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終結トータスリザード
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二人と別れたレトロは、そのまま宿へマクスウェルを取りに行き、何があったのかを説明すれば久々に魔物を切れるとマクスウェルは張り切った。
基本的に宿で待機している魔剣は暇を持て余していたのだ。
やっぱり剣は使われてこそだ。
マクスウェルに足があれば軽快なスキップを披露していただろう。
まぁ、魔剣なので足はないのだけれど。
『……あれかぁ』
マクスウェルが『でけー』と素直な感想を述べた。
亀のような甲羅を背負う、大体家ほどの大きさの竜だ。
本来であれば主に石や岩を捕食し、鉱山付近に生息する大人しい魔獣だが、目の前にいるトータスリザードの首には黒く太い首輪の様なものが付けられている。
明らかな人工物だ、恐らくアレで操っているのだろう。
「さて」
一息ついて、レトロはトータスリザードへ向かって駆ける。
そしてその甲羅を蹴り飛ばした。
ググッ──僅かにその巨体が揺れはしたが、大した威力でもなかったのでそれきり。
しかしトータスリザードをその気にさせるには十分だった。
ギョロ。
見開かれた大きな黒い目玉が鏡代わりになってレトロの姿が映り込む。
その長い首がゆっくりと持ち上がるのを見上げながら『さっき蹴る必要あった?』とマクスウェルが尋ねる。
「何かいきなり斬りかかるのは不意打ちみたいで悪いじゃん」
『えー別に良くない?』
「良くないー」
レトロの頭上に影が差す。
振り下ろされた腕はそのままの勢いで叩きつけられ、地面に大きな足跡を残した。
「よっと……あれ?」
「グオオオ!!」
一撃を躱したレトロが剣をで斬りつけるが、甲羅には僅かな傷しかついていない。
情報通り高い物理防御と魔法防御を持っているようだ。
魔剣で擦り傷ならば一介の冒険者が剣で斬りかかろうが弓で射ろうが、魔法を放とうが傷を与えるのは難しいだろう。
レトロは攻撃を避けながら首輪を見る。
(……そんな魔法に耐性のあるこいつでも、あの首輪で操られるのか)
よほど強力な魔道具なのだろう。
そしてそんな魔道具をただの盗賊が持っていると言うのもおかしい。
思った以上に面倒な事に首突っ込んだかもしれない。
改めてトータスリザードの正面へと降り立ったレトロは魔剣を握り直し、その剣先をトータスリザードへ向ける。
「さぁ、パン屋ポッポ堂アルバイトの力を見るがいい!」
「ゴァオオオオ!!!」
一際大きな声と共に、再び振り下ろされる手。
レトロはそれを避け甲羅の上に一度着地してから、再びそこを足場に跳び上がった。
魔剣のグリップを両手で握り込み振りかぶる。
「──落ちろ!!」
勢いよく振り下ろされる黒い稲妻。
天と地を繋ぐ黒い線が現れた……かと思った次の瞬間には森が揺れ落雷の音が響く。
ぐしゃり、と降りてきたレトロの足が焼き尽くされ炭となった竜の亡骸を踏み潰した。
先程までトータスリザードのいた場所には、焦げ臭さと僅かに形を保った炭の山が出来上がっている。
地面は抉れて周辺の木は跡形も無く消え去り、遠くから木の倒れる音が聞こえてきた。
「……マクスウェル、やりすぎ」
『えぇっ! 俺のせいなの!?』
マクスウェルはさり気なく責任を押し付けようとしてきた持ち主に抗議の声を上げた。
基本的に宿で待機している魔剣は暇を持て余していたのだ。
やっぱり剣は使われてこそだ。
マクスウェルに足があれば軽快なスキップを披露していただろう。
まぁ、魔剣なので足はないのだけれど。
『……あれかぁ』
マクスウェルが『でけー』と素直な感想を述べた。
亀のような甲羅を背負う、大体家ほどの大きさの竜だ。
本来であれば主に石や岩を捕食し、鉱山付近に生息する大人しい魔獣だが、目の前にいるトータスリザードの首には黒く太い首輪の様なものが付けられている。
明らかな人工物だ、恐らくアレで操っているのだろう。
「さて」
一息ついて、レトロはトータスリザードへ向かって駆ける。
そしてその甲羅を蹴り飛ばした。
ググッ──僅かにその巨体が揺れはしたが、大した威力でもなかったのでそれきり。
しかしトータスリザードをその気にさせるには十分だった。
ギョロ。
見開かれた大きな黒い目玉が鏡代わりになってレトロの姿が映り込む。
その長い首がゆっくりと持ち上がるのを見上げながら『さっき蹴る必要あった?』とマクスウェルが尋ねる。
「何かいきなり斬りかかるのは不意打ちみたいで悪いじゃん」
『えー別に良くない?』
「良くないー」
レトロの頭上に影が差す。
振り下ろされた腕はそのままの勢いで叩きつけられ、地面に大きな足跡を残した。
「よっと……あれ?」
「グオオオ!!」
一撃を躱したレトロが剣をで斬りつけるが、甲羅には僅かな傷しかついていない。
情報通り高い物理防御と魔法防御を持っているようだ。
魔剣で擦り傷ならば一介の冒険者が剣で斬りかかろうが弓で射ろうが、魔法を放とうが傷を与えるのは難しいだろう。
レトロは攻撃を避けながら首輪を見る。
(……そんな魔法に耐性のあるこいつでも、あの首輪で操られるのか)
よほど強力な魔道具なのだろう。
そしてそんな魔道具をただの盗賊が持っていると言うのもおかしい。
思った以上に面倒な事に首突っ込んだかもしれない。
改めてトータスリザードの正面へと降り立ったレトロは魔剣を握り直し、その剣先をトータスリザードへ向ける。
「さぁ、パン屋ポッポ堂アルバイトの力を見るがいい!」
「ゴァオオオオ!!!」
一際大きな声と共に、再び振り下ろされる手。
レトロはそれを避け甲羅の上に一度着地してから、再びそこを足場に跳び上がった。
魔剣のグリップを両手で握り込み振りかぶる。
「──落ちろ!!」
勢いよく振り下ろされる黒い稲妻。
天と地を繋ぐ黒い線が現れた……かと思った次の瞬間には森が揺れ落雷の音が響く。
ぐしゃり、と降りてきたレトロの足が焼き尽くされ炭となった竜の亡骸を踏み潰した。
先程までトータスリザードのいた場所には、焦げ臭さと僅かに形を保った炭の山が出来上がっている。
地面は抉れて周辺の木は跡形も無く消え去り、遠くから木の倒れる音が聞こえてきた。
「……マクスウェル、やりすぎ」
『えぇっ! 俺のせいなの!?』
マクスウェルはさり気なく責任を押し付けようとしてきた持ち主に抗議の声を上げた。
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