命を燃やせ!! 撃鉄を起こせ!! 5.45ミリの女神に祈りを!! 転生したヨウヘーさん

平澤唯

文字の大きさ
22 / 27
第一章 家族

第二十二話 強行突破其の参

しおりを挟む
「ここまでするこたぁねぇだろうよ。俺の仲間が穴あきチーズみたくなってるじゃねぇか」

煙の向こうから野太い、いかにも賊徒を統括する者の声がした。

「ここまでされたんじゃぁ生きて返すわけには行かねぇ」

「オマエタチが始めタ。ウリーヤを裸ケサセタ。彼女の尊厳ヲ踏みニジッタ。オマエタチコソ冥府ニ一人残ラズ送ル! 約束ダッ!」

「まぁお前とこうやってお話できるのも最後なのが悲しいねぇ。できれば手下に欲しいくらいだが、まぁこんなんされちゃあ手下にすればメンツが持たんわな。そんなわけだ、死ね」

ゾクッ…
静寂が寒気となり洋平を襲った。

咄嗟にいた所から飛びのくと、轟音が襲った。

遮蔽の木材が粉みじんに弾け飛び、いた場所に大きな風穴が開いた。

そこから小さな火砲ともそん色がつかないような巨大なフリントロック式の小銃こちらを覗いていた。

すかさず煙に向けて残りの弾で弾幕を張り、空き部屋に飛び込んだ。

…でかい。パントガン|《*7》かよ…煙も収まらないし、射線が取れない。このままだと弾薬を無駄にしてしまう…せめてあの二人の脱出の時間を稼がねば…

賊徒の装薬事情から恐らく前装式の大型フリントロックとアタリをつける洋平。

再度マガジンを装填する。

…でかい銃には長い装填時間がつきもの!…

ゾクッ…
またあの寒気が洋平を襲う。

再び場所を離れた。

轟音とともにさっきいた大よその胸の位置に穴が開いていた。

…早い! 徹甲弾仕様…形勢不利!? 否! 現在装填中!…

戸枠を駆け抜け、廊下の煙へ飛び込んだ。最初の一発が巨大な煙幕を張っていた。

…マガジン三〇発。全弾叩き込んでやる!…

煙幕の先を抜けると、そこには案の定、慌てて大小銃《*8》の銃口に紙薬莢を装填していた賊二人とこちらに向けられたピストルの数々。

先に引いたのは洋平であった。

クリンコフからはけたたましい轟音と火柱が投げられた。

大よそのセンターマス|《*9》の位置に向けて放たれた5.56ミリ弾《*10 》は賊徒の胸から腹に叩き込まれた。

倒れる体が射線を逸らし、フリントロックの着火からの発砲の遅延《*11》で弾はあらぬ方向へ飛んでいく。

洋平は遮蔽に向かって走りながらマガジンを打ち切った。

M9を引き抜き大小銃の方向へ数発けん制射撃。

…腕に微かな被弾確認。状態は、継戦可能…

クリンコフを再装填し、チャージレバーをガシャリ。

マガジン数、残り二本。

一呼吸つき、低い体勢で遮蔽から飛び出した。

しかし、もくもくとした煙の後ろには誰も立っていなかった。

…全員死んだか…いや、統領の姿が見えない。ここを離れて逃げたか…もしくは…それはまずい!…

洋平は廊下から駆け出していた。

玄関の扉を開けると、そこにはウリャーナとダヴィを追うように走る賊徒数名と統領がいた。

…まだ動けるだけの人数が残っていたのか。それに足が異常に速い…このままでは奴ら、追いついてしまう!…

クリンコフで狙いを狙いを定め、セミオートにセーフティーを落とし、引き金を引いた。後方の賊一人に命中し、奴は倒れた。

引き続き撃ち、もう一人倒れるが、次弾から弾道が奇妙に逸れて飛ぶようになった。

…被弾しない…弾道が逸れている。まて。奴らの髪の毛がはためいている。風か!…

だが洋平には風が感じられない。

洋平は照準を落とし、撃つのをやめた。

そして、走り去る賊徒を全速力で追った。


「はぁ、はぁ。形勢逆転だ。しかし、あいつの銃、連続で撃てるのは痛手だった。しかも奴、接近戦じゃぁ鬼神みてぇな戦い方しやがる…何者なんだ… 」

「頭、もうすぐ二人が見えてきますぜ。これで逆転っすね」

「ああ。あの二人を人質にあの連射銃を奴から奪えりゃ怖いものなしだ。お前こそ、よく風属性異能なんざ扱えたもんだ。やはりお前を仲間に引き入れてて正解だったぜ」

「へへ、お頭に褒められゃ、頭があがっ…」

ぐにゅっと肉を潰したような音がした。

ターン…
間延びした銃声とともに、今統領におべっか使っていた男が倒れた。

「新手か…しかも狙撃手…全員森へ散れ!」


「馬鹿者が…異能使いなら他にも道があったじゃろうに…」

ジョートルは銃身をおろした。





—————————————————————————注釈—————————————————————————
 *7 パントガンとは、19世紀から20世紀まで使われていた大型の散弾である。おもに商用大量狩猟のために使われていた。その大きさは一人で肩撃ちをするには大きく、持ち運ぶには大きすぎたが、砲のように撃つのに二人以上要することはないため、銃座(大概は小舟など)などに固定した後に使われた。

 *8 大小銃という言葉は本書での造語であり、大きな小銃の事を指す。小銃とは火砲ではない小火器(厳密にはライフルを指す)を指すため、パントガンのような火砲ではない巨大な小火器は大小銃と呼称せねばならない。

 *9 センターマスとは、体を四肢、胴、頭で分けたときの胴体のこと、厳密には胴体上部の胸の重要器官(ヴァイタル)の事を指す射撃用語である。胴体のヴァイタル、主に心臓や肺(脊髄や大動脈や肝臓など)を狙うことで目標の即時沈静化を狙う。なお、大腸や小腸や胃などはヴァイタルではないため、即時鎮静たくさんいるため、即時治療がされなければ敗血症を引き起こす可能性がある。

 *10 5.45ミリ弾とは、注釈1で言及したが、7.62ミリ弾のネックダウンされた弾である。ここでは、その性能について書化は望めないものの、消化器官、特に小腸や大腸は微生物がく。5.54ミリ弾は後方重心設計がされているため、体内に侵入して10センチで弾道が不安定化し、タンブリングが起き、体内組織の損傷を引き起こす。

 *11 フリントロックの着火からの発砲の遅延。これはフリントロック式の銃には一般的ではない。原因として考えられるのは着火薬が湿っていて、着火不良を起こしていたか、保存状態が悪く同じく着火不良を起こしていたのではと考えられる。




————————————————————————————————————————————————————

✰感想やハートで作者がニマニマします。
気に入っていただけたらブックマークや星をポチっとお願いします!
いただいた感想にはニマニマしながら返信しますので、よろしくなのです!
(*´ω`*)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

手のひらサイズの…

𝐄𝐢𝐜𝐡𝐢
大衆娯楽
【注意】特殊な小説を書いています。下品注意なので、タグをご確認のうえ、閲覧をよろしくお願いいたします。・・・ 手のひらサイズの、下品でオカルティックなお話です。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...