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【2】
しおりを挟む「"ポイ・プリ"クリアした?」
「まだ。倒しても倒してもアイテムドロップしないから、先に進めなくてちょっと飽きてきた。」
「なんてヤツ?」
差し出された煮物を食べながら考える。
「ゾルゲのヨダレ?」
味がしみてて美味しい。
三原君はほんと料理上手ですごいなと思う。
「あれか。アレはまず最初に───」
他愛ない話をしてたら、あっという間に昼休み終了間際。
授業中はあんなにも時の流れが遅いのに、美味しいお弁当を食べてるとすぐ時間が経っちゃう不思議。
「急がないと授業に──って、出ない気?」
あ、なんか小言の気配。
「ちょっとヤボ用が。」
三原君が口を開く前にダッシュで離脱。
世の中には、勉強よりも大切なことがあるんだよ。三原君。
愛とか勇気とか希望とか。
私は、授業では教えてくれないそういうことを重要視する人でありたい。
私が授業を受けてる間に、何処かで誰かが無法者に絡まれ、助けを求めているかもしれない。
私が授業を受けてる間に、何処かの誰かの大切な人が病に倒れ、名医を探しているかもしれない。
私が授業を受けてる間に、貰ったクラリネットの音が出なくなってる人が居るかもしれない。
私が授業を受けてる間に、子牛が荷馬車で市場に売られて行くかもしれない。
私が授業を受けてる間に、ブタ○リラという悪口にしか思えないアダ名を付けられる人が居るかもしれない。
私はそういう人達に手を差し伸べられる人でありたい。
だから私は、断腸の思いで授業を諦めるのだ。
本当は私だって授業に出たい。ものすごく。でも、私は行かねばならない。
重大な使命を果すために。
そう、皆が授業を受けてる間に、優雅にオヤツタイムを過ごすという重大な使命の為に。
重大な使命を果さんとする私は
弁当食ったばっかだろ。
満腹じゃないのか。
どんだけ食う気だよ。
食後、オヤツなんてすぐ食わなくね?
バナナはオヤツに入りますか?
幸子さん、わしの昼飯まだかの?お爺ちゃんさっき食べたでしょ。
お母さーん夕飯何?
お昼食べたばかりなのに、夕飯のこと言わないでちょうだい。毎日毎日、朝が終わればすぐに昼を考えて、昼が終わればすぐに夕飯を考えなきゃいけなくてうんざりだわ。
幸子さん、わしの昼飯―さっき食べたでしょ!武久、食べたら食器さげなさいって何度言ったら分かるの!
等の気遣う声を受信するが、真面目で責任感の強い私は、使命を優先させてしまうのであった。
人助け何処いった?
そんな人になれたらなぁという、単なる希望ですが何か。
悲しいことに、なりたい自分となれる自分は、大抵違っていたりするものだ。
か弱く無垢で儚い、何の力もない、ごく普通の乙女でしかない私は、誰かの力になれたらなぁと夢想するしか術がない。
なので、自分の非力さを嘆きながら、オヤツにしようと思う次第です。
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