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第一章 家族
第二十一話 強行突破其の弐
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洋平は何度もダヴィを正気に戻そうと試みた。
ウリャーナは何度も父親の名を呼び続けた。
二人は彼の行く逆方向へその手を引こうとした。
だが、ダヴィの足を誰も止められなかった。
まるでダヴィを死地に誘う理不尽が働くように、バカ力の歩みはどうしようもない。
やがて一階につながる階段を降り、とある部屋の前に着いた。
不思議と道中、あの二回を除いて賊徒に鉢合うことは無かった。
まるで侵入者の存在に気づいていないように静けさであった。
ダヴィが扉を開けると、そこには見覚えのある服が。
乱雑に捨てら尊厳を踏みにじられた彼女だったものが倒れていた。
すべての負の感情を悲しみに集約したような声をあげ駆け寄り、妻だったそれを抱き寄せた。
かつての色白さはもうそこにはない。
ただそこには乱雑に捨てられ、ウジに食われて朽ち果てる屍しかなかった。
「ここにいたんだね…」
部屋にいた少数の賊徒は、その楽しみが自分たちの手から奪われるのに憤怒していた。
しかも、それが、よりにもよって、目の前で、丁寧に、丁寧にひん剥いて、目の前で彼女を辱めた男によって、それが奪われた事に。
各々ダヴィに襲い掛かる。
彼を蹴り、打ち、罵った。
しかし、彼ら以上に憤怒に燃えた者たちがいた。
{貴様ら!! よくも…よくもウリーヤさんを!!!}
異国語の怒声がその部屋に鳴り響いた。
その怒りは少女の怒りを代弁していた。
ダヴィに、毛がすべて逆立つウリーヤが映った。
まるで怒れる獅子のように、体躯にそぐわない憤怒を宿し、短剣を抜いていた。
その小さな憤怒が賊の一人にドスドスと歩きより襲いかかろうとしたその時であった。
ダン、ダン、ダン…
あの轟音が鳴り響いた。
慌てて銃を抜こうとした賊徒は抜く間もなく、無慈悲に処理された。
怒れる少女の周りには仇敵の屍が倒れていた。
それを憤怒の灼熱で消し去らんと睨んでいた。
「ヨウヘー、私は行かなくては…。頼む私も彼女のもとへっ…」
洋平はダヴィを打った。
{この子を一人置いていく気か! 立て、ダヴィ!}
日本語。伝わるこののない言葉が、ダヴィのうつらうつらした精神を正気に戻した。
「ウリャーナ!? どうしてお前までここへ!? まさか私を…」
「話は後…まずはここを出ることが優先だよ、お父さん…」
ウリャーナの声は冷え切っていた。
「す、すまない…守れなかった。ウリーヤは…」
「謝罪は要らない。まずはここを出る。だから、早く立って! ヨウへー、これからどうする?」
「今カラ二階に戻っテ、来た道ヲ逃ゲル。アイツラオレたちに気づイテいなかッ…」
「何だこりゃ。おいみんな! こっちに来い! 侵入者っ…」
ダン…
「もう手遅れみたいね。どうする。まだ二階から脱出する?」
皮肉交じりに吐き捨てる。
「逃げテモアイツラ追ってクル。アナタタチを逃ガス。オレ残ッテ迎え撃ツ」
「…そう…。好きにしたらいいんじゃない…。でも…。私の自由にさせてよね…」
固く柄を握りしめたウリャーナの呟きは洋平の耳には届いていなかった。
二人は二階へ向かった。
その後ろを援護するように洋平は残った。
たんすやらテーブルやらを簡易バリケードとして防衛線を張る。
やがて、声の方へぞろぞろと賊たちが走ってきた。
先頭を湾曲刀を持った者たちが、後方をペッパーボックスを握りしめた者たちである。
フルオートに切り替え、遮蔽から洋平は人だかりに向けて残り弾数を撃ち尽くした。
あっという間に前の賊徒は穴あきチーズになったが、それを盾に後方の賊徒は銃を放つ。
適当に放たれた弾は頭上、壁、テーブルに埋め込まれる。
しばらく遮蔽でやり過ごしながら次マガジンを装填した後、モクモク煙っている場所めがけ全弾撃ち込んだした。
「ぐはあ…」
複数倒れる音がし、すかさず空のマガジンを抜き、装填の後、再度弾幕を張った。
