ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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双子に作ってもらうのは良いとして、今は無い物ねだりしても仕方無い。

今回はコンビニの―――神はどうやら私を見捨てなかった。やはり普段の行いが良いと、良いことがあるね。

お目当てのメロンパンが食べられなかった私に、せめてもの情けと、神が機会を与えたもうたのですね。


風に導かれるように大通りを行き、現れた公園。


迷いなく園内へ進む。


蜜に魅せられた蝶のように、ただ真っ直ぐにそれのみを欲し舞い降りる。


そう、それは紛れもない、心から沸き上がる願いの象徴。


甘い匂いを吸い込む。




「ちょっ、あああの、なんですかいきなり!?」


偶然見つけたアゴ乗せ台が揺れ、アゴが乗せづらくなりかけたので、押さえつつパンの匂いを嗅ぐ。

「ちょっ、クッ…びくともしないってどういうことー!?」

「お気になさらず。」

「気にしますからね!?急に見ず知らずの相手が肩にアゴ乗せてきたら!!ちょっ、肩!肩痛い!押さえつける力強ッ」


園内に居る親子連れや老人、早めの昼休憩の会社員等が、こちらへ注目する。


「暴れると匂い嗅ぎにくいんで止めて下さい。」

「嗅ぎ!?あああた、あたしの匂い嗅がれてるー!!」

「自意識過剰だね、お姉さん。食べ物以外で匂いを嗅ぐのは、美少年と決めてます。それが私のぽりすー。」

「ぽりすーて…。なんかサラッと変態宣言してきた!?いやーっあたし変態と密着してるーっ」


会話の内容は、おそらく途切れ途切れくらいにしか聞こえていないと思うが、ジタバタするお姉さんを、若干不審げな顔で見てる人々。


まぁ、そんな顔になるよね。そっと寄り添うだけのいたいけな少女と、何かされてる訳じゃないのに、滑稽な動きの大人を見たら。


「そんなことより、今はパンの匂いを嗅ぐことが大事。」

「結構重要なことなのに流された!?」

「嗅ぎにくい。」


ギリギリギリ―


「痛い痛い!ちょっ肩!何この理不尽!分かった、分かったから!パンあげるから、それを嗅いで!」


誰かの『若手芸人?』という声が聞こえた。



手とアゴを離すと、お姉さんが振り返った。


「…え、小学生?」


そんな若くない。


ガサゴソ―


「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」


お姉さんが、私の一番好きな生クリーム入りメロンパンをくれた。


見ず知らずの私にメロンパンをくれるとは、なんて優しい人だ。

ドラマなら、通行人Aでしかない名も無き通りすがりの私を、わざわざ呼び止めてメロンパンをくれるなんて、優し過ぎる。神か。


「呼び止めてないからね!?」


どうやら声に出していたようだ。


優しいお姉さんに、メロンパンのお返しをあげよう。

ポケットから出した物を渡す。



私が渡した黒い髪に赤い目の小さい人形を、お姉さんがまじまじと見る。

「すごく可愛い人形ね。ありがとう。」


そう言ってバックのポケットから、人形がひょっこり顔を出すように入れた。


「困ったら人形を掲げ、『助けてエロい人』と言えば良いよ。あ、一回しか使えないからね。」


何言ってんだコイツって顔された。


今の発言のどこにそんな顔をされる要素があったと言うのか。


「え~と、…あ、ありがとう?」


まぁ、使おうが使うまいがどちらでも良いけど。

お姉さんは多分使う。



あ、もうこんな時間。


「じゃあね、お姉さん。」
「え、あ、…さよなら。」



お弁当食べに戻らないと。

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