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水の大陸編
弱者の抵抗
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双竜は咆哮をあげ、アウスを威嚇するような声を出しながら、彼女を睨みつける。
「アウス!!、絶対に許さない!」
私が炎のブレスを奴に放つが、奴は獄炎の中を涼しそうにこちらに向かってくる。
それを見た青いドラゴンは水のブレスを放つ。
炎の中に水のブレスを入れ、極地的な環境を作り出すが、それでも奴には通用しないようだ。
熱い物と冷たい物を同時に受ければ、普通は辛そうな顔をするだろうが、奴は多少なりともその不気味な表情を崩さない。
「ふふふ...、アウラ...生きていたのね」
青いドラゴンはその問いに答える。
「姉さん...、なぜ貴女があちら側に付いてしまったのかは分かりませんが、こうなってしまった以上、私と貴女は殺しあう宿命にあるというわけですね...」
私にはなんとなくわかっていた。
龍同士の念のようなものだろうか?、アウスとアウラ、この二人からは龍の鼓動のような物を感じるのだ。
ただ、アウラからは暖かい光のような念を、アウスからは暗い闇のような念を感じる。
少し怖いが、お姉ちゃんを失った自分は、これ以上同士を失う訳には行かないと思い、アウラの前に立ち、奴の方を向く。
「あらあら、貴女は火の守護龍の妹さんね...、残念だけど、貴女には興味がないの...、退いてくれる?」
...、やはり面向かってこいつの前に立つのは恐ろしい。
こうやって前に立っているだけで怖いくらいだ。
龍の私にすら恐怖を感じさせる彼女は、相当な実力者なのだ。
「悪いけど...、私はこれ以上同じような目に合う龍を増やす訳には行かない、貴女とアウラが姉妹だと分かったのならなおさら引き退る訳には行かない...」
「そう...、なら死んでも文句言わないでね...」
明らかな殺気が増す。
気を保つだけでもやっとな程の空気に押し潰されそうになる。
どうしても火の大陸での惨敗が脳裏にちらつき、負けるというビジョンが明確になっていく...。
「...怖いのなら元の巣に戻って震えていなさい...、私の邪魔さえしなければ貴女には何もしない...」
私の足の部分を優しく触りながら、アウラの方に向かっていくアウス。
その言葉に安堵してしまう自分が嫌になり、奴に特攻するが。
「止まりなさい...」
ただ一言だけ言われ、顔面に拳を入れられ、龍化が解ける。
殴られた顔を庇いながら、奴を視界の中に収めようとしていると、もう1発お腹の辺りを蹴られ、その場に蹲り、呻き声をあげる。
ゴホッゴホッと咳を混みながら上を向くと、奴の氷の剣が輝いていた。
「終わり...」
冷たく言い放った彼女は、白刃の刃でとどめを刺そうとする。
容赦ないその姿は、魔の者と言われても違和感がない。
刃が私に突き刺さろうとした瞬間。
「させない!」
アウラが魔法で水のシールドを私の前に作ってくれたお陰で助かった。
剣は水の濁流に飲み込まれ粉砕された。
「...、少しは成長したのかな?アウラ...」
奴が少しずつアウラに向かっていくのを、蹲りながら見る事しか出来なかった。
(なんて私は無力なのだろう...、ここでもただ足を引っ張っただけで何もできていない...)
腹を抑えながら、アウスとアウラの戦いを見ているが、明らかにアウスの方が優勢だ...。
何かしないといけないと思うのだが、足が震える上、心臓の鼓動が速くなり緊張感が高まってくる。
怖い...だけど...、同種族が死ぬのはもう見たくない。
(お姉ちゃん!、力を貸して...!)
