妹さんが婚約者の私より大切なのですね

はまみ

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「コホッ、コホッ」
「フローラ!」

たおやかな茶の巻き毛の令嬢が激しく咳をしながら倒れかかるのを、同じ茶の巻き毛の令息が走り寄り彼女を支えた。

令息はオリオン様、見目麗しい私の婚約者。フローラと呼ばれたこれまた麗しい令嬢は、オリオン様の妹君なのだ。

澄みきった空気の中でお二人の寄り添う姿は、まるで絵画のよう。

そして離れた場所に一人立っている私は、婚約者ではなく、ただの傍観者のよう。

そう、「家族」という名の絵画を、遠くから見ているただの鑑賞者。

今日は珍しくオリオン様と久々にお茶会でお会いできたのだった。

随分お会いしておらず、前回いつお会いしたのか、もう私ははっきりとは覚えていない。

思い出す限りでは、二シーズンほど前にお会いできたのが最後だったように思うし、その時はすれ違いざまに挨拶を交わしただけだった。

あれが婚約者同士で会ったことになるのかどうかは、怪しいものだ。

そんなにお会いできていないのは、一つにはオリオン様のお住まいのお屋敷と、私の住まう館との距離が離れていることがある。

私の通う学園とオリオン様の通われる学園も別の場所なのだ。

オリオン様はドモス子爵の嫡男だ。私はミハイル子爵家の娘で家柄は同格だが跡取りは弟。
私達二人は同い年で学園は二年生なの。

二人の婚約は、学園にはいる前に親同士が決めたのです。政略の意味合いはありません。

恋愛結婚が主流なこの頃なので、おかしな相手に引っかからぬように手頃な相手をあてがった感があります。

そうと話をされたことはないですけど。

妹君フローラ様は、幼い頃からオリオン様と大変仲良しだったらしく、いつ見てもべったり彼の腕にしがみついているの。

まだ彼女はギリギリ幼い、と言えるお年なのでしょう。見方によりますけど。彼女、来年は学園に行かれるようですが。

それにしても淑女教育はされているでしょうに。

でも、男性への距離を家庭教師の方から教えていただいても、

異性のご家族については、いわゆる「男性相手」とは違う扱いになるのでしょうね…

先方のご両親を含めて、どなたも注意される方がおられないんですもの。

今回の茶会は、私と会っていない期間があまりにも空きすぎて、交流をどうしても持たないといけないだろうという双方の両親の配慮により設けられたの。

オリオン様のお屋敷に私がお伺いする形である。

でもこちらにはフローラ様がおられる。

私はつくづくと、ため息をついてしまった。

婚約者同士の交流をはかる目的であるのならば、オリオン様だけうちにおいでいただけたほうが良かった。

久しぶりなので、二人の逢瀬に集中できる環境が欲しかったの。

フローラ様がおられては、交流もなにもなくなるのです。

だって今も、もう…
二人で庭を散歩しますという話が、二人きりでは、なくなりましたよね。

いつの間にか、三人での茶会となりました。

そして、お二人でキャッキャと話をされ、ごく自然に私は蚊帳の外となりましたもの。
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