ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

文字の大きさ
89 / 162

淋しい思いをさせてごめんね≪古里羅≫

しおりを挟む
同じクラスに、美少女にしか見えない男子がいて、ヤンチャな男子に標的にされていた。

苛められてるのを放っておけなくて、気づけばいつも側で彼を守るようになっていた。別々のところへ進学するまでは。



中学に上がり、私はすごく心配になった。彼がまた苛められてるんじゃないか、毎日泣いてるんじゃないかって。

だけど時が経つにつれ、心配は不安に変わっていった。もし私みたいな存在が現れたとしたら、彼はその相手に心を許してしまうんじゃないかと。

彼の特別、唯一心を許す存在が、私が離れているうちに出来てしまったらと考えるだけで叫びたい衝動に駆られた。彼の特別は私だけでいい。

私以外を好きになる前に、何としてでも彼の側にいかなくちゃ!ーーと思ったけど、子どもの私にどうこう出来るはずもなく、同じ中学に通うのはどう頑張っても無理だった。


毎日ジリジリした気持ちで過ごし、卒業後に彼が入学する高校を調べ、私もそこへ入学した。


同じ制服を着ている私が目の前に現れたら、彼はどんな顔をするだろう?ビックリした後、すごく嬉しそうに笑うに違いない!


私に逢えた嬉しさで瞳を潤ませるかも!

彼の態度をいろいろ想像しながら、廊下の向こうから現れた彼を見る。


さぁ、いよいよ彼との再会の時よ!ーー私のこと忘れてたらどうしよう…、そんなことが過り、柄にもなくちょっと緊張してる。


近づくにつれ分かったけど、すごく背が伸びていた。ーー昔は私より小さかったくせに生意気!


変わったのは身長だけじゃない。今の彼は長めの前髪で顔立ちがよく分からないようにしていた。

そんな姿を見て私は察した。

彼は私以外に心を許す気はないんだと。


昔は皆子どもだったから、彼の容姿は苛めのネタになったけど、今は年を重ねモテる要素に変わったはず。なのに武器になる容姿を晒そうとしないのは、誰も側に置きたくないという彼の無言の決意としか思えない。


…私を待っててくれたんだ。


私が側に居られなかった年月を、彼が独り寂しく過ごしていたのかと思ったら切なくなった。


寂しくさせてごめんね。

零れそうになる涙を堪え彼を見れば、風でフワリと舞う前髪。


「…ぁ」

どう見ても美少女にしか見えなかった彼は年を重ね、中性的で綺麗な男へと進化していた。

一瞬私を見たけど、何も言わず彼は角を曲がり別方向へ。ーーどうしよう、私のこと怒ってる…。同じ中学に通わなかったから、彼の中では私に見捨てられたことになってるのかも!

違うの!見捨ててなんかいないの!何度そう言おうとしただろう。ーー入学して大分経つのに、結局まだ許してもらえないまま、毎日が無駄に過ぎていく。





「ーー。」

今だに彼の機嫌は直らず、それだけ私に怒ってるってことは理解してる。でも、いい加減機嫌直したっていいと思う!


「ーーん、古里羅さん。」


ああ、何か切っ掛けがほしい…

「古里羅さん。」
「……何?」

「やっと気が付いてくれた。」


無視されてるって気づきなさいよ!ーーイライラしながら返事をすれば、苛立ちなどこれっぽっちも気付いてないで話を続けてくる。


「次の授業で使う道具を、一緒に取りに行ってほしいんだ。」

「…は?何で私が取りに「よし、時間ないから急ごう。」

「人の話聞きなさいよ!」


黒渕メガネの冴えない男のくせに、何かっていうと絡んできてウザい。ーーそうやって私の気を引こうっていうアンタの魂胆なんてお見通しなんだから!でも、おあいにく様。アンタなんかお呼びじゃないの。






マンションから出てきた彼が門を通り出てきた。

今日の彼は白いシャツにデニムのスキニー、ネイビーのカーディガンにスニーカーだ。


暫く歩き駅前広場に到着後、ベンチに腰かけた。ーーどうやら彼は私を許す気になってくれたようだ。ああして私が話しかけやすいように気をつかってくれてるのね!

彼も悩んでたのね。一度頑なな態度を取ったことで素直になるタイミングが分からなくなったんだと思う。


ちゃんと話しかけてあげるから、今日こそは素直になりなさいよ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?

サクラ近衛将監
ファンタジー
 神様の眷属の過失が原因の事故に遭って死んだ桜庭雄一が異世界に転生したら、とある国の忌避すべき王子として幽閉されていた。  転生にはチートがつきもののはずだが、事故で死んだ者が300名を超えるために、個別にチートは与えられず、転生先の者の能力を生かせと神に告げられている。  「神の加護」ではないけれど、「恩寵」が与えられているので、当該異世界では努力を為した分、通常に比べると成果があるらしい。  これはとある国の幽閉王子に転生した男の冒険譚である。  原則として、毎週月曜日20時に投稿予定です。

処理中です...