ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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顎クイしたい年頃

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灘流に激しく揺らされながら、黙して語らず。


良かった。ギリ間に合って。もう少しズレたら灘流より帰宅が後になるとこだったよ。そうなったら完璧にマスターした死んだふりサプライズがパァになってた。


サプライズは成功だが、ホクトハダカが中途半端になってしまったのが悔やまれる。



「…姉ちゃん?」


灘流が私を自分に寄り掛からせた。


口元に手を翳した後、手を胸にやろうとした気配を感じ目を開ける。

どさくさ紛れにおっぱい揉む気ですか。


「…」
「…」


揉む気だった模様。


「灘流。」
「は、はい。」


今回のサプライズ師匠とも言えるカエルへの称賛を込め、語って聞かせれば、凪いだ瞳で拝聴してくれた。どうやら師匠の偉大さをきちんと伝えられたようだ。良かった良かった。


あ、そうだ。忘れるとこだった。島のチーズが手に入ったことを伝えれば、手に入ったことを驚かれた。


「行った人が買って来てくれた。」

「へぇ。……もしかしてホクトって奴が?」


ああ、中途半端な文字でそう思ったんだね。常識が服を着て歩いてるような私は、物を頂いた相手の名前くらい普通に口で言うよ。

意味解らないよ、文字にする意味が。そもそもチーズという前振りがないのに、名前書いても伝わらないと思うのだか。


それより、何故倒れてる私の心配を、これっぽっちもしないのかについて、五時間くらい問い詰めたい。

か弱い乙女が倒れているのに、全く取り乱さないとは人として如何なものか。



釈然としないが、いつまでも気にしていても仕方ない。気を取り直し、メインイベントに移ろう。


「灘流に、どうしても伝えたいことが。」
「……何。」


いざ伝えようとしたら、灘流は返事を返した後、物凄くトイレに行きたいのか上の空に。


「灘流?」
「あ、ごめん。ちょっとボーッとしてた。」


トイレのことで頭がいっぱいなんですね解ります。膀胱が今にも限界突破しそうなんだね。何気にプルプルしてるってこと気付いてたよ。気配りの出来る私は、それを指摘しないから安心するといい。


トイレを我慢する美少年。
膀胱のことで頭がいっぱいな美少年。うん、なんか良い(ゲス顔)



「えっと、な、何?」


灘流は目線を逸らした。

心配せずとも、灘流の膀胱については触れないのに。



「ホクトハダカはハダカイワシ目、ハダカイワシ科。そして…」

「…そして?」
「有ろうことかソコハダカ属。」

「なんだってー(棒読み)」


予定ではハダカイワシ目ハダカイワシ科まで綴り、ソコハダカ属のみ声に出して言うつもりだったが、灘流が思いの外早く帰って来たから、中途半端になってしまった。そのせいで、微妙でつまんないリアクションしか取れなくなった灘流には申し訳なく思う。


これではまるで、灘流がつまんない男みたいに思われてしまう。いや別に、つまんない男と思われたところで、灘流にとっては痛くも痒くもないだろうけど。

つまらなかろうが、売れっ子芸人並に面白かろうが、灘流のモテライフに、何の影響もないからね。


流石美少年。面白くなくてもモテるっていう――なんだろう、今すぐ顎クイ(※顎を繰り返し痛めつけるの略)をやりたくなるこの気持ち。



それはさておき、私の不手際から起こった出来事に対し、ここは一つ、小首を傾げ、顔の前で手を合わせながら、ウィンクでめんごと言うべきだろうか。



顔面を鷲掴まれても困るので止めておこう。





歩きながら、イベント開催になった経緯を話すと、灘流が物凄く北斗の話題に食い付いてきた。


「ぇえええーーッちょっ、は?え、北斗?北斗は実在しちゃった!?ちょっ、え、ちょっ、そっち!そっちの北斗が知りたい!魚じゃなくて人の方の詳細を物凄く聞きたかったって察して欲しかった!」




ふむ、これが恋というものなんですね。
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