そう思った時、獄炎の炎と共に、私の姿はお姉ちゃんの物となっていた。
お姉ちゃんなら絶対に怖くても戦う。
私の為に生きてくれたお姉ちゃんの事を考えながら、私は身体を変化させたのだ。
「貴女は...!」
アウスが驚いたような目で私を見てくる。
当然の反応だ、自分の手で殺した者が生きていると分かればそんな表情をするだろう。
「お姉ちゃんの力...、借りるよ...!」
私は拳を振り上げると、半龍化し、奴に殴りかかった。
「アウス!!、絶対に許さない!」
私が炎のブレスを奴に放つが、奴は獄炎の中を涼しそうにこちらに向かってくる。
それを見た青いドラゴンは水のブレスを放つ。
炎の中に水のブレスを入れ、極地的な環境を作り出すが、それでも奴には通用しないようだ。
熱い物と冷たい物を同時に受ければ、普通は辛そうな顔をするだろうが、奴は多少なりともその不気味な表情を崩さない。
「ふふふ...、アウラ...生きていたのね」
青いドラゴンはその問いに答える。
「姉さん...、なぜ貴女があちら側に付いてしまったのかは分かりませんが、こうなってしまった以上、私と貴女は殺しあう宿命にあるというわけですね...」
私にはなんとなくわかっていた。
龍同士の念のようなものだろうか?、アウスとアウラ、この二人からは龍の鼓動のような物を感じるのだ。
ただ、アウラからは暖かい光のような念を、アウスからは暗い闇のような念を感じる。
少し怖いが、お姉ちゃんを失った自分は、これ以上同士を失う訳には行かないと思い、アウラの前に立ち、奴の方を向く。
「あらあら、貴女は火の守護龍の妹さんね...、残念だけど、貴女には興味がないの...、退いてくれる?」
...、やはり面向かってこいつの前に立つのは恐ろしい。
こうやって前に立っているだけで怖いくらいだ。
龍の私にすら恐怖を感じさせる彼女は、相当な実力者なのだ。
「悪いけど...、私はこれ以上同じような目に合う龍を増やす訳には行かない、貴女とアウラが姉妹だと分かったのならなおさら引き退る訳には行かない...」
「そう...、なら死んでも文句言わないでね...」
明らかな殺気が増す。
気を保つだけでもやっとな程の空気に押し潰されそうになる。
どうしても火の大陸での惨敗が脳裏にちらつき、負けるというビジョンが明確になっていく...。
「...怖いのなら元の巣に戻って震えていなさい...、私の邪魔さえしなければ貴女には何もしない...」
私の足の部分を優しく触りながら、アウラの方に向かっていくアウス。
その言葉に安堵してしまう自分が嫌になり、奴に特攻するが。
「止まりなさい...」
ただ一言だけ言われ、顔面に拳を入れられ、龍化が解ける。
殴られた顔を庇いながら、奴を視界の中に収めようとしていると、もう1発お腹の辺りを蹴られ、その場に蹲り、呻き声をあげる。
ゴホッゴホッと咳を混みながら上を向くと、奴の氷の剣が輝いていた。
「終わり...」
冷たく言い放った彼女は、白刃の刃でとどめを刺そうとする。
容赦ないその姿は、魔の者と言われても違和感がない。
刃が私に突き刺さろうとした瞬間。
「させない!」
アウラが魔法で水のシールドを私の前に作ってくれたお陰で助かった。
剣は水の濁流に飲み込まれ粉砕された。
「...、少しは成長したのかな?アウラ...」
奴が少しずつアウラに向かっていくのを、蹲りながら見る事しか出来なかった。
(なんて私は無力なのだろう...、ここでもただ足を引っ張っただけで何もできていない...)
腹を抑えながら、アウスとアウラの戦いを見ているが、明らかにアウスの方が優勢だ...。
何かしないといけないと思うのだが、足が震える上、心臓の鼓動が速くなり緊張感が高まってくる。
怖い...だけど...、同種族が死ぬのはもう見たくない。
(お姉ちゃん!、力を貸して...!)
そう思った時、獄炎の炎と共に、私の姿はお姉ちゃんの物となっていた。
お姉ちゃんなら絶対に怖くても戦う。
私の為に生きてくれたお姉ちゃんの事を考えながら、私は身体を変化させたのだ。
「貴女は...!」
アウスが驚いたような目で私を見てくる。
当然の反応だ、自分の手で殺した者が生きていると分かればそんな表情をするだろう。
「お姉ちゃんの力...、借りるよ...!」
私は拳を振り上げると、半龍化し、奴に殴りかかった。
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