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ホルルホテル

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「着きました」

「ご苦労様。下がっていいわよ」

「はいっ」

 黒服にエスコートされながら降り立つ結美はまさしく金持ちセレブと言った風貌だ。

 それに比べて俺たちは平民感丸出しだが大丈夫だろうか? 今回の行き先や旅の巡回順は全て結美に任せてあるので大丈夫だろう。

 ...と思いたい。

「カズ君♡ ここがホテルのホルルホテルだよっ!」

 そう言われて俺が見た景色はまさしく別世界だった。

「おおっ...!」

 思わずそう声を出してしまうほどの優美さがそこにはあった。

 少しヘンテコな形のホテルだが、それはきっと俺の感性が平民だからだろう。

 きっと見る人が見れば芸術品だと思えるような構造なのだと思う。

「なんか凄いホテルだな」

「うんうん! とてもいいホテルだから安心してね」

 彼女に手を取られながら歩いていく俺を見て母さんが「あらあら...。青春っていいわね~」と呟いている。

 ホテルの中に入ると結美が受付から鍵を受け取っていた。

 鍵は3本ある。

 恐らくだが俺たちは家族の分と結美の分、そして蜜香の分だろう。

「じゃあお母様に一つ、黒木さんにも一つ渡しておくね」

 そう聞いた俺はやはりなと思ったその時だった。

「じゃあカズ君、部屋に荷物を置きに行こっ」

 と結美に言われる。

「...なんで結美が俺の手を引いているんだ? 俺は母さんと真菜と同じく部屋だろ?」

 そう聞くと彼女はこう答えた。

「えっ? 違うよ? 私とカズ君はだから♡」

「...んっ? んんっ?」

 何か爆弾発言が聞こえた気がするが気のせいだろうな!
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