声は聞こえなかった。
ただ耳鳴りが響くだけだった。
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(*´ω`*)
ウリャーナは何度も父親の名を呼び続けた。
二人は彼の行く逆方向へその手を引こうとした。
だが、ダヴィの足を誰も止められなかった。
まるでダヴィを死地に誘う理不尽が働くように、バカ力の歩みはどうしようもない。
やがて一階につながる階段を降り、とある部屋の前に着いた。
不思議と道中、あの二回を除いて賊徒に鉢合うことは無かった。
まるで侵入者の存在に気づいていないように静けさであった。
ダヴィが扉を開けると、そこには見覚えのある服が。
乱雑に捨てら尊厳を踏みにじられた彼女だったものが倒れていた。
すべての負の感情を悲しみに集約したような声をあげ駆け寄り、妻だったそれを抱き寄せた。
かつての色白さはもうそこにはない。
ただそこには乱雑に捨てられ、ウジに食われて朽ち果てる屍しかなかった。
「ここにいたんだね…」
部屋にいた少数の賊徒は、その楽しみが自分たちの手から奪われるのに憤怒していた。
しかも、それが、よりにもよって、目の前で、丁寧に、丁寧にひん剥いて、目の前で彼女を辱めた男によって、それが奪われた事に。
各々ダヴィに襲い掛かる。
彼を蹴り、打ち、罵った。
しかし、彼ら以上に憤怒に燃えた者たちがいた。
{貴様ら!! よくも…よくもウリーヤさんを!!!}
異国語の怒声がその部屋に鳴り響いた。
その怒りは少女の怒りを代弁していた。
ダヴィに、毛がすべて逆立つウリーヤが映った。
まるで怒れる獅子のように、体躯にそぐわない憤怒を宿し、短剣を抜いていた。
その小さな憤怒が賊の一人にドスドスと歩きより襲いかかろうとしたその時であった。
ダン、ダン、ダン…
あの轟音が鳴り響いた。
慌てて銃を抜こうとした賊徒は抜く間もなく、無慈悲に処理された。
怒れる少女の周りには仇敵の屍が倒れていた。
それを憤怒の灼熱で消し去らんと睨んでいた。
「ヨウヘー、私は行かなくては…。頼む私も彼女のもとへっ…」
洋平はダヴィを打った。
{この子を一人置いていく気か! 立て、ダヴィ!}
日本語。伝わるこののない言葉が、ダヴィのうつらうつらした精神を正気に戻した。
「ウリャーナ!? どうしてお前までここへ!? まさか私を…」
「話は後…まずはここを出ることが優先だよ、お父さん…」
ウリャーナの声は冷え切っていた。
「す、すまない…守れなかった。ウリーヤは…」
「謝罪は要らない。まずはここを出る。だから、早く立って! ヨウへー、これからどうする?」
「今カラ二階に戻っテ、来た道ヲ逃ゲル。アイツラオレたちに気づイテいなかッ…」
「何だこりゃ。おいみんな! こっちに来い! 侵入者っ…」
ダン…
「もう手遅れみたいね。どうする。まだ二階から脱出する?」
皮肉交じりに吐き捨てる。
「逃げテモアイツラ追ってクル。アナタタチを逃ガス。オレ残ッテ迎え撃ツ」
「…そう…。好きにしたらいいんじゃない…。でも…。私の自由にさせてよね…」
固く柄を握りしめたウリャーナの呟きは洋平の耳には届いていなかった。
二人は二階へ向かった。
その後ろを援護するように洋平は残った。
たんすやらテーブルやらを簡易バリケードとして防衛線を張る。
やがて、声の方へぞろぞろと賊たちが走ってきた。
先頭を湾曲刀を持った者たちが、後方をペッパーボックスを握りしめた者たちである。
フルオートに切り替え、遮蔽から洋平は人だかりに向けて残り弾数を撃ち尽くした。
あっという間に前の賊徒は穴あきチーズになったが、それを盾に後方の賊徒は銃を放つ。
適当に放たれた弾は頭上、壁、テーブルに埋め込まれる。
しばらく遮蔽でやり過ごしながら次マガジンを装填した後、モクモク煙っている場所めがけ全弾撃ち込んだした。
「ぐはあ…」
複数倒れる音がし、すかさず空のマガジンを抜き、装填の後、再度弾幕を張った。
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