にしてどれほど堅物な殿方であろうと心動かぬ男性はおりませんわ。当然、クラウス様とてご成人されている立派な大人の『男』ですもの。普段ともまた雰囲気の違うリルディア様のその美しいお姿をご覧になれば、同姓の私でさえ思わず見惚れてしまうのですもの。クラウス様に至っても間違いなく見惚れてしまわれますわね」
「ぅぐっ…………」
自分の意思とは裏腹に何とも表現のしづらい変な表情が顔に出そうになり、慌てて口許全体を隠すようにして手の平で覆う。
本当にローズロッテの言葉の言い回しには、いかにも相手を持ち上げるような大袈裟過ぎる誉め言葉も勿論だが、時々、恋愛話でもするような色恋を滲ませるような言葉を使ったりもするので、恋愛適齢期のご令嬢達には大変好評ではあるものの、まだ人生の発展途上中にあるお子様の私にはそんな風に色々言われてもどう反応してよいやら分からず、その反動から顔が勝手に変な表情になってしまったりする。皆はそんな私を見て「可愛い」とか言うけれど、言われた方にしてみれば恥ずかし過ぎて屈辱的感覚すら覚えてならない。
「うぅ………ローズ。からかうのはよして? ここは貴族のサロンではないのよ? そんな事を言われても反応に困るじゃない。それに話の主旨が変わっていてよ?」
私が目を細めて指摘するとローズロッテは微笑みながら「申し訳ありません」と謝罪の言葉と共におどけた表情を見せる。それを見て私は長いため息を吐きつつも表向きはローズロッテに呆れている様に見せかけてはいるが、その実のところはーー彼女の言葉を聞いて先ほどから煩いほどに騒いで動揺している心臓の動悸を鎮める為の長いため息だった事は私だけの秘密だーーー
「とにかくですわ! リルディア様に致しましても本日の儀式に臨まれる為にあんなに一生懸命、舞踊の練習を頑張ってこられたのにその努力を全て無かった事になされますのは本望ではございませんでしょう?」
そんなローズロッテの言葉に賛同するように市井の3人の少女達も揃って口を開く。
「その通りです! リルディア王女様! 王女様が寝る間も惜しんであんなに一生懸命頑張っていたこの2日間の努力を無駄にされてはなりません!」
「ええ、本当に!! ーー神女長様!! リルディア王女様はそれはもう本当に一生懸命頑張っておられたのですよ? しかも王女様はご自分用に用意された踊りではなく私達がふた月かけて覚えた正式な舞踊の方をこのたった2日間で覚えられたのですから」
「それにリルディア王女様は姉王女様とは違って、ご自身も不自由であったと思うのに我儘一つ仰らず、寧ろ私達の生活環境に合わせて下さいました。そして私達のような市井の者にもお気遣い下さるお優しい御方なのです。ですからその努力に免じて今回だけはリルディア王女様の腕輪を許可して下さる様、私達からもお願い致します」
「神女長様! お願いします! 王女様がここまで仰るからにはきっと本当にすごく大切な腕輪なんですよ! それなのに色々我慢されて頑張ってこられた王女様に、こうして肌身離さず大切にされている腕輪を問答無用に外せと強いるのは、あまりにもお可哀想です!」
「ええ、私達はリルディア王女様が腕輪をされていても全く構いません。それに殆ど目立たない小さな腕輪ではありませんか。それに比べれば、第三王女様のあのお姿の方が大いに問題があると思います。いくら規定違反ではないにしろ、あのような姿は悪目立ちし過ぎる上にしかも花の香りが強すぎて周囲にも悪影響を与えています」
「そうですよ!あれに比べたらリルディア王女様の腕輪なんて全く問題にはなりませんよ! それよりも第三王女様の事を正直、何とかして欲しいです!」
神女長に口々に私の腕輪の擁護をしてくれる市井の3人の少女達の言葉もあってか、神女長はそんな彼女達の話に黙って耳を傾けていたが、その内、静かに目を閉じると小さく肩を落として息をつき、そしてゆっくりと目を開けると再び私の方に視線を向ける。
「………リルディア様のお言葉は『正論』です。そもそも私共の方が先に『規定』を破り、こちらの都合を押し付ける様にリルディア王女様を『聖乙女』に選出してしまったのに、それに対してリルディア様には『規定』を守る様に申し上げるなどと、大変虫が良すぎる上にどの口が言えるのかと実に反省致しております。リルディア王女様、本当に申し訳ありません」
