ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

文字の大きさ
14 / 162

【2】

しおりを挟む



年月はあっという間に過ぎ、じき成人になる僕はため息を吐くことが多くなった。

成人してしまったら、もう…


「あ。」

バルコニーからテテの姿を見つけた僕は、急いでテテを追いかけた。

テテの顔を見たい。

テテと話したい。

だってもうすぐそれも出来なくなってしまう。


追いかけたテテの行き先は洗濯物のシーツが沢山干された場所で、一瞬テテを見失う。焦る気持ちでテテを探していると風が吹き、揺れたシーツの間にテテを見つけた。

嬉しくて名前を呼ぼうとした僕が見たのは、笑うテテと後ろ姿の女の人。テテが女の人の頬に触れ、ゆっくりと顔を近付けて…


僕は走り出した。それ以上二人を見ていられなかったから。



気付いたら、テテと初めて出会った花園に来ていた。お母さんを思い悲しくなるから、この場所はあれ以来訪れていない。

ベンチに座り青い薔薇を眺める。もう顔もぼんやりとしか思い出せないのに、青い薔薇は僕を悲しくさせた。


ガサッ―



音なんてたてずに行動出来るくせに、わざと気付かせるためにテテは音をたてる。

「月が綺麗だね。」


ああ、もうそんな時間なんだね。

テテが隣に座り、二人で空を見上げれば、黄金の月と橙色の月が仲良く浮かんでいる。テテの瞳と僕の瞳によく似た色のお月様。


思えば今日までいろんなことがあった。出来事の大半は悲しいことや嫌なことだったけど、何時だってそんな時は、必ずテテが現れて、僕の心に安らぎをくれたよね。


僕達は何を話すでもなく、月を眺めて過ごした。






明かりの消えた寝室で、ベッドに横になって目を閉じれば、テテの顔が浮かぶ。

月を見上げる横顔、僕に向ける眼差し。

別れ際、何かを言いかけた唇…


テテは何を言いかけたの?
僕はそれが知りたい。







誰かに見咎められるのが煩わしくてエロマニアを使い、テテの居そうな場所へ急ぐ。この時間、テテが居るのは――ズバリお風呂だ!


城で働く人達が使うお風呂に違いない。

神様、どうかテテがお風呂に入ってますように。いい感じのアレがソレしてますように。切に切に願います。

エロマニアを最強にし、息を殺し、音も無く扉を開けいざお風呂場へ!


「そこか!」


鋭いテテの声と同時に、もうもうと立ち込める湯気の向こうからナイフが飛来する。


「!」


ナイフは僕の腕に突き刺さった。


「…アローナ!?」


ものっっすごいビックリ顔のテテが見えた。

慌てて僕に駆け寄るテテ。

「さ…すが、テテ。」
「アローナ!!」


僕を抱き起こしたテテの顔は悲壮感が漂っている。

ナイフには毒が塗ってあったから。


「…アローナ、どうして…。」


どうしてって言いたいのは僕の方。なんで、なんでテテはちゃっかりバスローブ着てるの?なんでそんなに用意周到なの?なんなの?乳首NGなの?せめて腰巻きタオルで来いや。乳首見せろ。


「許、さ…な…」

「ああ。許さないくていい。だから、だから…」


頬に温かな何かが落ちた気がした。

もう目が見えない。

僕は、僕は…バスローブの貴様を許さ…な…





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

異世界に転生!? だけどお気楽に暮らします。

辰巳 蓮
ファンタジー
「転生して好きに暮らしてください。ただ、不便なところをちょっとだけ、改善していってください」 とゆうことで、多少の便宜を図ってもらった「ナッキート」が転生したのは、剣と魔法の世界でした。 すいません。年表書いてたら分かりにくいところがあったので、ちょっと加えたところがあります。

処理中です...