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砂漠の洞窟②

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 洞窟の道中に少しの鉱石はあったが、その為にこの砂海を渡るのはどう考えても労力に合わない。

「これは...ハズレのゲートだな」

「ですね。大した鉱石も植物もないのに危険度だけは高いゲートだと思います」

 松林さんと横川姉がそう呟いているなか、一行は開けた場所に出た。

「なんか神秘的な場所だね」

 そう真菜が呟くのも無理はない。

 突然開けた場所は水溜まりのようで、俺たちは高台の上にいる感じだ。

「少し下に降りてみる」

 そう松林さんが呟いて下の階に飛び降りる。

「ふむ、大丈夫だ降りてきていいぞ」

 彼の言葉を皮切りに俺たちは下に降りた。

「まるで湖だな、砂漠の洞窟にここまでひんやりとした場所があるとはな」

 そう言いながら湖の近くに彼が向かった時だった。

「んっ?」

 湖の向こう側に大きなヒレが見えた。

「魚か?」

 いや、魚にしては大きい気がする。

 気のせいかと思いもう一度見てみると...!

「松林さん!!!」

「んんっ? どうしたのかね高坂君?」

 俺は松林さんを突き飛ばした。

 先ほど松林さんがいた場所に高圧水流が通り過ぎて地面に亀裂が入っていた。

「皆! 気をつけろ! ここはやつらのテリトリーだ!!! 水を求めて忍び込んだ生き物を食い散らかす肉食魚の巣だったんだ!」

 俺の言葉を聞いた皆が武器を構える中、そいつは姿を現すのだった。
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