そんな厳格な神女長が深々と頭を下げて私に謝罪をするので、それには思わず面食らってしまい何となしに慌ててしまう。
「べ、別に、貴女が悪いわけじゃないでしょう? 私を選出したのは上層部の神官達だし、貴女は自分の役目を果たしていただけなのだもの。先ほどはつい貴女を責めるような言い方になってしまったけれど、私が本当に物申したいのは大神官長の方だから。貴女にあんな言い方をしてしまった後でこんな事を言うのもなんだけれど、貴女の事は嫌いじゃないわ。だからあまり気にしないで?」
すると神女長がその時初めて私に優しげな表情を向けて微笑んだので、私は勿論、ローズロッテや市井の少女達も目を大きく見開いてすごく驚いている。それもそのはず、神女長はいつもその厳格さが顔や態度に出ていて、殆ど無表情とも言える表情しか見てこなかっただけに、このような表情も出来るのかと、ここにいる皆が同じ事を思ったに違いない。
「………ありがとうございます。リルディア様は皆様が仰る通り、本当にお優しい御方なのですね。国王陛下が溺愛されているのも分かる気が致します」
「え? 私が優しい? どこが??」
思いもよらない意表をつかれた言葉に一人ポカンとしている私を見て皆がクスクスと笑っている。
「ーー分かりました。リルディア様の腕輪に関しては私は何も申しません。おそらく大神官長様も何も仰られないでしょう。私達がリルディア様に対してこちらの言い分を要求するのは常識的にもおかしい話ですから。ですが出来ればその腕輪は花飾りで隠しては頂けませんしょうか? 世間には色々な人間がおりますのでリルディア様が王女である立場を利用したなどと、嫉妬や僻みなどで口走る心無い浅はかな人間がいる事も少なくはありません。私が隠すよう申しました事はリルディア様の心象を少しでも世間から悪く思わせない為なのだと、どうかお察し下さい」
そんな神女長の気遣いの言葉に私は自分の長い髪を指に巻き付ける様にして弄りながらも、視線が合うと何となく伐が悪いので、俯き加減に口を開く。
「ええっと、そのーーありがとう? でもやっぱり買い被りだわ。事実、王女としての自分の権力を使っているのは本当の事だし『規定』という決まりを破ってでも自分の意思を通しているのだから、それに対して何を言われても私は平気よ? しかも嫉妬や僻みで色々言われる事なんてもう日常茶飯事だし、そんな事いちいち気にしていても仕方ないでしょ?
それにこの国の人間は陰で私の事を噂したところで所詮、王女であるこの私には誰も逆らう事が出来ないのよ? 神女長も言っていたわよね? この大神殿が“治外法権”だと言うように、この国では『私』も“治外法権”のようなものよ。だから言いたい奴にはいくらでも言わせておけばいいわ。そんな奴、私が気に入らなければいつでも国外追放処分に出来るんだから」
そんな私の発言を聞いて周りの人間が声を失う中、ローズロッテただ一人だけが私に拍手#喝采を送りながら誉めちぎる。
「ああ、リルディア様。なんて素晴らしいお発言なのでしょう。その独裁的かつ明け透けな素直過ぎる物言いといい、ご自分の意思はどこまでも貫き通す自己至上主義であられるとか、己に偏らないところが惚れ惚れするほどに大変魅力的ですわ~!! リルディア様は国王陛下同様、まさに『無敵』ですわね」
「………無敵かどうかはさておきーーそんなことよりもローズ? 今の言葉は誉めているようで誉めてはいないわよね?」
「あら、そんな事はありませんわ。私、本当にリルディア様の事を大変尊敬しておりますのよ? 当然、最上級の賛美で誉めておりますわ?」
「………なんか、嬉しくない」
そんな私達の様子を唖然としながら見ていた神女長と市井の少女の3人がぽそりと呟く。
「ーーリルディア様は国王陛下の血を受け継がれている御子様__さま__#なのだと今更ながらに実感致しました………」
ーーと、神女長。
「………王女様って、優しいのか怖いのか分からなくなってきたわ?」
「リルディア様が王女様でよかったわよね? ………これがもし王子様だったら………」
「やめてよ。リルディア様は王女様なんだから。………“もし”なんて想像する方が怖いじゃない………」
ーーと、市井の少女達の声はローズロッテとの会話に意識が向いていた私の耳には全く届いてはいなかった。
【28ー終】
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